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大学の有機化学のアルドール反応
アルドール反応の問題で CH3-CH2-C0-CH3について水酸化ナトリウムが攻撃したときに、ケトン基の左の炭素がアニオンになるのか、右の炭素がアニオンになるかという問題がありました。答えは右側(メチル基)がアニオンになっています。なぜだかわかる方教えて下さい(><)明日試験なのですぐに教えて頂けると本当にありがたいですm(__)m
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No.2・5です。 No.6の回答の > 全ての共鳴形(共鳴極限式)において原子の位置が変わってはならない かつ > No.4の回答で示した構造のほうが圧倒的に寄与が大きい について、現時点で異論を挟むつもりはありませんが、 C=C-O(→α炭素はsp2)とC-C=O(→α炭素はsp3)の双方を含んだ共鳴を 考えるのに、寄与が大きいからと言って、先に「C=C-O」のsp2軌道に固定して しまっている点については、いかがなものかと思います。 ベンゼンの共鳴のように、『各極限式での混成が等価』の状況であれば、 各炭素の混成軌道を「sp2+p」と固定して考えた上で、p軌道間の相互作用 についてのみ考える、ということは可能でしょう。 しかし、「C=C-O型が圧倒的に寄与」=「C-C=O型も部分的に寄与」という こと(→そもそもその寄与がなければα炭素のアニオン化はない)を考えれば、 sp2・sp3の二択ではなく、その中間的状態(→寄与分の偏りは考えるとしても) を考えるのが妥当と考えます。 (No.5での「sp2.5」との表現は、これに基づいています) あと、今回のご質問からは外れてしまいますが、こちらからも蛇足をひとつ。 「平面→sp2」というのは短絡的ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 (sp混成しかり、シクロペンタジエニルアニオンやシクロヘプタトリエニウム カチオンの炭素しかり、ですので) また、有機化学をやっていると陥りがちな「歪んだsp2軌道」等の考え方は、 sp2.5等とは別の概念だということも、念のために言い添えさせて戴きます。
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しつこくて申し訳ないですが、やっぱり書いておきます。 No.6のご回答の件です。 >「平面→sp2」というのは短絡的ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 これに関してはケースバイケースですのでお答えしようがありません。ただ、例としてあげられた、シクロペンタジエニルアニオン、シクロヘプタトリエニルカチオン(ですよね?)に関して、私は、いずれも平面状のイオンでsp2であると認識しています。文面からすれば、これらがsp2ではないというお考えのようですが、それには同意いたしかねます。
お礼
お礼が遅くなりまして申し訳ありません。大変ご丁寧な回答を頂き、ありがとうございました。結果的に試験には落ちてしまったのですが、本日追試を受け、なんとか合格できそうです。
2つの構造の共鳴を考えることは妥当だと思いますが、共鳴を考えるということは、それに含まれる全ての共鳴形(共鳴極限式)において原子の位置が変わってはならないということが大前提です。すなわち、炭素-炭素二重結合を含む共鳴形を認めた時点でエノラート部分が平面状であり、α炭素が平面状になることを認めたことになります。言い方を変えれば、それを認めなければ共鳴は考えられないということです。 また、こういった共鳴では2p軌道が使われますので、その2p軌道を提供し、さらに平面構造をとるためには、α炭素の混成はsp2でなければならないことになります。 教科書を見ればアリルアニオン等の共鳴について説明されていると思いますが、考え方はそれと同じようなものです。 なお、エノラートのα炭素が平面状になることは教科書にも書かれていることですので、ご確認ください。 ちなみに、エノラートの負電荷の大部分が酸素上に存在していることも広く認められており、したがって共鳴を考えるならば、No.4の回答で示した構造のほうが圧倒的に寄与が大きいことになります。エノラートという名前もこの構造に基づいています。 蛇足になるかもしれませんが、エノールとエノラートは別のものです。ここで考えるのはケト-エノールの平衡ではなく、ケトン+塩基とエノラートの間の酸塩基平衡です。
- DexMachina
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No.2です。 ケト-エノールの「平衡」で考えるのであれば、 C-C間に二重結合がある状態(→sp2)では負電荷は炭素上にはなく、 炭素上に負電荷がある場合は-C(^-)H-C(=O)-CH3でC-Cは単結合(→sp3) となるはずです。 また、これを「共鳴」ととらえるのであれば、下図のようにC-C-O上に負電荷が 非局在化しているということになり、C-C結合はsp2.5(→実際の寄与率が 不明の為、この数字はいい加減です)等と考えるべきでしょう。 -C-C |┌ O - 従って、『sp2.5等とα-位炭素のs性が上がる為、立体障害が緩和される』という 説明なら、メチレン炭素側がアニオン化するとの『結論』には頷けるのですが、 No.4の補足 > -CH=C(-O^-)-CH3 のように表記されます。したがって、エノラートの炭素はsp2です。 の『考え方』には、申し訳ないのですが異を唱えざるを得ません。 ・・・kurotosiroさんの試験に間に合うといいのですが。 (こんな時間じゃ無理か?(汗))
No.1、3です。 もう1点補足します。 アルキルアニオン(いわゆるカルボアニオン)とエノラートは違います。 アルキルアニオンでは第1級が第3級よりも安定ですが、エノラートではそうはなりません。 ご質問のアニオンはカルボニル基の隣に発生するアニオンですのでエノラートです。両者を明確に区別して下さい。 エノラートではC-C結合が二重結合性を有しており、 -CH=C(-O^-)-CH3 のように表記されます。したがって、エノラートの炭素はsp2です。この点でアルキルアニオンとは異なっています。 ついでに、ここまでの回答で言葉不足の部分も補足しますと、OH-によるH+の引き抜きが起こりやすいのはメチル基の側です。ただし、-78℃といった低温でない限りは、そこで反応する前に反対側からH+が引き抜かれた形に変化します。また、-78℃では、OH-によるH+の引き抜きは起こりません。そのためにOH-による反応は、常温に近い温度で行われ、その時の反応は事実上左側からのみ起こります。
No.1です。補足します。 エノラート生成時の位置選択性に関しては、Wikipediaにも書かれています(参考URL)し、「エノラート 熱力学支配 速度論支配」で検索すれば多数ヒットしますので、ご確認下さい。 また、ボルハルトショアーの教科書にも書かれていたはずですので、もしもお持ちでしたらご確認下さい。 ちなみに、熱力学支配では、決定要因はあくまで熱力学的な安定性なので、一部はメチル基の側でエノラートになっています。もしも、そちら側でしか反応しないような特殊な事情があれば、メチル基の側で反応する可能性も皆無ではありませんが、それは極めて例外的なものです。なお、No.1で強塩基の例としてあげたリチウムジイソプロピルアミドはLDAと略記されていることが多いのでご注意下さい。
- DexMachina
- ベストアンサー率73% (1287/1744)
『立体障害の小さいメチル基側の方が水酸化物イオンの攻撃を受けやすく、 メチル基上にアニオンが生成した方が安定性も高い』ため、 メチル基側がアニオンになる、ということだと思います。 アンモニアのH-N-HとメタンのH-C-Hとの結合角を比較した場合、 H-N-Hの方が小さいのは、同じsp3混成軌道であっても孤立電子対の方が 中心原子(C、N)に近いために反発が大きいから、でしたよね。 カルボアニオンはこれと同様にsp3混成なので、アニオン化すると置換基同士、 或いは置換基と孤立電子対の反発が増加します。 従って、より小さい置換基である水素が多く結合したメチル炭素がアニオン化した方が、 メチレン炭素がアニオン化するよりも安定だと考えられます。 一方、質問からは外れますが、カルボカチオンの場合は、カチオン化によってsp2になり、 結合角が広がることで置換基同士の反発(→孤立電子対はなく、p軌道が空で存在)が 緩和される為、多置換側の炭素の方がカチオン化されることになります。 No.1の方とは逆の回答ですが、「多置換の方が安定」というのは、 このカチオンの場合と混同されているような気がするのですが・・・。 ・・・試験前に、クラスメートの方に確認された方がいいかもしれません(汗)
これは、「熱力学支配」と「速度論支配」の問題です。 低温で強塩基を使うと、「速度論支配」になり、比較的高温で弱い塩基を使うと「熱力学支配」になります。 ご質問の化合物が塩基の作用によってアニオン(エノラート)になる場合に、右側のH+が取れる反応のほうが速く進みます(立体的な混み合いが少ないからです)が、熱力学的に安定なのは左側のH+が取れたものです(多置換のアルケンが安定なのと同じ理由です)。 つまり、反応速度が重要な要因となって、ここでは右側のH+が取れる反応が「速度論支配」であり、熱力学的な要因(=エノラートの安定性)が重要であって、左のH+が取れる反応が「熱力学支配」と呼ばれます。 さて、ご質問の系では塩基がNaOHであり、これは低温ではエノラートを発生しません。そのため、反応は「熱力学支配」で進むはずです。だとすればエノラートを生成するときに取れるH+は左側のはずです。つまり、その答えは間違っていると思います。 注釈:ここではNaOHは弱塩基と考えてください。強塩基というのは、リチウムジイソプロピルアミドやアルキルリチウム(ここでは不適当ですが)などであると考えてください。また、低温というのは-78℃(ドライアイス-アセトン浴の温度)程度と考えてください。
お礼
お礼が遅くなりまして申し訳ありません。とても細かく説明して下さりすごく助かりました。ありがとうございました。