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放射線照射による突然変異でトランスポゾン挿入が多い原因
表題通りです。1塩基欠失や置換等よりトランスポゾン挿入が圧倒的に多いですが,なぜそのようなことが起こるのでしょうか。 自分なりの解釈は,切れて再結合する際に量的に圧倒的にトランスポゾンが多いから,それらと再結合しトランスポゾン挿入になるのかなと思っておりますが…ご教示下さい。
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放射線照射では、欠失、転座、逆位などの染色体異常がほとんどで、一塩基置換・欠失はまず起こりません(実験の中で観察されたとしても放射線とは関係ない自然変異とみなすほうが自然です)。EMSなどの化学変異原の場合は、点突然変異(一塩基置換・欠失)が大部分を占めます。 放射線でトランスポゾン挿入変異がほとんどを占めるというのは生物一般的な現象ではないと思います。考えられることとしては、 1.ほ乳類の培養細胞などに放射線をあてると、内在性のレトロトランスポゾン(ゲノムに挿入していて親から子に伝えられる)が誘導を受け、レトロウィルス様の粒子を生じることがあるそうです(どこで仕入れた情報か失念しました)。レトロトランスポゾンが転移するときウィルス様の中間体をへることが知られているので、放射線がトランスポゾンの転移頻度を高める可能性はあります。 2. トランスポゾンの転移には、それ自身がコードしている転位酵素、逆転写酵素などのほか、宿主が内在的に持っているDNA修復系酵素などが必要です。放射線によってDNAが傷つけられると、修復系が活性化しますから、それがトランスポゾンの転移頻度を高めるのかもしれません。
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- ice_rif
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「放射線照射による突然変異でトランスポゾン挿入が多い」というのは聞いたことがありません。出典を教えてください。
- blackdragon
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例えば、細菌などですと、染色体に傷がついたときにトランスポゾンの転移が活性化するような場合もあります。 しかし、何(どういう生物、どういう状態の細胞)に、どのような放射線を照射したときの話かわからないと、なんともいえないですね。
補足
ある研究所で,重イオンマイクロビームをもちいた放射線照射効果の研究を,放射線抵抗性細菌デイノコッカス・ラジオデュランスを用いて,その放射線抵抗性機構の分子生物学的機構の解析を進めています。そこでsacB遺伝子の塩基配列を調べると,突然変異体にはトランスポゾン挿入突然変異が圧倒的に多いそうです。このことが質問した理由です。詳しいところまで言っていいものか悪いものか迷いましたものですから書きませんでした。それ以上の情報は教えていただいておりません。
お礼
有難うございます。回答者の皆様に,まとめてお礼をさせてください。 質問の原点は,コントロールと突然変異体との間に,点突然変異の発生率に何ら変化が無かったことです。放射線で点突然変異が起こらないことは,常識のような感じでしたので質問しそびれてしまいました。 しかし,良く考えると,放射線が一塩基対にのみ影響を与えることはありませんから,当然といえば当然ですね。ここに馬鹿な質問をしてしまったと反省しきりです。 何故トランスポゾン挿入が多くなるのかと言うことはむろんわかっているわけではないようです。恐らくその辺を研究なさっているのだと思います。放射線耐性菌ですので,一般的には修復系の活性化の方面から研究なさっているのかなと思います。 ご本人にメールで質問すれば恐らく回答してくださるとは思いますが,老人の興味に時間を取らせたくはありませんものですから…