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地方公務員宿舎と民法の適用について
職務の執行上必要があり、居住指定により職員に貸与する宿舎について、地方公共団体が宿舎の使用については無料と決定している場合、民法の適用についておたずねします。 宿舎の例としては、病院の看護師宿舎、警察官駐在所、職員の訓練施設の寄宿舎等があるようですね。 つまり、事務所と住居が一体になっているもの。 私の手元にある地方自治法関係の参考資料を抜粋すると、『宿舎は公用性の強い義務的宿舎であり行政財産に分類される。宿舎利用の対価について、無料又は維持費の全部又は一部の負担を求めることは可能であり、私法上の使用の対価として入居料を支払わせることができる』旨の記述があります。 そこで質問です。 「私法上の使用の対価として入居料を支払わせる」 とは、民法第88条の法定果実でしょうか? 職員が無料で宿舎を貸与された場合、 民法第3編第2章第六節の使用貸借でしょうか? また、使用貸借であるならば、 民法第595条に 「借りた物の通常の必要費を負担する」 とあるので、電気料金や水道料金の一部を 宿舎の「通常の必要費」として職員に負担させることができるでしょうか? 私法と公法にお詳しい方、なにか見解がありましたら、よろしくお願いします。
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公務員宿舎の入居料については、個別の立法による根拠があるわけでもなく、また地方公共団体が設置するものについても、行政財産の使用又は公の施設の利用に当たるものではなく地方自治法第225条の規定の射程外と思われますので、お見込のとおり民法の規定の適用があるものと解して良いのではないでしょうか。 したがって、お問い合わせの件については、いずれも「そのとおり」と言うことになると思います。 現実にも、国の場合、総理大臣や衆参両院の議長等の「公邸」については、専ら私用に供するものを除いて、いす、テーブルなどの備品(国家公務員宿舎法第11条)、電気、ガス、水道に要する費用(同法第17条第1項)について、国が負担することとされていますが、警察官などが入居する「無料宿舎」については、このような規定がありません。 これは、総理大臣や議長の公邸については外国要人のレセプションなど、公邸の使用そのものが「公務」と考えられるのに対し、警察官や医師・看護師、へき地勤務者などは公務自体は職場(警察署、病院など)で行われるものであり、非常時の勤務のために職場近接に住むことは公務上必要であるものの、公舎の中で行われる行為自体は私的なものであるため、入居者が当然に負担すべきものと解されているものと考えられます。 地方公務員については各団体の規則によりますが、基本的に同様の考え方に立っているものと思われます。参考までに東京都の規則を紹介しておきますが、電気、ガス等の使用料は入居者負担とされています。 http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_menu.html ○東京都職員住宅管理規則 (職員住宅の使用者の負担する費用) 第三十五条 職員住宅の使用者は、職員住宅の使用料のほか、次の費用を負担するものとする。ただし、公用に係る費用については、この限りでない。 一 電気、ガス、水道及び下水道の使用料 二 し尿、ごみ及び排水の消毒、清掃及び処理に要する費用 三 共同施設の使用及び維持に要する費用 四 前三号に掲げるもののほか、出納長又は局長が指定する費用 ちなみに、無料宿舎に入居できる(国家)公務員は下記のとおりです。 国家公務員宿舎法施行令 (無料宿舎を貸与する者の範囲) 第9条 法第12条第1項に規定する政令で定める者は、次に掲げる者として各省各庁の長が財務大臣に協議して指定する者とする。 一 次に掲げる官署に勤務する職員のうち、本来の職務に伴つて、通常の勤務時間外において、国民の生命又は財産を保護するための非常勤務に従事するために当該官署の構内又はこれに隣接する場所に居住する必要がある者 イ 警察官署 ロ 陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊 ハ 刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院並びに入国者収容所及び地方入国管理局 ニ 国立の病院、療養所、高度専門医療センター、児童自立支援施設及び知的障害児施設 ホ 独立行政法人の開設する病院 二 本来の職務に伴つて、通常の勤務時間外において、著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合に、国民の生命又は財産を保護するための非常勤務に従事するためにその勤務する官署に近接する場所に居住する必要がある職員 三 自然科学に関する研究又は実験を行う施設に勤務する職員のうち、継続的に行うことを必要とする研究又は実験に直接従事するために当該施設の構内又はこれに隣接する場所に居住する必要がある者 四 へき地にある官署に勤務する職員 また、公舎使用料の算定方法も施行令に規定されています。(第13条)
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現在は、地方公務員は、労働基準法の直接の適用を受けておりませんが、現状の政治の流れを考えると、公務としての必要最低限が、無償貸与であり、福利費扱いと思われます。公務員Aと地方公共団体Bとの契約に伴う使用貸借ではなく、労働給与の現物支給との考えの方が近いでしょう。理由は、公務員Aは、2-3年で公務員Cに変わり、Dに変わる訳で、Aと自治体とでの限定使用貸借契約が、いちいちあるかというと、その職業に付随した無償貸与福利厚生費用と見ていると思われます。 しかしながら、使用する電気、水道、電話、ガス代などは、無償の宿舎におらず、実家に帰っても生活上、消費するものですから、応分の個人負担をすべきものと考えます。 当然、維持費の特に個人消費の明確な部分は、個人負担すべきでしょうし、宿舎に居なくても、ある程度必要な、水道やガスについても、応分なる按分額の支払いが生じるものと考えられます。 応分按分は、その宿舎の職務上の必要度合いと、拘束度合いなどで、決まってくるのでしょう。 内規を作り、議会承認を得るものと思います。今までは、無料でOK、だったものも民営化の流れで、按分での個人負担は、避けられないでしょうね。 民法というより、地方公務員給与法の現物支給に当たるのでは??? で、参考になるのは、税法の福利費用按分でしょうか? 以上、あくまで私見ですので、間違っていても、条例さえ通れば、形式的合法ですが、昨今のマスコミ批判には、耐えられないでしょうね。
お礼
地方公務員法や職員福利厚生面からのアプローチは考えておりませんでした。 昨今、一部の公務員の厚遇が問題になっているようですね。 コメントありがとうございました。
お礼
民法が適用になるという自信ありの回答、誠に恐縮です。 参考の根拠法令まで掲載していただきありがとうございました。 宿舎に入居している公務員の方々は、職場の隣に住んでいるわけで、なにかあればすぐ事案に対応しなければならず、気が休まらないでしょうね(^^ゞ