[1] ビンゴに使われる数字は1~K (K=70)までということにしましょう。
そして、抽選する度に、1,2,3,.....,K の順に数字が選ばれるものと決めます。(実際にはランダムに抽選しますが、それでも以下の計算には何の影響もないんです。)こうしておけば、カードだけを調べればそのカードが何回目の抽選でビンゴになるかが分かる。ですから、話が簡単になります。
さて、N回目の抽選、つまり1~Nまでの数字が選ばれた段階で、カードが既に当たっている確率。言い換えれば、「N回目までに当たる確率」P(N)というのを求めたい。
数字の書き方のあらゆる組み合わせはT=(K!)/((K-25)!)通りある。そのカード全部の内で、何枚が当たりになるかを数えれば確率が出ますね。
[2] このために、カードのマス目を色分けします。
N以下の数字が書いてあるマス目を赤、N以上の数字が書いてあるマス目を白に塗ることにしましょう。
そして、取りあえず、数字が何であるかは関係なく、この赤・白の塗り分けパターンにだけ注目します。すると、赤のマス目が縦・横・あるいは斜めに、少なくとも1本並べば、そのカードは当たりということです。
[3] 赤のマス目の数を「有効マスの個数」と呼んで、これを記号mで表すことにします。例えば、m=4の場合、赤いマス目は4つしかないから、このカードは絶対にハズレ。
また例えば、m=5の場合、赤いマス目は5つあります。その5つがどう並んでいるかで、当たりになったりハズレになったりするわけです。25個のマス目のうち5個を赤に、残り20個を白に塗るパターンは、(25個の中から5個選ぶ選び方と同じですから、)25C5通りありますが、そのうち120通りだけが当たりになります。(ここで組み合わせの数の表し方 pCq = p!/(p-q)!/q! を使っています。)
さて、mの値ごとに、何通りの当たりパターンがあるかをB[m]と書きます。これを表にしました。
B[25] = 1
B[24] = 25
B[23] = 300
B[22] = 2300
B[21] = 12650
B[20] = 53082
B[19] = 174924
B[18] = 453612
B[17] = 919213
B[16] = 1455040
B[15] = 1812188
B[14] = 1792852
B[13] = 1419596
B[12] = 902428
B[11] = 459300
B[10] = 185292
B[9] = 58094
B[8] = 13680
B[7] = 2280
B[6] = 240
B[5] = 12
mが5~25以外の値の時にはB[m]=0です。
(この表は実はプログラムを書いて計算させちゃったのです。)ともかく、この表を使って、「N回目までに当たる確率」P(N)を計算する方法を説明します。
[4] 例えばN=5の時を考えてみます。既に5回の抽選が行われ、1,2,3,4,5の書いてあるマス目を赤に塗った訳です。しかし、カードにこれら5つの数字が全部書いてあるとは限りません。
1~5の数字がカードに0個ある場合、1個ある場合、....、5個ある場合、の6通りが生じます。言い換えれば有効マスの個数mがm=0,1,2,3,4,5の6通りある。このそれぞれに場合分けする必要があります。
まずは練習として、あらゆるカードをmの値によって6通りに分類してみましょう。
mを一つきめます。「赤いマス目がm個あるカード」そういうカードは何枚あるかをD(N,m)とします。すると
(a)カードに書いてあるm個の数字(赤いマス目に対応する)というのは1~Nのうちのどのm個の数字であるか、という組み合わせは
NCm
通りあります。
(b) カードの赤いマス目m個の配置の仕方は
25Cm
通りあります。
(c) そのマス目に、m個の数字を並べる順列は
m!
通りあります。
(d) さて、白いマス目にどんな数字を入れるか、その選び方は
(K-m)C(25-m)
通りあって、
(e) それを並べる順列は
(25-m)!
通りあります。
以上から、N回目の抽選の時点で、赤いマス目がm個あるカードというのは、これらの積、すなわち
D(N,m)=(NCm)(25Cm)(m!)((K-m)C(25-m))((25-m)!)
枚ある。
D(N,m)=(N!)(25!)(K-m)!/((m!)((N-m)!)((25-m)!)((K-25)!))
と書いても同じ事です。
全部でカードは
T= ΣD(N,m) (Σはm=0,1,....,min(N,25)についての総和)
枚あるわけですが、これは当然、全てのカードの枚数T=(K!)/((K-25)!)と丁度一致します。
ここでmin(N,25)というのはNと25の小さい方、という意味です。
以上、練習でした。
[5]ではいよいよ、N回目の抽選までに当たりになるカードの枚数S(N)を数えます。
m=0,1,2,....,min(N,25)のそれぞれについて、当たりになるカードの枚数をA(N,m)とします。
(a)カードに書いてあるm個の数字(赤いマス目に対応する)というのは1~Nのうちのどのm個の数字であるか、という組み合わせは
NCm
通りあります。
(b) カードの赤いマス目の配置の仕方は、当たりになる配置でなくてはならないので、
B[m]
通りあります。(ここで、先に掲載した表が使われます。)
(c) そのマス目に、m個の数字を並べる順列は
m!
通りあります。
(d) さて、白いマス目にどんな数字を入れるか、その選び方は
(K-m)C(25-m)
通りあって、
(e) それを並べる順列は
(25-m)!
通りあります。
だから、
A(N,m) = (NCm)B[m](m!)((K-m)C(25-m))((25-m)!)
です。
ゆえに、N回目の抽選までに当たりになるカードの数は
S(N) = ΣA(N,m) (Σはm=0,1,....,min(N,25)についての総和)
枚ある。
N=5の場合には、B[0]~B[4]はみんな0ですから、
B[5] = 12
を使って、
S(5) =A(5,5) = (NC5)12(5!)((K-5)C(25-5))((25-5)!)
ということになります。
だから、N=5回目の抽選までに当たる確率は
P(5) = S(5)/T = 0.000000991
となります。
[6] 同様にして、N=60の場合の計算をしてみましょうか。S(60)を求めるためにA(60,m) (m=0,1,2,.....,25)をそれぞれ計算します。
A(60,m) = (60Cm)B[m](m!)((K-m)C(25-m))((25-m)!)
S(60) = ΣA(60,m) (Σはm=0,1,....,min(60,25)についての総和)
となり、
P(60) = S(60)/T = 0.997590428
となります。
[7]
P(0),P(1),P(2),P(3),P(4)はいずれも0であり、
P(K), P(K-1),P(K-2),P(K-3), P(K-4)はいずれも1になることは自明でしょう。
丁度N回目で当たりになる確率を知りたければ、P(N)-P(N-1)を計算すればよいのです。
ちなみに、P(40)<0.5<P(41)です。40回ぐらいの抽選で、半数が当たりになる訳ですね。
お礼
大変詳しい回答、ありがとうございました。 特に、 最終行の辺のP(n)<0.5<P(n+1)は、 自分自身が施行のときに忘れていた指標でした。 大変参考になりました。ありがとうございました。