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ガラスと結晶の違いについて
ガラスと結晶の違いをSiO2の場合を例に説明し,構造の違いが物性にどのような影響を与えるか?という質問の回答に困っています。教科書等にも回答が見当たりません。できるだけ詳しく教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
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ウィキペディアの「ガラス」のページを貼り付けて置きました。中のリンクを辿ってガラスについて調べてみて下さい。 二酸化ケイ素の結晶は石英です大きいのが水晶。水晶も高温で溶融すると石英ガラスという状態になります。 石英の結晶構造はケイ素が四つの炭素と配位した「ダイアモンド構造」です。 ガラスになるとこの構造が崩れSi上に=Oが一つにあとは-O-Si-O-Si-と並んでその高分子が絡み合った形になっています。 ガラスを長い時間軟化点近くで加熱し続けると一部ずつ結晶化してきます。 ただ、ガラスの場合多くはケイ酸ナトリウムなどの珪酸塩になっているので完全に二酸化ケイ素の結晶になるわけではありません。ケイ酸塩の場合前記のSi-Oの酸素に陰電荷が乗っている形です。 金沢大学の「ガラス玉と水晶玉」に関する面白い見分け方。 http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/ishiwata/crystal.htm 東工大の石英と石英ガラスの図 http://www.op.titech.ac.jp/lab/okui/lecture/ms/3rd/Slide02.html などなど…。 石英、ガラス、アモルフォス、非晶質、ガラス転移点(高分子の)などのキーワードで牽くと沢山出て来ます。 では頑張ってネット上を泳いで下さいなー。^^
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- kenojisan
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申し訳ないですが別板を立てるほどの議論をする気は無いのでこれで終わりにします。あとは、質問者さんの判断に任せましょう。 1.対称要素や対象操作という言葉は、私の研究分野では結晶にしか使っていません。私の知る限りでは、アモルファスへの定義は固体物理や結晶学の専門書には見あたりません。 2.圧電性を含む電気分極特性は全ての物質に存在します。従って、圧電定数そのものは全ての物質に存在します。しかし、その解釈を結晶対称性で出来るのはもちろん結晶に対してのみです。私は電気分極が専門でないので、詳細は知りませんが、アモルファスの原子配列から考えて局所的には圧電分極は発生しているでしょう。ただし、ランダム配置のためにマクロには分極は相殺されるはずで、マクロ物性として測定される圧電定数はゼロで不思議は有りません。これは、別にアモルファスに限らず、圧電性を示す物質でも多結晶体では、分極方向を揃える分極処理を行わないとマクロな圧電特性は出てこないようです。未処理の多結晶体は分極を相殺してしまうからです。 3.厳密にはアモルファスと転移温度を持つガラスは同義では有りません。ただ、質問者さんが「ガラス」を聞かれ、38endohさんが「アモルファス」を使われており、ランダム原子配列の意味では同じですので、(ここではアモルファスと同義とします)という但し書きを付けたわけです。 4.干渉効果を使った顕微鏡とは、走査電子顕微鏡やSPMなどではない、光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡を指した意味です。これらは、光や電子の干渉効果である回折現象によって結像を行いますから、使う光や電子の波長より小さい分解能は原理的に不可能です。このことと勘違いされたのでは無いでしょうか?という意味です。 一応、これらの言葉は私の専門分野では専門用語になっていますよ。
- 38endoh
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以下の私の回答は、私独自の解釈などではなく、教科書レベルの、既に確立した学問の内容ですよ。教科書に書いてある内容です。 > ガラス(ここではアモルファスと同義とします)は …中略… 対称性は全く有りません。 > 点対称性が有るとこの電気分極が相殺して現れてこない kenojisan さんの説によると、石英ガラスには点対称性(普通は反転対称といいます)がないんですよね? では、外力で誘起された電気分極が相殺されず、圧電性を示す、ということですか? これは事実ではありませんよね。石英ガラスの圧電定数は、18 個全てのテンソル成分でゼロです。では、kenojisan さんの説のどこが間違っているのでしょうか? あと、kenojisan さんの回答には、色々と不思議な単語が出てきます。例えば、点対称性、干渉効果を使った顕微鏡、ガラスとアモルファスが同義になる、とか。科学は、正確に定義された「専門用語」を使って議論しないといけません。微妙なニュアンスが重要な文学とは異なりますから…。 それと、kenojisan さん。そもそも教えて goo! では、kazu780170 さんの質問に回答していない部分は、すべて削除対象になってしまいます。如何に有用な内容でも、です。もし私の回答についてご不明な点がありましたら、質問事項を整理し、再質問としてアップしてください。この内容は物性物理の内容ですので、物理板が適切でしょうか?
- kenojisan
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No4の回答者です。38endohさんの解釈に疑問が有るのでコメントします。 まず、ほとんどの物性は原子レベルでの電子の挙動で決まります。これは、例え光の波長が長くても一緒です。 例えば、例に挙げられている圧電現象に関しても、イオン性結晶では異種原子の間に電荷の偏りが生じて+-の電気分極が出来ています。これに圧力を加えることで原子間距離が異方的に変化しますが、結晶に点対称性が有るとこの電気分極が相殺して現れてこないということです。 固体物理で使われる「対称性」というのは、通常結晶構造に対するもので、物質を巨視化して連続媒体近似したものに対する言葉では有りません。 確かに、現実の物性評価の際には均一物質を連続媒体のように近似することも多いですが、その場合には種々の物質常数をあたかもその物質の固有物性のように仮定することで評価を単純化しているだけです。実際の物性発現はほとんどが原子(というか、電子?)レベルが起源です。 光学活性に関しても、結晶や分子内での原子配置の対称性が原因です。光の波長が物性に効いてくるのは、主にその光子エネルギーとしてであって長さではありません。干渉効果を使った顕微鏡の話しと混同されているのではないでしょうか?
- 38endoh
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「等方的」というのは、例えば「どの方向から見ても同じに見える」ということですね。物質を原点に置いたとき、x 軸方向から眺めても、y 軸方向から眺めても、z 軸方向から眺めても、完全に同じに見えるということです。 これはどういうことかというと、x 軸に対する C4 回転対称軸、y 軸に対する C4 回転対称軸、z 軸に対する C4 回転対称軸が存在するということです。そうでないと、同じには見えませんね。これは必要十分条件です。 同様の議論が他の対称要素にも当てはまります。こうして考えると、等方体は「究極的に対称性が高い」ということになります。 ただ、kenojisan さんのご指摘の内容も、非常にもっともらしく見えますね。このトリックは「スケール」にあります。 もし、原子が見えるほど微視的に、アモルファスや液体、気体などを観察した場合、様々な異方性が見えてきます。決して等方的とはいえません。そして、当然、対称性も低くなります。 しかし、物質を巨視的に見れば、アモルファスや液体、気体はすべて等方的、そして高い対称性を持つように見えます。スケールによって、見え方が違ってしまうのです。 どちらも正しいのですが、物性を理解したいのであれば、実際の問題に合うよう、わざと巨視的に見て議論する、ということを行います。これは「粗視化」と呼ばれる考え方です。粗視化して考えれば、アモルファスも対称性が高いということになります。 なぜ粗視化が必要かについて少しだけ。例えば、光学活性というのは、普通は紫外~近赤外くらいの光で議論しますね。波長で言えば、せいぜい 200 nm 程度でしょうか。200 nm では原子も分子も全く見えません。ですので、原子の座標がランダムだからといって、それは本質的に影響を及ぼさないのです。
- kenojisan
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No2の方が少し勘違いをされているようなので、まずその訂正を。 ガラス(ここではアモルファスと同義とします)は確かにランダムな原子配置で「等方的」ですが、対称性は全く有りません。どんな対象操作を(回転したり、鏡映をとったり)しても元の配置とは重ならないからです。そもそも、構造に周期性が無いですから結晶ではないですし。 物性に関してはあまり詳しくないのですが、No2さんの挙げられている圧電性や偏光特性が典型的なものだと思います。ただし、ガラスがそれらの特性を示さないのは対称性が高いからではなく、単に等方的だからです。
- 38endoh
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あ。読み返していて誤植を発見しました。最近揚げ足をとられることが多くなったので、早めに訂正しておきます。 「36個の弾性率」を「18個の圧電率」にしてください。 圧電性は4階の弾性率テンソルで記述される物性ではなく、3階の圧電率テンソルで記述される物性です。
- 38endoh
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> 構造の違いが物性にどのような影響を与えるか? 物質の結晶構造と物性との関係は「結晶工学」という分野の内容になります。よって、結晶工学に基づいて回答いたします。 石英ガラスも水晶も組成式が SiO2 であるという点では同じですが、原子のパッキングが全く異なっています。石英ガラスは原子がランダムに詰まった「アモルファス状態」、水晶は規則正しく詰まった「結晶状態」です。 アモルファス状態の石英ガラスは完全な「等方体」であり、とても対称性が高い状態です。一方、水晶の対称性は非常に低く、対称要素の数も石英ガラスと比べて遥かに少なくなっています(詳しくは、水晶の点群を調べてみましょう)。 例えば、石英ガラスには鏡映対称面がありますが、水晶にはありません。よって、水晶に偏光を入射すると、透過光の偏光面は回転します。つまり、光学活性を示します。これは構造の違いが光学物性に影響を与えた例ですね。 また、石英ガラスには反転対称心がありますが、水晶にはありません。よって、石英は圧電性を示します。水晶の圧電性は、クオーツ時計などに用いられる水晶発振子として利用されていますね。 なお、鏡映対称を欠く事によって光学活性が生じる理由や、反転対称を欠く事によって圧電性が生じる理由を理解するには、固体物理の本などに出てくる「テンソル量」の知識が必要になります。 詳細が知りたい場合は補足をしますが、まぁ一言で書けば、例えば、物質は最大で9個の異なる屈折率を持つことができ、36個の弾性率を持つことができるということです。構造の対称性が高ければこれらの値も対称的なのですが、構造が低対称なら値もバラバラになり、その差分などに応じて、旋光や圧電性といった様々な現象が引き起こされるのです。 ここら辺の厳密な関係はニューマンの原理によって記述されています。群論は、光学活性や圧電性が生じるための必要条件を教えてくれるのですね。
お礼
回答ありがとうございました。まだ高専4年生なので難しい所もありましたが参考になりました。
お礼
なるほど。参考になりました。ご回答ありがとうございました。