★社会主義 (socialism)
イギリスで始まった産業革命は、「革命」といわれる程に社会の経済観念を大きく変えました。
近代資本主義社会の形成、「労働者」と「資本家」という概念が生まれ、これまで気楽に自分の仕事をしてきた経済体制が抜本的に変革されたのです。資本家は低賃金で雇う労働者から、労働力とその対価の殆どを搾取し、資本家だけが富み、労働者は劣悪な環境で一日中働きづめ。
こうした中で、「不満」があったとしても一般の国民はただ耐えるだけでした。
貧富の差という矛盾や社会問題に対して批判の思想・原理が19世紀前半から構築されてきたのですが、それは後に「空想的社会主義(ユートピア的社会主義」と言われ、まだまだ机上の空論でしかありませんでした。ユートピア論、社会の完全な平等などは、プラトンも提唱しています。
それを「思想体系」として確立したのがマルクスとエンゲルス(科学的社会主義)。
階級闘争(貴族と平民、資本家・ブルジョアと労働者)や労働運動、政治運動に理論的武器、考え方を提供したのです(「資本論」「共産党宣言」)。
★共産主義
マルクス・エンゲルスによって確立された「政治運動、イデオロギー、社会理論」。
生産手段を私有から社会の共有することによって、貧富差のない平等な社会の成立を目指すものです。
それによって、貴族、ブルジョアのみが富める現状を打破するための考え方を教えてもらった、とでも言いましょうか。
資本家によって極悪な環境を強いられた若者を中心に、「資本論」「共産党宣言」をバイブルとする革命運動が世界中に広がった事になります。
共産主義は英語で communism(コミュニズム)といいますが、語源はラテン語の communis(共有)から来ています。
マルクス主義とは、共産主義の一つです。
一つ、といったのは、後にソビエトの初代指導者となったレーニンによる「レーニン主義」もあるからです。
共産主義思想は、理論的には素晴らしいものに見えるでしょう。貧富の差がなく、人間が平等でいられる社会を目指そうとしたのですから。当時の若者、インテリたちが熱狂したのも当然でしょう。
ですが、結果的に共産主義国家ではほぼ例外なく、大粛清、大虐殺の道をたどっています。
理屈でいえばどのような身分であろうが、どんなに能力があろうと平等に報酬が支払われる理想郷のはずなのに、なぜそのような粛清が起き、大量殺戮という事体を招くのでしょうか。
これはこの質問の意図とは違いますが、もし興味がおありなら、そういった所まで勉強していくと、歴史が大変面白くなっていくかもしれません。
ちなみに、これも質問からはズレますが、西欧の社会主義は「社会民主主義」と言われ、社会主義思想とはいえ、ソビエトの共産主義とは随分異なります。
お礼
懇切丁寧な回答ありがとうございます。お礼が遅くなってすみませんでした。