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「かわいさ」とは何でしょうか?
- 容姿の評価には時代的変遷や文化間の隔たりがあり、異性の好みには文化の影響がある
- 配偶者には異性の好みを求める理由には適応的な要素と顔に関する好みがある
- 「かわいさ」や「きれいさ」は個人差があるが、共通の価値体系が存在すると考えられる
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質問者が選んだベストアンサー
こんにちは。 視覚などの外的刺激によって人間が性衝動を起こすための判断基準は、本能として遺伝子にプログラムされた先天的なものと、大脳に作られた後天的なものに分けられます。この内、本能というのは生きてゆくため、また子孫を残すために最低限必要なものですから、その判断基準を変更することはできませんよね。 これに対して、大脳の中で体験や記憶を元に作られたは判断基準は生後の生活環境の影響を受けた後天的なものであり、個人によって異なります。これが「異性の好み」であり、それは本能ではなく、大脳が扱う領域です。 では、女性の容姿に対する男性の価値判断が種の繁栄にどのように貢献するのかということなのですが、まず、最低限必要なことは、男性は女性を対象に性衝動を起こさなければならないということですね。さもなくば、相手が同性であろうが子供であろうが見境無しに襲い掛かることになってしまいます。 このような精子の無駄使いは種の繁栄にとって非効率的です。ですから、更に男性は、既に排卵の始まった、性的に成熟した女性に興味を示さなければなりません。性的に成熟した女性の容姿の特徴といえば、何といっても丸みを帯びた身体つきにふくよかな胸ですよね! それを見ると、成人男性は興奮します。 このような反応を司る遺伝子が実際にあるのかどうかは私もちょっと自信がないのですが、視覚刺激による性ホルモンの分泌はサルでも確認されているそうですから、恐らく、この辺りまでは本能の領域であると言っても間違いではないと思います。 さて、質問者さんの仰る通り、種の繁栄にとってはこれ以上は不必要ですよね。顔の形などは肉体的特徴ですから、優秀な遺伝子選択の基準となり得ないとも言えません。ですが、そのときの流行り廃りがあるのでは、これでは後天的な要因としか扱えません。もちろん、化粧が上手いとか、その服が似合うなんてのは生物的学的には基準外ですし、まして、俺は白の下着にそそられる、いや僕は黒の下着だ、なんてのは種の繁栄というよりは、むしろ種の堕落の方に近いですよね。 男性のこのような価値判断は、人類が必要とする本能ではなく、間違いなく大脳新皮質が扱うものです。では、何故そんなものが本能であるはずの性行動に影響を及ぼすのかと言いますと、その大脳新皮質の機能が人間の生殖行動というものを補っているからです。そして、このような大脳新皮質の助けを借りた人間の複雑な性行動を「恋愛」と言って良いと思います。 人間が生殖行動に大脳の助けを借りなければならなくなったのは、ひとつには、発情期やフェロモンといった機能を失ってしまったからだと考えられます。 性的に成熟し、排卵の準備が整いますと、メスはフェロモンを分泌します。体内に精子が製造されていれば、オスはフェロモンの刺激によって無条件に発情します。このメカニズムがあれば、動物は交尾の機会を逸することなく、確実に生殖することができます。 ですが、発情期もなく、フェロモンもないのであれば、人間の男性はどのようにして生殖の機会を判断すれば良いのか分りません。何よりも、何の刺激もないというのであれば、我々男性は、いったい何を頼りに発情したら良いのでしょうか(涙、うぇ~ん)。 そこで、視覚刺激というものが重要になってきました。胸の豊かな女性を見たら、迷わず突進すべし!(但し、人妻だったらヤバイ)。 では、男性の大脳は、その性衝動にどのように関与しているのでしょうか。 男性の性衝動は女性よりも視覚刺激に強い影響を受けると言われていますよね。我々が女性の姿を見ますと、その情報は視覚刺激として処理され、脳内の偏桃体に送られます。偏桃体は外部情報に対して「有益」「有害」といったものの判断を下す部位です。ここで下された判断は自律神経を司る視床下部に送られます。偏桃体で「YES」とか「超YES!」などと判断された場合は、それに従って自律神経が活性化します。好みの女性を見て胸がドキッとするのはこのためです。同時に性ホルモンも分泌されますので、精子が製造されていれば勃起します。 偏桃体は自律神経を司る視床下部と連合して本能を実現する部位ですが、自分にとっての有益・有害といった価値判断も下しますので、「個人の好み」を司る場所とも言われています。つまり、ここで本能である「性欲」と「女性の好み」、このふたつが繋がるわけですね。 偏桃体の価値判断は、脳内の記憶と照合されて行なわれます。この脳内の体験や記憶が個人の好みを作っているわけですから、好みの女性が目の前に現れれば、偏桃体のジャッジはオールOK、自律神経の活動はより活発になり、胸がときめき、鼻の下が伸びて恋に落ちます。好みの女性に性欲を抱き、結婚したいと思うのはこのためですね。 このように、偏桃体は送られてきた情報を脳内の記憶と照合してその価値を判断します。但し、それはどちらかといえば最近のものではなく、主に生後3歳頃までに作られた古い記憶なのだそうです。生後3歳と言いますと、人格の基礎が形成される時期であり、食べ物や異性の好みもこの頃の体験に影響を受けると言われています。 好きなものは誰が何と言っても好き。 嫌いなものは嫌い! 理由なんてない。 好みというのはこういうものですよね。偏桃体の判断が自律神経のスイッチを入れてしまうというのですから、おいそれとは逆らえるものではありません。自分はどうしてこういうタイプの女性が好みなんだろうかと考えてみても、生後3歳頃の話だというのですから、その理由をきちんと憶えているひともずいないでしょうね。 アイドルやタレントなどの存在は文化的価値観として大脳にインプットされます。ですが、偏桃体が扱うのはそのような新しい記憶ではありません。質問者さんの好みの女性、理想の女性は、もっと心の奥の方にいるようです。 追加 >「きれい」と感じる顔は平均顔なのですか。不思議ですね。なぜ我々は平均顔を「きれい」と感じるのでしょう?ご存知のことがあればお聞かせ願えたら、と思います。 人間が感じる顔の良し悪しには、「シンメトリー(左右対象)」というひとつの基準が考えられます。 被験者は、裏も表もない純粋な赤ちゃんです。この赤ちゃんに複数の女性の顔写真を見せたところ、左右対象をいう条件に近い顔に好意的な態度を示すという結果が得られたそうです。もちろん、ひとには個人の好みというものがありますから、このシンメトリーが美人の条件とは言いません。ですが、NHKで長年役者さんのメイクを担当していた人の手記によりますと(このひと最近引退して本を出したんです)、やはり吉長小百合さんはほとんど左右対象だったそうです。但し、人間の顔を完全に左右対象にメイクするとマネキンのようになってしまうのだそうです。ですから、やっぱり女性の魅力は個性ですよね(言い訳になってないか)。 >母性への働きかけは見逃せない因子ですね。異性への好意的感情が母性に起因する(すべてではないにしても)としたら、例えば恋愛感情はペットを愛玩するする際の感情と同種のものなのでしょうか。気になるところです。 質問とは関係ないと思ったものですから、これは書かないつもりでいたのですが、この際追加でもう一言。 「子供を可愛いと思う遺伝子」というのは発見されているようです。この遺伝子は母性本能の原因と考えられていますが、ヒトでは男女を問わず持っており、「小さい」「丸い」「柔らかい」といった赤ちゃんの特徴に興味を示し、それに触れることによって脳内に幸福感が発現するというものです。ですから、子犬も子猫もみんな可愛いんですね。 但し、これだけで恋愛対象とペットを同一に考えるのはちょっと難しいですね。男性にとっては体格差を踏まえれば、女性は「小さい」「丸い」「柔らかい」という可愛いの条件を全て満たしていますよね。ですが、やはり恋愛というものを性欲と完全に切り離して考えるのには少々無理があります。何故ならば、この条件を満たしているのであれば、それは女性でなくとも恋愛の対象になってしまうからです。 このような「可愛い」もそうですし、先ほどのシンメトリーのように、人間が先天的に快く感じる形状や形態は世の中にたくさんあります。例えは、絵画、建築、音楽などは、これらはみな、人間が快く感じられる刺激の組み合わせといっても良いと思います。 質問者さんは、何故可愛いのか、何故美しいと感じるのかと矢継ぎ早に質問されますが、それが文化的価値観であるのか、人間に潜在する遺伝子の働きであるのかを含めてきちんと究明しようとするならば、論文ひとつ書くぐらいの広範囲な問題となってしまうのではないでしょうか。 質問者さんの切り口はたいへん鋭いと思います。ですが、ここはもう少しゆっくりと、ひとつづつ研究してみては如何でしょうか。
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- gudou
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「きれい」は顔のパーツの大きさや配置のバランスである程度定義できるようです。 (基本的に平均値が良いみたいです。10年位前にTVで観たのですが100人くらいの 顔を合成して平均的な顔を作ると酒井法子さんみたいな顔が出てきました。) 「かわいい」は幼児性の要素で決まってくると思います。 (顔に占める目の比率が大きい、等。母性本能に訴える要素だと思います。)
お礼
ありがとうございます。 「きれい」と感じる顔は平均顔なのですか。不思議ですね。なぜ我々は平均顔を「きれい」と感じるのでしょう?ご存知のことがあればお聞かせ願えたら、と思います。 母性への働きかけは見逃せない因子ですね。異性への好意的感情が母性に起因する(すべてではないにしても)としたら、例えば恋愛感情はペットを愛玩するする際の感情と同種のものなのでしょうか。気になるところです。 疑問ばかりですいません。
- pompom-panda
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TVでやっていたことで、専門用語は判りませんが。 自分の遺伝子を違うタイプの遺伝子を持つ異性が良いそうです。なぜかそういう人に惹かれるそうです。 それと、声の高さ・周波数(ゆらぎ)も、心地よいと思うものがそれぞれあるそうです。 たとえば、赤ちゃんの声や、動物の声、、顔が変でも”かわいい”と思えるものがあるでしょう? 人間に限らず、母性や遺伝子レベルで 心地よい、好き と感じるものがあるそうですワ
お礼
ありがとうございます。 遺伝子の型がより離れている人を好むと考えると、配偶者決定における個人の選り好みを適応的な面から上手く説明できますね。また、母性は人の好みの共通性を考える上で重要なファクターといえますね。参考になります。
お礼
ありがとうございます。私のつたない表現から的確に意図を汲み取っていただき、それらすべてにわかりやすくお答えいただいたこと、大変感謝しています。何度も読ませていただきました。ruehasさんのご丁寧な解説のおかげで、大きく視界がひらけたような思いです。 >ここはもう少しゆっくりと、ひとつづつ研究してみては如何でしょうか。 気をつけたいと思います。ここ最近わき上がって膨らんできた疑問が一気に爆発するような形になってしまいました。今後疑問がわいた際にはぜひまたご教示下さい。