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建物収去・土地明渡し訴訟について
土地を競落され、当該土地上にある建物の収去・土地明け渡しを求められている場合についてなのですが(建物の対抗要件なし)、建物には登記がありません。そこで原告は課税台帳から所有者を割り出し課税台帳上の所有者に対して訴えを提起しました。しかし実際の所有者は課税上の所有者ともう一人の共有となっている場合(贈与による)、共有者は訴訟に参加できないのでしょうか。参加できるとすれば、その方法を教えてください。また、参加できるとした場合、共有者の一人が訴訟を代表することもできますか?地裁の事件です。 よろしくお願いします。
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>ちなみに処分禁止の仮処分前については特に証拠とかがなくても譲渡の事実を >主張できるものなのでしょうか。 結局、裁判で争うわけですから、裁判所が客観的にY1からY2への譲渡の事実を認定することができるもの、例えば贈与契約書などはあった方が良いことは言うまでもありません。 それは、Y1のみに対する裁判が確定した後に、Y2が第三者異議の訴え(民事執行法38条)をして強制執行を阻止しようとする場合も、異議の理由を明らかにしなければなりません(民事執行規則8条)ので同じです。 ただ、負ける見込みしか立たないようであるならば、できるならばお互いに話し合う機会を設け、譲れるところは譲り、相手方と早期に和解に持ち込んで余計な手間や訴訟費用を増大させない方が、お互いにとって良い結果になるのではないかと思います。 なぜならば、裁判のためにかかった訴訟費用は、原則的には敗訴の当事者の負担となり(同法61条)、例外的に、両当事者の訴訟追行の態様によって敗訴者側のみの負担にしては両者の公平が図れないと裁判所が考えた場合に、裁判所が両当事者の負担割合と額を確定することがあるだけだからです(民事訴訟法62条)。また、相手方が弁護士を雇った場合には、事案によってはその弁護士費用も請求されることもあります(最高裁判決昭和44年2月27日民集23巻2号441頁)。また、不法行為として損害賠償を請求されることもあります。 大変でしょうが、頑張って下さい。 以上、ご参考まで。
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- buttonhole
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>ちなみに第三者異議訴訟を起こすとどのような効果があるのでしょうか。 第三者異議訴訟は、強制執行の目的物について、所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者が、債権者に対して、その強制執行の不許を求める訴訟です。(民事執行法第38条第1項)もっとも、訴えを起こしただけでは、強制執行の手続きを止めることはできませんので、第三者異議訴訟の判決が確定するまで、強制執行手続の停止を命じる裁判を得る必要があります。(民事執行法第38条第4項)
お礼
ありがとうございました。
- nobitatta
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>登記で公示されていない物件についてそのようなことが認められると、 >被告の側でどんどん所有者(共有者)を変更、増加させることによって >訴訟の解決ができなくなるという事態が生じませんか? その通りです。 ご存知のように日本では、所有権の移転は当事者の意思表示のみで行われ(民法176条)、不動産の登記には公信力を認めていません。そのため、登記簿上の所有者が真の所有者であるとは限りません。また、課税台帳上の名義人が真の所有者であるとも限りません。 そのため、おっしゃるように、被告の側で係争物件を次々に譲渡して真の所有者が誰なのか分からなくして、訴訟での解決を困難にしてしまうことがあります。 これを防ぐため、被告側がそのような行為をする危険性がある場合、原告側は、訴え提起前に「処分禁止の仮処分命令の申し立て(民事保全規則23条、18条~20条)」を行い、被告側が本案訴訟の確定までの間、係争物件を処分できないように「処分禁止の仮処分命令(民事保全法23条)」を裁判所から出してもらうということをします。 >選定当事者という制度で訴訟を代表させることはできませんか? 前回の記号を用いて説明しますと、Xが最初からY1とY2を被告として提訴していた場合にはそれも可能と考えました。しかし、お話を聞く限りでは、XはY1のみを被告として提訴しているように思えましたので、その状態のままでは無理だと考えました。 XがY2を被告として新たに提訴し、裁判所がX・Y1間の訴訟とX・Y2間の訴訟の口頭弁論を併合する命令(民事訴訟法152条1項)を出した後であれば、Y2を被選定者にすることも可能だと思います。 ただ、やはりどなたか弁護士の方に相談なさった方が良いと思いますよ。相談料は通常、税込みで5,250円程度ですが、おそらく30分程度の相談時間では終わらないと思いますので、数時間の相談で数万円の出費にはなるかもしれません。しかし、やり方を間違えれば家を失い、何千万もの損害を出すことになるわけですから、それに比べれば数万円程度の相談料は安いものだと思いますが。。。
お礼
nobitattaさんもかなりお詳しいのですね。それで自信なしとの謙虚な姿勢は見習いたいものです。勉強になりました。ありがとうございました。ちなみに私も弁護士に頼んだ方がよいかとは思ったのですが、家自体かなり古く、勝てる見込みの少ない訴訟に投資するよりも、自分でやってダメなら諦める道を選ぼうと思っております。そう考えると弁護士への相談はちょっとしたものになってしまうと思いますし、そうなると弁護士も金にならないといい加減な対応をされそうなので。ご忠告は感謝いたします。 ちなみに処分禁止の仮処分前については特に証拠とかがなくても譲渡の事実を主張できるものなのでしょうか。
- buttonhole
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土地所有者Xが、その土地上に建っている建物(Y1、Y2の共有)の収去及び土地の明渡しの訴えを起こす場合、固有必要的共同訴訟ではないとするのが判例(最判昭43.3.15民集22-3-607)ですので、Y1に対してのみ訴えを起こしても、その訴えは適法となります。但し、強制執行関しては次のようになります。 1、建物がY1、Y2名義で登記されている場合 Y1に対する債務名義だけでは、強制執行はできません。Y2の同意書、あるいはY2に対する債務名義が必要です。(Y1に対する確定判決の既判力は、Y2に対して及ばないからです。) 2、建物が未登記の場合 Y1に対する債務名義だけで強制執行が可能となります。なぜなら、建物が未登記であり、課税台帳の所有者がY1となっていますから、特別な事情がない限り、Y1の単独所有と執行官は判断せざるを得ないからです。ただし、Y2が第三者異議訴訟を起こすことは可能です。 >定当事者という制度で訴訟を代表させることはできませんか? XのY1に対する建物収去及び土地明渡請求訴訟について、Y2(選定者)がY1を選定当事者とすることは可能でしょう。(民訴第30条3項)
お礼
どうもありがとうございました。失礼ですが法律家の方ですか?根拠条文、判例を引いているところをみると「一般人」とは思えなかったのですが。とにかくありがとうございました。また何かありましたらよろしくお願いします。ちなみに第三者異議訴訟を起こすとどのような効果があるのでしょうか。
- nobitatta
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昨日から暇にあかせて色々と考えていたのですが、 以下、競落人をX、家屋所有者をY1、Y1から所有権の一部贈与を受けた者をY2、としてお話をしていきます。 まず、本当に共有者Y2がいたとすると、XがY1に対して提起した建物収去・土地明渡請求に対する判決の効果は、Y2に対しては及びません。Y2は建物についての所有権(何割かの持分という制限はついていますが)を持っているわけですから、XがY1に対して勝訴し、それをもって強制執行しようとしても、もう一人の所有権者であるY2が同意でもしない限り強制執行をすることもできません。 Y2が同意しない限り、Xは改めてY2相手に訴訟を起こして勝訴する必要があります。 Y2がX・Y1間の訴訟に参加する方法ですが、まず、民事訴訟法上の参加の方法(共同訴訟参加(民事訴訟法38条)・補助参加(同法42条)・独立当事者参加(同法47条))は、制度趣旨が異なるため、この場合には使えないと思われます。 そこで、 (1) XからY2が提訴されるのを待って、その時に改めてXとY2との間で争う という方法が一つ考えられると思います。 次に、どうしても自らXとY1との訴訟に参加したいとお考えであるならば、 (2) 新たにY2からXに対して建物所有権確認の訴えを提起し、裁判所に申し出てXとY1との訴訟との口頭弁論の併合(同法152条1項)の命令を出してもらい、最終的に一個の判決で裁判をしてもらう という方法があると思います。 共有の場合、共有者一人一人が所有者であって、それぞれ別個独立の権利義務の主体です。今回のケースではY1もY2も個人でしょうし地裁の事件なので、訴訟代理人は弁護士しかなれません(同法54条1項)。そのため、共有者の一人がもう一方の訴訟を代表するということは、現在の制度上は無理ではないかと思います。 どうしてもY1は訴訟から外れたいということであれば、Xの請求をY1のみが認諾(同法266条)し、形の上ではY1は敗訴者となってX・Y1間の争いを終結させるか、X・Y1との間で和解(同法267条)を成立させて終結させるか、Xとの話し合いでY1への訴えを取り下げてもうらう(同法261条)といった方法が考えられるのではないかと思います。 しかし、問題の建物の立っている土地が借地で借地権の登記がなされているということもなく、建物の登記もなされていないということですと、競落人から見ればY1もY2も土地の不法占拠者ということになってしまうと思われます。そうすると、いずれにしろ、かなり難しいことになると思いますので、どなたか弁護士の方にお願いするか、せめて相談するかなさった方が良いのではないかと思います。
補足
非常に詳細なご説明ありがとうございました。ご回答に対しての質問なのです。所有者が異なると判決の効力が及ばないとのことですが、登記で公示されていない物件についてそのようなことが認められると、被告の側でどんどん所有者(共有者)を変更、増加させることによって訴訟の解決ができなくなるという事態が生じませんか? また、選定当事者という制度で訴訟を代表させることはできませんか?被選定者は弁護士に限られるのでしょうか? ちょっと聞きかじったことを元に質問しているので、大変ご迷惑かと思いますが、詳細なご説明をいただいたところを見ると相当お詳しいと思いましてご質問させていただきました。よろしくお願いします。
お礼
非常に参考になりました。細かい部分まで配慮していただきましてありがとうございました。