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振動特性係数Rtについて
地震力を求める際(正確には地震層せん断力係数ですが)に必要な係数だと思うのですが、なぜ設計用一次固有周期が長くなるとRtは小さくなるのでしょうか? 固有周期は揺れた後の揺れが1往復かかるのに要する時間だと思うのですが、固有周期が長いとそれだけ揺れているということだから、地震力も大きいのでは?と思うのです。 しかし、振動特性係数Rtが小さくなると地震力も小さくなるんですけど・・・・
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#2です。 以下の部分、用語が間違っていましたので、訂正します。 一般に固有振動数が地震動主要動と一致すれば、 建物の固有振動数が、入力周期の√2倍以上になると 1次固有周期が地盤の卓越振動数より長い場合は、 以上3箇所「振動数」を「周期」に訂正 ついでに、若干補足します。 >固有周期は揺れた後の揺れが1往復かかるのに要する時間だと思うのですが、固有周期が長いとそれだけ揺れているということだから、地震力も大きいのでは?と思うのです。 固有周期については質問者のいっているとおりです。 この文については感覚的にわかりづらいものなのですが、イメージ的に説明すると1回の振動に時間がかかるということは、ゆっくり揺れる、すなわちその速度が遅いということです。 振動のエネルギーは速度の2乗に比例しますので、速度が遅くなれば、振動エネルギーも小さくなります。 また単純なモデル化した固有周期の関係だけから求める場合、加速度は速度に比例し、固有周期に反比例しすると見なせます。 固有周期が長い(大きい)と加速度が小さくなり、地震力は加速度と質量の積で表されるので、小さくなります。 耐震設計は静的設計(時間によって変化がないという前提条件による解析)を基本としています。しかし地震のような時間変化がある問題を取り扱うためには動的な計算が必要です。 設計基準はなるべく煩雑でないことが求められるので、複雑な地震応答解析を行わないで、動的なことを考慮するために、Rtのようなパラメータが導入されています。
Rtの一般的な説明はこのようになっています。 「振動特性係数。建物の固有周期が地盤周期より長い場合には、建物に生ずる地震力を低減するための係数」 一般に固有振動数が地震動主要動と一致すれば、共振現象により振動は増大します。 理論的には減衰が0の場合は、振幅は無限大となり、確実に倒壊に至ります(現実的には材料内の内部減衰、摩擦、空気抵抗などにより1~2%程度の減衰が存在するので無限大にはなりませんが)。 建物の固有周期が地震の主要動の卓越周期より、短い場、その差が大きいほど小さくなります。 理論的には建物の固有周期が無限に小さくなると、建物は剛体と見なせて、建物の応答はしなくなり、地盤と一体として動くので、入力地震波=建物の応答値となります。 逆に、建物の固有周期が地震の主要動よりも長いと同様に応答は小さくなります。地震の場合いろいろな周期成分があるので必ずしもそうならないのですが、機械振動のように正弦波加振の場合、建物の固有振動数が、入力周期の√2倍以上になると入力より応答値が小さくなります。 以上のことは機械の振動論の入門書に記載されていますので、読んでみてください(但し、周期ではなく周期の逆数の周波数で述べてあります)。 振動特性係数は設計用で用いることから、実用的に簡略化してあります。 そのため以下のような仮定で造られていますので、質問のようになっている。 1)建物の固有周期はたくさんあるが、応答に最も影響が大きいのは1次固有周期(それ以上のものを検討する必要があれば地震応答解析をする) 2)地震動の周期もいろいろあるが、最も影響が大きいのは1次卓越周期 3)卓越周期は、地震断層の特性、伝播経路、表層地盤の振動特性により変わるものであるが、地震断層の特性・伝播経路は地震ごとに変わるものであり、1つの建物に影響する地震について全て検討するのは、煩雑であり、一番影響するのは地盤の振動特性であるので、簡略化して地盤の卓越周期を用いる。 4)1~3より建物と地盤の1次固有周期の関係を用いる。 5)応答が最大になる共振を考慮して、その応答を基準にして設計する。 6)先の仮定が成り立つ場合、建物の固有周期が短い場合は、1次の共振よりは小さくなると思われるが、入力より応答が小さくなることはなく、また建物高次の固有周期は1次より短いので、高次の振動により共振が発生する可能性があるため短い側は下げない。 7)通常1次固有周期より長い建物の固有周期はないのでそのような成分により強震は発生しないので、1次固有周期が地盤の卓越振動数より長い場合は、共振発生時に比べて応答が小さくなる。 8)応答が小さくなると建物に加わる力も小さくなる なお、免震建物は周期を地盤の固有周期の2倍程度にして共振を避け、応答値を入力より小さくすることにより、耐震性を高めているものといえます。