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確率積分
確率積分を実行する、ある程度一般的なアルゴリズムというのは存在するのでしょうか? 私が今困っているのは、∫B exp(B)dBという確率積分なので、 これさえ計算できれば十分なのですが、 できれば一般論か参考書籍など教えて下さい。
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- adinat
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伊藤の公式というこれしかないというぐらい偉大で便利な公式があります。要は変数変換公式のようなものですが、非常に汎用性があります。テーラー展開の確率積分に対する一般化ともいえます。なお、確率積分に対しても部分積分の公式は存在します(ただし余分に相互変動項が出ますが)が、その証明もやはり伊藤の公式を使います。 f(x)を二階微分可能な関数とします。このときB_tをブラウン運動とすれば、伊藤の公式の微分形は df(B_t)=f'(B_t)dB_t+1/2・f"(B_t)d<B>_t で与えられます。第二項の<B>_tはブラウン運動の二次変動のことで、要するに<B>_t=tですから、通常のスチルチェス積分(この場合はただのルベーグ積分)です。f(x)=xe^xはC^2級だからそのまま定理を適用して、両辺を時刻0からtまでで積分すると(ブラウン運動は原点出発とします。i.e. B_0=0 a.s.) B_texp(B_t)-0=∫(1+B_s)exp(B_s)dB_s+1/2∫(2+B_s)exp(B_s)ds となります。右辺第一項の確率積分の項をばらせば、 ∫(1+B_s)exp(B_s)dB_s=∫B_sexp(B_s)dB_s+∫exp(B_s)dB_s であるので、結局 ∫B_sexp(B_s)dB_s=B_texp(B_t)-∫exp(B_s)dB_s-1/2∫(2+B_s)exp(B_s)ds が得られます。この式は通常の部分積分の公式に余分な剰余項1/2∫(2+B_s)exp(B_s)dsがついたものであると考えることも可能です。実際これはブラウン運動と指数ブラウン運動の相互変動を与えています。詳しくは確率積分の専門書をご覧になられたらと思います。なお、この剰余項を消して、通常の解析と同じように部分積分を正当化するためのFisk-Stratonovich積分という確率積分の親戚もあるにはあります。 右辺にはまだ確率積分∫exp(B_s)dB_sが残っていますので、ここでもまた伊藤の公式を使います。今度はf(x)=e^xに対して適用します。そうすると d[exp(B_t)]=exp(B_t)dB_t+1/2・exp(B_t)dt ですから、両辺を0からtまで積分して exp(B_t)-exp(B_0)=∫exp(B_s)dB_s+1/2∫exp(B_s)ds を得ます。すなわちexp(B_0)=1に注意して、 ∫exp(B_s)dB_s=exp(B_t)-1-1/2∫exp(B_s)ds と言うわけです。全部まとめますと、 ∫B_sexp(B_s)dB_s=B_texp(B_t)-(exp(B_t)-1-1/2∫exp(B_s)ds)-1/2∫(2+B_s)exp(B_s)ds =1+(1+B_t)exp(B_t)-1/2∫(1+B_s)exp(B_s)ds になるかと思います(計算ミスしていたらごめんなさい)。なお最後にまだ積分が残っていますが、これはブラウン運動のサンプルパスは連続関数であるので、その単なるルベーグ積分(あるいはリーマン積分も可能なので、リーマン積分と思ってもよいですが)に他なりません。 確率論専攻の学生向けの教科書ですが、有名なものに、 カラザス・シュレーブ『ブラウン運動と確率積分』 エクセンダール『確率微分方程式―入門から応用まで』 などがあります。いずれも邦訳あり。あと、 Revuz & Yor "Continuous Martingales and Brownian Motion" Ikeda & Watanabe "Stocahstic Differential Equations amd Diffusion Processes" なんかも非常に有名な入門書です。 金融工学なんかでも伊藤解析はよく使われるようになったので、巷には相当数の入門書があると思います。それらを参照されてもよいかと思いますが、上に挙げたのはどれもちゃんとした数学の教科書なので、読むのは大変かも知れません。 余談なんですが、夏休みに某証券会社のインターンシップに参加したとき、社員の方がカラザス・シュレーブを持ち出してきて、これ読まないといけないんだけど難しいよね~、なんておっしゃっていました。すごく納得したものです。ちょうど大学のゼミで読んでいる最中でした。
- ryn
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> 確率積分に対しても問題ないのでしょうか? B が普通の変数でこの積分で 確率を求めようとしているのだと思っていました. 私ではお役に立てそうもありません.m(_ _)m
- ryn
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自信なしですが, とりあえず, ∫B exp(B)dB は部分積分でできます. また, ∫B^n exp(B)dB (nは正の整数) なども部分積分を繰り返せば可能です. したがって, ∫f(B) exp(B)dB という形の場合, f(B) がそれなりに行儀のいい関数であれば, テーラー展開してしまえば積分可能だと思います. つぎに ∫B exp(f(B))dB のように,指数部分が B の関数だと 積分できないものがたくさんありそうなので あまり一般論はないのかもしれません. 参考書籍は途中経過が必要ないなら 岩波の数学公式集あたりでしょうか. あるいは mathematica に計算させるとかでも すぐに結果はわかると思います.
お礼
そういえば「岩波」は確認してませんでした。 ありがとうございます。 早速明日確認してみます。
補足
「岩波」では確率積分は、正規分布を積分したものを指すみたいです。 また、「Mathematica確率 基礎から確率微分方程式まで」という タイトルの本を借りましたが、解析的にMathematicaで解くスタンスではないです。 部分積分を繰り返すという操作は 確率積分に対しても問題ないのでしょうか?
お礼
もっとあからさまに解を求めたかったのですが、 無理みたいですね。ありがとうございました。