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根抵当の後継債務者決定に協力しなかったら
根抵当権の債務者が死亡した場合、六ヵ月経過すると元本が確定するため、取引を継続したければ、それまでに指定債務者を決める合意の登記をしなければならないそうですが…。 相続人の一人である父は、熟慮期間を九ヶ月に延長しており、指定債務者を決める登記に協力すると、単純承認したものとみなされてしまいます。(このことは司法書士や弁護士に相談してわかりました。) 遺産は負債が多いため、単純承認を避けたいのですが、六ヶ月の期限はもう目の前です。期限の実質四日前に突然銀行が書類を持って来て、初めて根抵当の期限のことを知った次第です。 父は、債務者の立場からは抜け出したいが、単純承認はしたくないというジレンマに陥り、銀行の対応が悪いこともあって、登記に協力しないと言い出しました。 しかし、相手は銀行ですから、元本確定を避けるために、どんな手を使ってくるかわかりません。すでに、担保に入っている土地・建物は、全て指定債務者(の予定者)名義に変えられてしまいました。(債権者の特権で債務者名義に変更できると聞きました。) これらの不動産を相続できれば、債務返済の見込みがあったかもしれないのですが、今となってはどうしようもありません。 父が協力しないまま六ヶ月の期限を迎えた場合、どんな不利益が予想されますか?最悪の場合、裁判を起こされることもあり得るのでしょうか? もちろん、我が家の場合は相続放棄が最善策であることはわかっていますが、後学のために、このようなケースで銀行がどう動き、どのような結果を生むのかが知りたいのです。 どうぞよろしくお願いします。
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>根抵当権の債務者が死亡した場合、六ヵ月経過すると元本が確定するため、取引を継続したければ、それまでに指定債務者を決める合意の登記をしなければならないそうですが…。 指定債務者の合意の登記の意味について、例を挙げて説明します。(民法第398条の9第2項) 「甲は個人で事業をしていたが、X銀行から融資を受けるために極度額1000万円の根抵当権(債権の範囲 銀行取引、手形債権、小切手債権)を所有している土地・建物に設定した。甲は、運転資金としてX銀行から500万円の借入をしたが、その後、死亡した。甲の相続人は、妻の乙と長男の丙である。丙は、甲の事業を継ぐことを決め、新たにX銀行から事業資金として200万円を借りるため、担保として既に設定されいいる1000万円の根抵当権を利用したいが、どうすればよいか。なお、土地建物は、丙が取得する旨の遺産分割協議が乙と丙の間で成立している。」 この場合、次のような登記をします。 1、丙の単独申請による、相続を原因とする丙への所有権移転登記。 2、銀行Xと丙との共同申請で、相続を原因として根抵当権の債務者を乙と丙に変更する。 3、銀行Xと丙との共同申請で、指定債務者の合意の登記をする。(債務者を丙にする。) 4、相続開始前の債務(500万円の借入)を担保するために銀行Xと丙との共同申請で、債権の範囲の変更登記をする。ところで、500万円の債務は、相続分に応じて相続人が承継しますから、乙が250万円、丙が250万円を承継します。一般的には、銀行X、乙、丙の合意により、乙の250万円の債務を丙が引き受け、乙がその債務を逃れるようにします。(免責的債務引受)債権の範囲の変更をする場合、それも範囲に含める登記をするのが通例です。 債務者が死亡してから六ヶ月以内に3、の登記がされない場合はどうなるでしょうか。その場合、債務者の死亡の時点で、その根抵当権の元本が確定したとみなされます。(民法第398条の9第4項)つまり、甲の債務である500万円は、その根抵当権で担保されますが、相続開始後の相続人の債務である200万円の借り入れは、その根抵当権では担保されません。担保させたければ、あらたに抵当権や根抵当権を設定するしかありませんが、設定登記の登録免許税は、債権額あるいは極度額の4/1000になります。一方、2、3、4、の登記の登録免許税は、それぞれ、根抵当権が設定されている物件の数×1000円で済みます。(もちろん、司法書士に払う報酬は別ですが。) このように考えますと、指定債務者の登記のメリットを享受するのは、銀行よりも、指定債務者、不動産の所有者なのです。(登記に必要な費用は、通常、債務者、設定者が負担する。)銀行は、指定債務者の登記がされるか、あるいは、新たな根抵当権の設定登記がされない限り、新たに融資をしなければいいだけの話なのです。 >すでに、担保に入っている土地・建物は、全て指定債務者(の予定者)名義に変えられてしまいました。(債権者の特権で債務者名義に変更できると聞きました。) その不動産は、死亡した債務者が所有していたのですよね。おそらく、その人に、その不動産を相続させる旨の遺言があり、その内容の遺言書を添付して相続登記を申請したのではないでしょうか。そうでなければ、御父 様の実印や印鑑証明書を悪用して書類(遺産分割協議書など)を偽造して、そのような登記をしたとしか考えられません。 >父が協力しないまま六ヶ月の期限を迎えた場合、どんな不利益が予想されますか? 指定債務者予定の人がその不動産を相続(その人の名義にした)したのでしたら、銀行とその人が合意して指定債務者の登記をすれば済む話です。 >父は、債務者の立場からは抜け出したいが、 その指定債務者予定者(不動産の所有者)が免責的に債務を引受すれば、その債務については、御父様は債務を逃れることはできます。もちろん、上述のように債権者、引受人、引き受けされる人の合意が必要ですから、そのことも考慮して、相続放棄するか単純承認するか、弁護士の意見なども踏まえてお決めになればよいと思います。
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- buttonhole
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補足です。 4の登記も、銀行と次男の共同申請でできます。ただし、債務引受契約が成立していないのに、債務引受による債権を担保するための債権の範囲の変更登記をするわけにはいきませんので、現段階では、3までの登記しかできないでしょう。(期限があまりないようですので、依頼を受けた司法書士は、大変だと思いますが。)
- buttonhole
- ベストアンサー率71% (1601/2230)
>だとすれば、なぜ銀行はあんな書類を持ってきたのでしょう。しかも期限ギリギリに…。 銀行員が法律に精通しているとは限りません。まして、登記手続に精通している人は少ないと思います。どのような書類を徴収するかはマニュアルに書いてあるかもしれませんが、その書類の意味が分からなければ、具体的事例で、誰から、どのような書類をもらうべきか分からないと思います。 ご相談の事例では、2,3の登記までは、登記権利者である銀行と登記義務者である次男の共同申請で登記できます。2の登記がされると御父様が債務者として、登記簿に記載されてしまいますが、相続放棄の申述が受理されれば、はじめから相続人でなかったことに、つまり債務者でなくなるのですから、そのままでも問題ありません。必要ならば、債務者の更正登記を銀行と次男が共同で申請すればいいだけの話です。 次に既に発生している被相続人の債務に関しては、相続分に応じて相続人が相続します。 御父様が単純承認した場合、債務引受契約をするのが通例だと思います。それをしないと、例えば1000万円の債務でしたら、債権者は長男に500万円、次男に500万円しか請求できないからです。 債務引受には、重畳的債務引受と免責的債務引受があります。相続債務を前者の方法による場合、たすきがけの債務引受にすることが多いです。つまり、長男は、次男の500万円債務を重畳的に引受をし、次男は、長男の500万円の債務を重畳的に引き受けます。その結果、長男と次男は、連帯して1000万円を払う義務を負いますから、非常に債権者にとって有利な契約です。 後者の方法は、長男の500万円の債務を次男が引受、長男は500万円の債務を逃れるという方法です。この結果、次男が1000万円の支払の債務を負うことになります。もしかしたら、銀行が御父様に書類を要求したのは、どちらの債務引受かわかりませんが、債務引受契約書ではないのでしょうか。その書類をもらって、3の債務者および債権の範囲の変更登記もするつもりなのかもしれません。相談された司法書士にその書類を見せれば、その書類の意味を教えてもらえると思います。
お礼
再度のご回答ありがとうございます。件の書類をよく見せてもらったところ、「免責的債務引受契約証書」「根抵当権変更契約証書」「手続依頼書」「相続届」「念書」でした。どうやらご指摘の通り、債務者と債権の範囲変更を行うための書類のようです。 司法書士の方にも既に書類のコピーを送ってあり、見てもらえることになっているそうです。銀行の方とも、また話し合うことになるでしょう。 父の優柔不断から起こった今回の件ですが、いろいろと勉強になりました。父もそろそろ承認か放棄かを決められると思います。 buttonhole様には本当にお世話になり、厚く御礼申し上げます。
- buttonhole
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訂正です。 4、相続開始前の債務(500万円の借入)を担保するために銀行Xと丙との共同申請で、債権の範囲の変更登記をする。 相続開始前の甲の債務は、当然、その根抵当権で担保されますので、債権の範囲の変更をする必要はありません。丙の相続開始前の債務を担保したり、甲の債務を相続した乙の債務を引き受けしたような場合、債権の範囲(あわせて債務者の変更もする。)の変更登記をします。
- tk-kubota
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>後学のために、このようなケースで銀行がどう動き、どのような結果を生むのかが知りたいのです。 それは、その銀行が根抵当権の実行つまり競売してくるでしよう。 その債務者が死亡しているならば債権者代位権によって法定相続人に所有権は移転できます。誰の、承諾も印も不要です。 なお「最悪の場合、裁判を起こされることもあり得るのでしょうか?」と云いますが、抵当権(根抵当権)があれば裁判しなくても競売はできます。 また、相続放棄しても競売は免れることはできません。
お礼
早速のご回答ありがとうございます。確かに競売の可能性がありますね。父のせいでそんなことになったら、また揉めるので、さらに調べてみます。 放棄が最善策と書いたのは、遺産の負債額が莫大だからです。そして、その負債は全額、指定債務者となった父の弟が作らせたものです。従って、連帯保証人でもない父にしてみれば、厄介ごとに巻き込まれるのは御免、ということなのです。 それにしても、銀行はなぜ期限ギリギリになって突然やって来たのでしょう。まったく不誠実だと思いますし、解せません。
お礼
詳しいご回答ありがとうございます。今は2の段階まで進んでいるのですね。それにしても、登録免許税の額にそんなに差が出るとは知りませんでした。 相続人は、長男(=父)と次男です。指定債務者に決定したのは次男でして、根抵当権の設定された不動産を全て相続させる旨、遺言がありました。言葉足らずで申し訳ありません。 父は、もともと親の債務の連帯保証人ではなく、借金は一円もありませんでした。だから、債務者扱いされるのが嫌なようです。(親の債務は全額、身勝手な次男が強引に作らせたものですから、父が背負ういわれはなかったのです。) > 銀行とその人が合意して指定債務者の登記をすれば済む話です。 と仰いますが、つまり、父はすでに無関係であって、書類に署名・捺印する必要は全くない、ということでしょうか。だとすれば、なぜ銀行はあんな書類を持ってきたのでしょう。しかも期限ギリギリに…。 さらに調べてみます。ありがとうございました。