Umada さん:
> 以下は、話が複雑になるのでZincerさんsiegmundさんは省略されたのだと思いますが、
ありゃ~,手抜きが...
Umada さんの鋭いご指摘と見事なご説明の通りです.
以下は蛇足です.
原子の間の相互作用のポテンシャルは,
あるところに極小をもつような関数形になっています.
したがって,この極小のところが安定点です.
ただし,原子は静止しているわけではなく,この安定点の前後を振動しています.
ポテンシャルを U(r) と書くことにしましょう.
r=r0 が極小点とすると,このまわりで U(r) は
(1) U(r) - U(r0) = (1/2) k (r-r0)^2 + a (r-r0)^3 + ...
と展開できます.
極小点ですから,r-r0 の1次の項はありません.
力Fは(1)をrで微分して符号を変えたものですから
(2) F(r) = - k (r-r0) - 3a (r-r0)^2 + ...
(2)の右辺の第1項だけ取りますと,
伸びる側(r-r0 > 0)も縮む側(r-r0 < 0)もFの絶対値が同じになります.
符号がちがう?
それは,伸びたばねは縮もうとし,縮んだばねは伸びようとするからです.
したがって,振動しても距離の平均値は r0 のまま.
さて,(2)の右辺の第2項まで考慮に入れてみましょう.
a<0 とすると,r-r0 > 0 のときの方が r-r0 < 0 のときよりFの大きさが小さい.
つまり,Umada さんの「縮める時のほうが伸ばす時より力がいる」になっているわけです.
原子間のポテンシャルを正確に求めるのは困難ですが,
よく使われるのは
(3) U(r) = -C r^(-6) + B r^(-12)
の形(レナード・ジョーンズ型)です.