こんにちは。
面白い目の付け所ですね。
私も十分な理解をしているわけではないでしょうが、次のような回答ではいかがでしょう。
まず、燃料電池と、水素エンジンとを比較された考え方は全く正しいと思います。両者には結構共通点があります。
燃料電池でも排気ガスは出ます。石油・アルコール系燃料電池では水蒸気に加えてしっかり二酸化炭素まで出ますし、水素系燃料電池なら排気ガスは水蒸気だけですが、注入する水素を電気分解で作ると発電所ではやはり多くが石油を燃やすことになるでしょう。
また、燃料電池でもしっかり廃熱が出ます。その点ではエンジンと同じように冷却(ムダに熱を捨てるプロセス)が必要でしょう。
それでも燃料電池の自動車への適用が期待されるのは、やはり、排ガスと効率の問題です。
・燃料電池でも排ガスが出るとはいえ、反応温度が低いので「窒素酸化物」は出にくく、分子レベルで反応が進むので石油系燃料電池でも「微粒物質」(すす)は出にくく、いわゆる「有害排ガス」は極端に少ないのです。
また、同じように石油がエネルギー源の場合でも、自動車で石油を燃やすのに比べ、発電所で燃やす場合は、排ガス処理装置が大型にできるので、「有害排ガス」の処理はこれまた極めて有利になります。
・熱効率でも燃料電池は極めて有利です。同じように廃熱は出ますが、そのレベルは非常に低く、ガソリン車で7割近くを捨てている(エンジン自体の保護のために冷却するとともに、爆発的膨張を使うので、まだ熱いのに膨張速度の下がった燃焼ガスはみすみす捨てている)のに比べて、燃料電池車は損失を3割以下にすることも夢でないとか。この程度だと、発電所の電気で水素を作るような二度手間による効率の低下もカバーでき、余熱は車内の暖房にちょうど良い程度になるかも知れません
(大規模な発電所は、車載エンジンに比べて、熱効率の点でも有利です)
なお、この他に、燃料電池車は、電気を中間媒体とする(動力に電気モーターを使用する)ことで、停止のエネルギーを次回の加速に使える(回生)や、加速に有利な設計をすると定速運転の場合の効率を犠牲にしなければいけないエンジン車の宿命の部分で有利でしたが、この点は、「ハイブリッド車」の実用化であまり強調できなくなってきました。
また、ブラジルなどでは農作物やその副産物を発酵させてアルコールを作り、エンジンを回す自動車の普及が進んでおり、これらは、化石燃料に比べて温暖化ガスの絶対的排出量を減らすことができ、中期的には有力な取り組みともいえます。(排ガスの点でも有利。)
それらの点で、エンジン車(内燃機関)も捨てたものではなく、未だ高価で大きさの割に出力が低い燃料電池を手放しでは誉められないので、質問者さんの目の付け所は間違っていないでしょうね。要は、どの時代に着目するかということでしょうか。
さてさて、長くなりましたが参考になりますでしょうか
お役に立てれば幸いです。