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代物弁済権の行使によって使用貸借人(条件設定有り)に退去を求めるには?(長文です)
微妙な権利関係について、専門家又は専門知識のある方に的確なアドバイスを頂きたく質問させて頂きます。 以前より、土地建物の所有者AはBに対して金銭債務があり、債務不履行に備えAの土地建物に代物弁済を設定し登記も済んでおります。 一方、Aは妻Cとその後に離婚する事になり、離婚裁判時の和解調書の中で次の取り決めが成されました。 AはCに対し、A所有建物につき、子が成人するまで使用貸借に基づき無償で居住する事を認め、期間中において“特段の事情が”生じない限り退去を求めない。ただし、Cが再婚する“等”の特段の事情が生じた場合は、双方において協議する。 これに基づき現在Cは無償にて居住をしております。 当該物件に掛かる固定資産税などは当然Aが負担をしており、Cは利得を得ているだけの状態です。 さて、最近になってAの債務履行が出来なくなる事態が発生し、債権者であるBは代物弁済件を行使して当該物権を取得し回収の為に退去を求め売却したいと考えており、債権者であるAも了承しました。 ここで問題なのですが、 1) Cは貸借期間を主張して退去を拒むと考えられる 2) Aは特段の事情が生じた状態であり、使用貸借を継続する事は出来ないと主張する 3) Bは権利を行使して借家権が発生せず(使用貸借であるため)特段の事情が発生している事をCに指摘の上、Bに明け渡しを求める。 このような状態になりそうなのです。 この事案の場合、債権者Bが目的を達成し、債務者Aがそれにより債務を完了する事は出来ないのでしょうか? Cが主張するように、この状態が特段の事情ではなく、Cの主張が通る程度の状態であるならば、どれ程の状態になれば“特段”と認められるのか甚だ疑問です。 皆様のアドバイスをよろしくお願い申し上げます。
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>でもBは貸主の地位を承継しているので、BはCに使用を許す必要があると思います。 BがAから所有権を取得したとしても、貸主としての地位を当然に承継するわけではありません。承継するとすれば、BがAから契約上の地位(使用貸借契約の貸主)の譲渡を受ける必要があります。おそらく、Cの権利が賃借権の場合と混同しているものと思います。賃借権であって、Bに対する所有権移転登記(本件では、所有権移転請求権仮登記または条件付所有権移転仮登記)の前に対抗要件を具備したものであったなら、Bに所有権が移転すれば、Bは当然に賃借人としての地位も承継するというのが判例法理です。 本件では、仮登記担保法に基づいて有効にBが所有権を取得し、仮登記の本登記がなされれば、Bは、Cに対して所有権に基づく妨害排除請求権により、当該不動産の明け渡しを求めることができます。使用貸借では、「売買は賃貸借を破る。」という法理にもどるわけです。
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- buttonhole
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訂正です。 誤 Bは当然に賃借人としての地位 正 Bは当然に賃貸人としての地位
- tk-kubota
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Aの所有で、AがCに使用を許したわけですよね。 それでAはBに所有権移転すれば、当然Aは貸主の地位は失いますので貸し続けることはできません。 でもBは貸主の地位を承継しているので、BはCに使用を許す必要があると思います。 何故かと云うと、Cは占有していることで対抗力をもっているので「子が成人するまで」はCはBに対して明け渡さないでいいと思います。 Bは「子が成人」したなら自由に使えますから、それだけで利益はあるわけです。 民法597条は、特に年月日を約束しないでも「子が成人するまで」と云うようにしてもかまわないことになっていますし、もともと、「対抗」と云うのは、相手に変更があった場合に、その権利を変更後の者に対しても主張できるかと云うことで、例えば、CはAから不動産を買い、登記のしないままでいたところ、AはBに売却し、所有権移転登記すれば、CはBに「私の方が早かったので私の所有」と云えないことにっています。それは、Cには対抗力がないので(登記が対抗力のため)そうなります。Cとすれば、相手がBではなくDでもEでも同じです。 今回の場合に、例えば、AはCになんとなくそのままにしていたなら、Aは何時でも明渡ができるので、そう云う状態でBに移転すればBは明渡請求できます。 なお“特段の事情”ですが、AはBから借金しており、その返済に替えて所有権移転することが“特段の事情”とは云えないと思います。
- tk-kubota
- ベストアンサー率46% (2277/4892)
>不可能と言うのであれば、どういう権利関係が働き無理なのか? はい、私がとっさに思いついた条文は、民法597条です。 つまり、AとCとの間で交わした和解調書で「子が成人するまで使用貸借に基づき無償で居住する事」とあるので上記条文で「子が成人するまで」は明渡は不可能と考えました。 なお、対抗要件は登記ではなく占有と考えていました。
補足
597条の解釈を違う角度から考えられませんか? 本物件の使用貸借の実質的根拠は、Aが物件を所有且つ自由に使用できる事の上に成り立っていると考えると、所有権がAから離れ自由に使用できない状態になった事により、AがCに本物件を無償で使用収益させる為の実質的根拠が失われたと。 それと、例えば仰る通りとしても、Aに対してはそれを盾にして訴えられるとは思いますが、Bに対しては通用しないですよね? だからこその“占有”による対抗なんでしょうか? またその場合の占有は誰に対しての何を根拠(合法か非合法か?)にした占有なんでしょうか? それからtk-kubotaさんの解釈の中に“特段の事情”条文が全く出てきませんが、tk-kubotaさんにとってそこの解釈は問題外と言う事でしょうか? 自信がお有りとの事ですから、もし宜しければ、紋切り型ではなく解りやすいように教えて頂けるとありがたいのですが。
一つ思いついたのは抵当権の場合は競売して不足であれば更にAに不足分を請求できますが、この場合はたとえばCが立ち退きを拒否しているため強制執行するにしてもそれらの費用は全部Bが負うことになります。 もしその費用を差し引いた結果、当初の債権金額に満たなくてもAに対して不足分は請求出来ないでしょう。 Cに対しては請求できますけど。。。 本題とは少しずれますが、、、、
>賃借権の事を考えてみても、先に登記を得た抵当権者に対しては対抗出来ず とは限らなかったと思いますが(原則は言われるとおりです)今回の場合は賃借権は関係しないのでBはAから弁済を受けたあと所有権の行使として立ち退きを求めることは出来ると思いました。 >mickjey2さんはどうお考えでしょうか? 論点がすこし違っているのかもしれませんね。 少なくとも代物弁済を受けた時点で、Aは債務の弁済を完了しているのでAに対してCの立ち退きをさせるように求めることは出来ませんね。(債務は消滅しているので) ご質問者は債務の完了がCが立ち退いて売却されて債務完了と書かれていますが、それは間違いで、代物弁済時点でA,B間の債務関係は消滅します。 あとはB,C間の話だけになります。 このあたりが少し抵当権と違うところです。 そういう意味ではないのかなぁと。 ただ単純に所有権を得たBがCに対して立ち退きを求めることが出来るかどうかという問題に帰着しますので、このときBがAとCの契約を引き継ぐかどうかが問題になるのだと思います。 賃借権が存在しているときには当然にしてBはAからその賃借契約を引き継ぎますけど、今回の場合は違うわけでして。 今回のような登記後に成されたA,B間の約束にCが拘束されるとは思えないのですが。 (それが出来るくらいであれば登記の意味がない) 拘束されないのであれば、当然にしてCは所有権に基づく立ち退き要求を拒否する対抗要件は持っていないと思います。
補足
そうですね、抵当権の場合との違いを忘れてました。 まぁ、ただこの場合でも、代物弁済を実行してBが所有者となった時には、使用貸借のCはAとの契約内容を以ってBに対抗し得ない(所有者が変わった場合には対抗要件を持たない)筈ですよね? であれば、Bは所有権を得た物件を売却或いは使用収益するために退去を求める事が出来るのではないかと私も思います。 CはAとの関係でしか対抗要件を持たず、従ってAに対し損害賠償或いは違う形(別の手立ての要求等)での対応を求めるしかないのではと。 その場合解釈で問題になるであろう部分がmickjey2さんの仰るとおり“特段の事情”では無いかとも思います。 明け渡し請求は出来ないと言う理由をもう少し待ちたいと思いますが、何か他にもお考えがお有りでしたら教えて下さい。
- tk-kubota
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タイトルでは、退去を求めることができるかどうか、と云うようですが、本文では「この事案の場合、債権者Bが目的を達成し、債務者Aがそれにより債務を完了する事は出来ないのでしょうか?」と云うようです。 ご質問のポイントを絞ってくれませんか。 でも、とりあえず、上記前者では「退去を求めることができません。」で後者では「債務は消滅します。=民法482条」となります。
補足
ありがとうございます。 mickjey2さんのアドバイスが私の拙い知識と近いのですがまったく違う解釈なのですね。 質問のポイントと言う事ですので。 BはCが物件に居住を続けた状態では目的を達成し満足を得る事は実質的に出来ないわけです。 一方Aにしてみれば“特段の事情”が生じた状態と考えておりますので、協議を経るとしても退去をしてもらいたい訳です。そうなる事で債務も消滅する訳ですし。 Cは使用貸借の状態であり期限設定されてはいますが、特段の事情を無視或いは認めずに例えば借家権等を主張しようとしても、そもそも使用貸借に借地借家法の適用は無かったのではないかと考える訳です。 ですから、AとBにとっての解決である、Cを退去させてBが物件を売却し債権を回収、Aはそれにより債務が完了するにはどうすれば良いのかと言う事です。 またその場合新たに発生する問題は?(例えばCとの関係において等) 不可能と言うのであれば、どういう権利関係が働き無理なのか?各々の関係について知りたいのです。
>1) Cは貸借期間を主張して退去を拒むと考えられる CはAには対抗できるがBには対抗できない。(単なる使用貸借であり登記上も対抗できないため。もし離婚よりも前に登記が成されていたのであればなおさら対抗できない) 所有権がBに移行するとBはCに立ち退きを要求でき、Cは法的に対抗できる要件を備えていない。 故にCが立ち退かない場合はBは強制執行そのほかで強制退去させることが出来る。 なぜそうなるかというと、A,C間の契約はA,C間にのみ有効であり、その効力は第三者のCには及ばないからです。 登記されていれば第三者に対しても効力が及ぶので、A,B間の契約はCにもその効力が及びます。 なおCは契約不履行ということでAに対して損害賠償請求などを行うなどの道は残されています。 このときに問題となるのはその契約における「特段の事情」です。 以上。
お礼
早速のアドバイスをありがとうございました。 登記が成されたのは勿論離婚成立前で、私が考えていた事もmickjeyさんとほぼ近いことでした。 使用貸借には借家法の適用が無い訳で、借家権の主張を出来ないでしょうから、期限を主張という事になるのでしょうが、それも特段の事情の発生によりそのままとは行かないのではないかと。 賃借権の事を考えてみても、先に登記を得た抵当権者に対しては対抗出来ず(実行され請求されれば)明け渡さなければならないわけですから。 しかし、違う解釈の方が居られるようですので??になって参りました。 mickjey2さんはどうお考えでしょうか?
お礼
buttonholeさん初めまして、また、ご回答を頂きましてありがとうございます。 buttonholeさんのご指摘によってモヤモヤがすっきりしました。 そうなんです、私ともう一人の方が言っている、使用貸借では賃貸借の場合とは違い借家法の保護は適用されないと言う事を、どうも考慮に入れてはいないのではないか?と言う節が見受けられたのです。 補足等でも指摘をしたつもりだったんですが・・・。 占有状態を尊重して、私力による暴力的な排除を防ぐ法(で良いのでしょうか?)が有ることも知っていますが、権利の無い状態での占有ならば正規な対処の方法も有ると考えていました。 お答え頂きまして本当にありがとうございました。