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『フロイト先生のウソ』

という結構、有名な本があります。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167651300/qid%3D1100122495/250-8330267-9657018 この本は、現在の心理学理論や心理療法に対して、多くの疑義を投げかけているので、有名なようですし、世間で当たり前のように言われている心理学理論などを、鵜呑みにしないようにという警鐘を鳴らしていると思います。 たしかに、裨益されることも大ですが・・・しかし、この本を読んでいると、カウンセリング理論などまったくのでたらめだと言わんばかりで、私のような素人には、この本に書かれている事の妥当性も分かりません。 心理学全般にお詳しい方・専門の方から見たこの本の書評を知りたいのです。一般受けは良いが、専門家から見て噴飯物の書というのは、ないわけではないと思います。 よろしくお願いします。

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  • Diogenesis
  • ベストアンサー率49% (859/1722)
回答No.4

お待たせしました。本を手に入れるのに意外に手間取ったもので。 で,結論を先に言いますと, 先に書いた私の印象はまちがっていませんでした。 この本は全体として見れば 「心理学を批判している」どころか 「心理学の知見によって俗流心理学を批判している」という方が正解です。 批判されている俗流心理学の中身は 過去の心理学の学説に由来するものもありますが, 精神医学(精神分析の出自はここ),心身医学,トンデモ脳科学, そしてジャーナリズムや単なる常識に由来するものが多く含まれています。 一方,批判の根拠として引用されている実証的研究は心理学者の手になるものが圧倒的に多いのです。 この点は今回改めて確認して,よくもまあ調べたなと感心しました。 個々の研究の原論文に当たっているわけではなくて, テーマごとの研究動向を要約・評価するレヴュー論文や単行本からの孫引きなのかもしれませんが。 個々の批判にはそれぞれ心理学的根拠があるわけですから, まっとうな心理学徒なら「何をいまさら」と思うのも当然です。 専門的な視点から細かいことを言いますと, 批判の根拠とされる研究の中にも問題のあるものや評価の定まっていないもの, あるいは著者が解釈を誤っているものがありますが, 全体としてはそこそこ妥当と言えるでしょう。 ただ特定のケースで否定されているから全体として価値がないという著者の論法にはまると危険です。 たとえば恐怖症の治療に行動療法が効果を持たないとの報告が引用されていますが, これをもって行動療法の意義を全否定するのは無茶です。 実際,障害児の療育は行動療法ぬきにしてはありえませんし, パニック障害や強迫性障害の治療においても薬物療法と組み合わせることで効果をあげています。 また同じ原理は動物の訓練,子どものしつけ,従業員のマネジメントなどに広く用いられています。 明らかなまちがいや誤解を生みやすい表現も少なからずあります。 たとえばピグマリオン効果を扱った一節(文庫版p.156)に 「行動心理学のパイオニア,エドワード・ソーンダイクは決定的な方法論的欠陥があるとしてローゼンタールの実験を批判した」 とありますが,ローゼンタールの研究は1960年代のもの。 ソーンダイクは1949年に亡くなっているので,この批判はあの世からのものと考えざるを得ません! 翻訳のまちがいと思われるものとしては「破裂療法」(文庫版p.50)なんていうすごい言葉があります。 私はドイツ語の素養がないので自信がありませんが, おそらくExplosion(破裂)とExposition(曝露)を取り違えたものでしょう。 「曝露療法(エクスポージャー)」なら行動療法の一技法です。 このような瑕に目をつぶるならそれなりにためになる本だと思うのですが, 思い込みの強い半可通が読むとかえって毒になるかもしれません。 Amazonの批評にもひどいのがありますね。 最後にひとこと付け加えると, 過去の学説が新たな実証データによって否定され書き換えられるのは 心理学の欠点というよりも,心理学が反証可能性を有する科学であることの証左でしょう。

noname#10410
質問者

お礼

わざわざ調べてくださいまして、ありがとうございました。 全体的な本のイメージとしては、俗流「心理学」に学問的成果を使いながら批判したということで、世間一般が解釈しているような心理学界への批判には、なっていないというわけですね。読んでいる側には、そういう風には読んでなくて、心理学界への批判と読んでいると思いますが・・。それに本の紹介が、そうなっていますから。 ただ、世間的に心理学や心理療法が誤解されやすいと言うのもあるのでしょうね。にわか心理学者というか、カウンセラーもどきの人がたくさんおりますから・・・確かに自称カウンセラーには、おまじないと変わらないような人もいますし・・。 アマゾンの書評は、本を買うときに一つの目安にはしていますが、著者やその信者が入れた?というのあれば、景品(商品券)ほしさの適当なものもあるようです。また、私のようなレベルの人が書評を書いている場合は専門性が高くなると仕方ありません。 一度詳しい方からの評価を聞いてみたいと思っていました。 お手数をかけました。ありがとうございました。

その他の回答 (4)

  • Diogenesis
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回答No.5

またまたしゃしゃり出てきました。 #4でいろいろ知ったようなことを書きましたが, 私も含めた心理学の研究者が この本で取り上げられている問題のすべてに通暁しているなんて思わないでくださいね。 研究者というものは ごく狭い自分の研究領域についてはとても深い学識を持っていますが, 少し離れた研究領域だと素人に毛が生えた程度の理解しかできていないというのも良くあることです。 ただ学問の全体像や歴史的流れを把握しており, 研究者の名前や学術誌・専門書についても知識があるので, 個々の研究の評価や位置づけはある程度わかります。 Amazonの書評を読んでいて腹が立ってきたので, そのうちあちらにも書き込むつもりです。 ここに書いた内容と一部重複するかもしれませんが,御了承ください。 あちらに投稿しておいてこちらからリンクを張るという手もあったのですが, 気がつくのが遅かった。

noname#10410
質問者

お礼

たびたびの回答ありがとうございました。 >研究者というものは ごく狭い自分の研究領域についてはとても深い学識を持っていますが, 少し離れた研究領域だと素人に毛が生えた程度の理解しかできていないというのも良くあることです 範囲の広い本ですので、書いた人にも同じことが言えそうですね。うまくまとめたという点はあるのかもしれませんが・・。

  • Diogenesis
  • ベストアンサー率49% (859/1722)
回答No.3

専門家からの回答がまだないようですが, まっとうな心理学研究者はこんな本を読まないし, 読んだとしてもいちいち反論するほどの価値はないと思っているのが実情ではないでしょうか。 私も書店で立ち読みしたきりですが, 心理学徒にとっては「何をいまさら」という内容だったように思います。 つまり個々の批判はそれなりに真っ当ではあるものの, 心理学の内部ですでに批判されているもの, あるいはそもそも学術的知見ではないものをわざわざ取り上げてこきおろし 鬼の首でも取ったかのように騒いでいるという印象です。 世間の思い込みに反して, 心理学のメインストリームから見れば 精神分析やカウンセリングといったものは 周辺領域ないし隣接領域と言うべきものですし。 いずれにしても ちゃんと読まずに云々するのは気が咎めますので, 近所の本屋で手に入れば週末に読んでみて改めて書き込みをしたいと思います。 それまで締め切らずに 私の書いた過去ログでも読みながら気長に待っていてください。 心理学は、学問or科学ではない!? http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=806304 心理学とは http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=841871 心理学グローバリゼーション http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=842119 フロイトは過去の人ですか?(比ゆ的に取ってください) http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=846565 心理学を勉強する学部 http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=933379 心理学の歴史 http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=939075 無意識と本能の意味と類型 http://okweb.jp/kotaeru.php3?q=993588

noname#10410
質問者

お礼

回答ありがとうございました。 以前にも、確かご教示いただいたことがあると思います。 その節はありがとうございました。今回も、よろしくお願いいたします。 >つまり個々の批判はそれなりに真っ当ではあるものの,心理学の内部ですでに批判されているもの, あるいはそもそも学術的知見ではないものをわざわざ取り上げてこきおろし鬼の首でも取ったかのように騒いでいるという印象です。 そうですか、確かにそういう「大風呂敷」な感じはしまたし、得てして、こういう「大風呂敷」な本は、一般受けが良いので、この問にもなっていますが、内容自体にはさほど大きな欠陥がなさそうだということなんですね。 それに、この本は、多くの研究結果や学説を継ぎ接ぎします。心理学の著書というのもの・西洋人の論文形式というものが、どういうものなのかは、私には分かりませんので、個人的な勘になってしまいますが、そういう継ぎ接ぎが、妥当な引用や検証になっているのか、ちょっと不安に思ったということもあります。引用されてもその妥当性は、私には全く分かりませんから。しかし、それに関しては、それなりに真っ当な論理展開をしていそうなのですね。 いずれにしても、今申しても仕方ありませんね。ゆるゆるとお待ち申し上げる所存でございます。お骨おり申し訳ありません。全編通して読むことは時間的に無理でも、いくつかの章についてのご感想・ご意見をいただけるだけでも、その本のレベルや説の妥当性を知る上で助かります。その間に、ご紹介のスレなどを学習させていただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。

回答No.2

(ΦωΦ)ふふふ・・・・ あの本がいうように、カウンセリングをやている人が、自分の仕事を否定はできないでしょうね…。

noname#10410
質問者

お礼

え~んや、別に反論でもいいのよ~♪。 だって、反論もないってことは、反論もできないくらい心理学は無根拠で無用ってこと?を誰もが認めてるのか?って、思ってしまうから。あの本の出す根拠や資料に独善性があるかどうかは、素人の私やあなたには、分からないと思うから。

回答No.1

 というか…私は凡人ですけど、この本を楽しく読みました。  フロイトの学説が全て正しいというのは、一般的な見解だと思います。ただ、彼の学説はおもしろから、巷の"心理学のクイズで恋人の本心がわかる!!"みたいな類の本にも、たびたび、フロイトうんぬんかんぬんとでてくるのだと書いてあると、書いてありましたが、  人の心は定義できても、完全な結果が返ってくるということはないと思います。心理学って統計学のところもあり、簡単に言えば、カウンセリングなどがすべて数学的な根拠があってやっているわけではないと思います。  心理学的なアプローチでナンパをしても、なかなかうまくいかないのといっしょで( ̄_J ̄;)、フロイト信望にはなるな…くらいでいいんではないでしょうか。

noname#10410
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 フロイトを全部正しいとは、今はさすがに少数派だと思いますが・・・。

noname#10410
質問者

補足

なお、こちらの本は、フロイトのことだけについて書かれているのではなく、心理学の学説や心理療法について多面から問題提起されている本です。フロイト先生のウソというのは、その一節を、題としてクローズアップしたもので、本全体の内容を指すものではありません。フロイトに関しての内容に限らず、本の内容全体で、書評していただけるとありがたいです。

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