一般的にはJones式と呼ばれることが多いようです。
20世紀初頭にEnglish Pronuncing Dictonaryを作ったDaniel Jonesが,この辞典の中で使っていたものです。
もっとも,この辞典の最新版を書店で立ち読みしたことがありますが,もっとIPAに近い表記になっていた記憶があります(アクセント符号など)。
というか,最近の欧米の辞典では,IPA準拠のものはもちろん,独自の方式で発音を表しているもの(メリアム・ウェブスターなど)であっても,アクセントはIPA式に音節の直前にまっすぐ打つか,あるいは太字にする(Oxfordの一部の辞書など)ものが多く,grave/acuteを使っているものは少なくなってきました。
おそらく,IPAの用法では,grave/acuteはpitch(高低)のアクセントを表し,stress(強勢)は短い縦棒で表すことになっているため,それにならう場合が増えてきたのでしょう。
で,IPAと多少異なる方式が使われている理由は,No.1で回答されているとおりです。
LongmanやKenyon, また最近のJonesなどを含め,欧米で出ている発音辞典はいずれもIPAに従っているといっていますが,rの発音はいずれも[r]を使っています。
本当なら,これはスペイン語や,舞台発音のドイツ語などに出てくる,巻き舌のrを表します。
英語のrをIPAで表すと,[r]をひっくり返した記号になるのですが,通常の英語の発音では他のr音が出てこないので,ひっくり返してない[r]を使っても,巻き舌と思われる心配がないということですね。