逆に「工業国はどうして工業国として発展したのだろう?」と考えてみました。アメリカは移民によって建国された国なので歴史の成り立ちがかなり特殊なので、除外します。
世界の主な工業国というと、世界で最初に産業革命を起こしたイギリスを筆頭に、ドイツ、スイス、日本、韓国、台湾、中国といった国々かなと思いました。
これらの国々の共通点は「ロクに食えない(農業国ではない)のに、人間の数がやたら多い」ことですね。産業革命前のイギリスは実はヨーロッパでも貧しいほうの国でした。後にアメリカを筆頭に世界中に移民していきますが、その理由は「自分の国にいても食えないから」です。
スイスは独立した当時から主な輸出品は傭兵すなわち「人」でした。スイスは傭兵の他にホテルマンが多くて有名(スイス各地に名門ホテル学校がある)なのですが、兵士もホテルマンもどちらも「人間」で、つまり「貧しい山岳民族」であったスイス人たちは売るものは人間くらいしかいなかったのです。
「ロクに食えないのに人が多い」ということは、つまり「安い賃金で沢山の人を雇える」ということになります。これが工業化は有利に働くのでしょうね。工業化には「安価な労働者」が大量に必要ですからね。
今のテクノロジー化が著しく進んだ文明の状態だとピンとこないのですが、「豊かな国(地方)」にいると「真面目に一生懸命働こう」とはならないのです。
この場合の「豊かな国」というのは、土壌が豊かで作物の出来がいい農業国や、地面を掘ると何か資源が出てくる資源国です。
種を蒔けばじゃんじゃん実が成る、掘ればカネになるものが出てくる。それなのに一生懸命真面目に勉強して働いて自分をスキルアップしようなんて思わないのです。逆にいうと、日本人として生まれたら一生懸命勉強して自分をスキルアップさせないと豊かな暮らしができないのです。
熱帯地方は資源国も多いですし、豊かな農業国も多く、しかも気候も暑いかもしれませんが、逆に「凍え死ぬ」という心配もありません。「一年中外で寝てても死なない」というのは、切羽詰まらないのかもしれませんね。
でも近年、ベトナムも工業化が進んでいますし、インドネシアや大農業国であるタイも工業化が進んでいます。バングラデシュ人はとても真面目に働く人たちなのだそうですよ。
工業化には「安価に労働者が大量に確保できる」というのが必須条件です。かつてはイギリスはそれで世界にいち早く産業革命と工業化を起こし、やがて移民が大量に集まるアメリカ、国は貧しいくせに多産系のドイツ(ドイツの食の貧しさは世界トップレベル。じゃがいもとビールとサワークラウトとソーセージしかない)、くそ狭い国土に1億人も住んでいる日本、人間の数だけは文字通りの無尽蔵な中国で工業化が進んだのではないでしょうか。
そして今はイギリスでもドイツでもアメリカでも日本でも中国でも「安価な労働力」が手に入らなくなったので、今はベトナムやインド、インドネシア、バングラデシュといった大人口国にシフトしつつあるのではないでしょうか。
お礼