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2020年ノーベル物理学賞について。時空の歪み。
ブラックホール周囲の降着円盤の写真撮影成功おめでとうございます。ブラックホールの解明はノーベル物理学賞受賞につながったようで、科学が前進しました。ブラックホールでなくとも、重い星の周りには降着円盤が形成されるそうなので、ブラックホールの存在や一般相対性理論や時空の歪みを証明したとは言い切れず、若手の科学者に残された課題ですか。
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以下のとおりお答えします。 >ブラックホールでなくとも、重い星の周りには降着円盤が形成されるそうなので、ブラックホールの存在や一般相対性理論や時空の歪みを証明したとは言い切れず、若手の科学者に残された課題ですか。 ⇒はい、少なくとも部分的には後進の学者に委ねられている面があることは間違いないと思います。特に、ブラックホールの存在の実地証明は難しいですね。一般相対性理論や時空の歪みの方が比較的取り組みやすく、それらについては、例えば、次のような実地観測や実験の報告がありました。 ①高速ジェット機で地球の周りを数時間飛行したあと、ジェット機内の時計が実験前に合わせておいた地上の時計より数億分の1秒遅れた(=ローレンツ短縮と相対論的時間の遅れの実証)。 ②遠方の恒星の光が太陽の脇を通過する時、わずかに曲がることが観測された(=時空の歪みの検証)。 ということで、相対性理論や時空の歪みについては、少ないながらも幾つか類似の報告があるようですが、ことブラックホールについては難しいです。そのわけを以下に書きます。 ブラックホールの観測が進まない3つの理由 ①かつてブラックホールを「陥没星」などと呼んでいた時期がありました。「目に見えないけど何かありそう」ってわけです。つまり、「見えない」ことが決定的な障壁で、もっぱらそれまでに分かっている事柄に立脚して、外挿法(extrapolation) 的に推測するしかなかった、ということですね。 ②単純に「ブラックホールが近くにない」ことが実地観測を阻んでいます。考えてみれば、「近くにない」ことは当たり前ですね。もし近くにあったら、我々はそれに吸い込まれていて存在していないはずですから! ③上と似ていますが、ブラックホールは引力の強さが強烈で、例えば、惑星の観測ロケットを飛ばすような手法では観測不能ですね。ブラックホールに近づけば、あっという間に渦の中に吸い込まれ、ロケットはバラバラ(原子・素粒子レベルまで)に分解されるに違いありません。ロケットが近寄れるのは、せいぜいシュヴァルツシルド半径あたりまででしょう。 なお、シュヴァルツシルド半径とは、天体が単独でブラックホールを構成できる仮想の半径で、地球がブラックホールを成すためには、現有の質量のまま全体の大きさが、例えば、ドーム球場ほどの大きさまで縮まなければならないことになるらしいです。そして、その際に個体の質量は、1cm³当り数億トン(!)といった途方もない重さになるらしいです。実感はおろか、想像もできませんね。以上、ご回答まで。 *ブラックホールについては下記サイトをご参照ください。詳しい説明があります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ブラックホール 《ブラックホール ( 英語: black hole )は、 宇宙空間 に存在する 天体 のうち、極めて高 密度 で、極端に 重力 が強いために 物質 だけでなく 光 さえ脱出することができない天体である。…》
お礼
具体的な事例に感謝します。回答者様は本当に博識ですね。私の10倍以上物理をご存じです。敢えてアインシュタインの一般相対性理論に無謀な挑戦を試みますと、 ①原子時計が早くなったり遅くなったりする原因は、気圧の高い地上の原子時計と気圧の低い上空の原子時計、静止している原子時計と飛行している原子時計、空気分子や素粒子(ニュートリノ他)の衝突速度や角度や回数が異なるから? ②太陽の近くを通過する光が僅かに曲がる原因は、光の波動性による回折が起こるから? 素朴な疑問ですが私には複雑なので、若手の研究者に大いに期待しています。