「 動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し 」
さて掲題は、奇兵隊その他の諸隊を率いて藩内クーデターを起こしたかの高杉晋作を称して、後年の伊藤博文が送ったとされる高名な撰文ですが、その一方で当初集まった兵は僅かに80人に過ぎず、恐らくクーデターの成否は眼中になかった事でしょう。
まあ個人的に幕末の長州でどうしても傾倒してしまうのが、吉田松陰と高杉晋作のお二人。
吉田松陰に関してはこの際さて置くとして、この頃の晋作は、第1次長州征伐及びそこに連なる政変劇で、佐幕派が藩政を牛耳り且つ多くの盟友を失いそれこそ孤立無援。
ただ彼のクーデターが無ければその後の長州も恐らく無かった、・・とすれば明治維新そのものがあったかどうか、薩摩藩一手での討幕はとても無理だったでしょう。
長州の名家のお坊ちゃまに生まれ付き、藩の公金すら飲み倒してしまうハチャメチャな男、それこそ平時であれば一介の放蕩息子という事で生涯を終えたかも知れないが、私にはとってもカッコ良く映ってしまう。
ことに決起に際して、三条実美他・長州落ちしていた所謂五卿に対し言い放った 「 これより長州男児の肝っ玉を、お目に懸け申す ! 」 という捨て台詞は、武士としてそれ以上に男として、胸がすくようなインパクトがあります。
「 実があるなら今月今夜 、一夜明ければみんな来る 」
当句も藩内クーデターの際に放ったとされる名言でして、長州の出であられる安倍総理が好んで使われるそうですが、結果の成否を考えずに今すぐ行動しろ、決して付和雷同することなかれ、恐らくそんな意味合いでしょう。
その一方で都都逸を愛し
「 三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい 」
「 わしとおまえは焼山かつら うらは切れても根は切れぬ 」
と言った風な粋な歌を残してもおりまして、僅か27年に過ぎないこの方の人生こそが、それはもう見事にドラマティック。
さて余談が長くなりましたが、高杉晋作の如くカッコよくドラマティックな生涯を送った人物が歴史上におりましたら、是非お教え願いたいものです。
お礼