ギネスブックに、パプアニューギニアのアメル語が「最も複雑な言語」として
挙げられているようです。単に,単語の数や変化の数で判定しているらしい。
イヌイット語(エスキモー),ハイダ語(米国インディアン,ハイダ族),
タバサラン語(旧ソ,ダゲスタン共和国)もあげられているようです。
アメル語・ハイダ語は資料がなく不明ですが、イヌイット語・タバサラン語は、
少し資料がありますので解説します。
言語は形態から、孤立語,膠着語,屈折語,抱合語に分けられますが、語形変化
のない孤立語が文法的に易しく、順に抱合語が難しいといえます。
膠着語は、ある単語に接頭辞や接尾辞のようなものを付加して、文中での文法
関係を示します。日本語の助詞などはいい例です。屈折語は動詞・名詞などが
語形変化して文中での文法関係を表します。抱合語は、独立して発音されない
要素の組み合わせで文を作ることができ、文全体を1単語と見なすことができる
ので、主語・述語などを文の定義とすることは出来ないのです。一言語で一形態
ではなく組み合わさっているのが普通ですが。
イヌイット語では、「彼は私に、大きな雪の家を作ってやると言った」が、
語幹 [雪の家] にいくつか接尾辞が付加して一単語で表現可能なようです。
同様に、ロシア連邦のアディゲ共和国のアディゲ語では、動詞に主語・直接目的語
・間接目的語をさす人称の接辞、否定・時制・使役・可能・再帰性・場所方向の
接辞などが加わり、動詞の変化形が25億もありえるそうです。
タバサラン語は、最多の格を持つ言語のようです。
(1)文法格 4つ / 主格(絶対格), 能格, 属格, 与格
(2)系列場所格 7つ / ~の中に, ~の所に, ~の面に, ~の後に, ~の下に, など
(3)基本場所格 6つ / 位置格 ~に, 起点格 ~から, 着点格 ~へ, など
(2) (3) は42の組み合わせで文法格あわせて、46の格だそうです。
なお、バスク語の特徴は、(1)能格構文、(2)動詞の多人称性、(3)数詞の20進法 で
すが、これはグルジア語も同じ特徴で、文法的には同程度の複雑さと推測します。
グルジア語はコーカサス系では最多話者の言語で、十分難しいのですが、同系に
上記のアディゲ語やタバサラン語がさらに上を行くようです。
能格構文というのは、自動詞と他動詞のときで動作主の格が違うんです。つまり
- (a) 動作主[主格] + 自動詞
- (b) 動作主[能格] + 他動詞 + 対象物[主格]
動詞の多人称性は、目的語の人称も動詞の変化に組み込まれます。
バスク語もグルジア語もですが、動詞の変化形は語尾活用だけでなく、接頭辞など
語頭にも現れます。
世界の言語は5千とも8千とも言われてますが、現地以外でテキストで学べるのは
百もないのではないでしょうか。このような複数の少数言語の難しさを直接評価
できるほどの専門家・経験者はいないのではないでしょうか。
お礼
ありがとうございます。 おー、やはりバスク語ですね。 ザビエルがバスク人だとは知りませんでした。 >例 joan (行く)の現在進行形 noa 私は行きつつある hoa 君は行きつつある doa 彼は行きつつある うわ、強烈な活用ですね! ...語幹はどこなんでしょう?? 主語はいらないのですか?