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トランスの結合係数について
- 電気回路で、相互インダクタンス回路の解析では、トランスのT型等価回路の説明が多く挙げられています。
- トランスの結合係数はk1=k2=kで計算されることが一般的ですが、二つのコイルがあった場合、必ずしもk1=k2となるわけではありません。
- 大小さまざまなコイルの組み合わせでは、k1=k2となることはない場合もあります。
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ご質問文中「磁束伝達率 k1, k2」なる定義が正確に汲み取れませんが、一方の作る磁束が他方に鎖交する割合を意図しているなら、一般にはむしろ k ≠ k1 ≠ k2 でしょう。つまり結合係数 k は、一方から他方への鎖交磁束割合と関連するものの、「定量的には」そのような幾何的合致の実体を持たないように見えます。一次二次間の鎖交磁束割合の非対称性が際立ち、かつ計算容易な構造を例に、「単一の」 k、M、また相反性について考察します。 環状空芯ソレノイドを一次とし、それを全周包む形で二次ソレノイドを形成します。コイル断面積は各 S1、S2、両コイル間には ( S2 - S1 ) の隙間が有ります。一次コイルの作る磁束が全て二次コイルに鎖交する一方で、二次の作る磁束の一次への鎖交割合は ( S1 / S2 ) となり、両者が異なるのは明らかです。変圧比が逆数関係に無いのも興味深いでしょう。交番電圧と磁束数の比例関係により、巻数比が1:1なら、一次駆動の二次無負荷電圧が1倍である一方、二次駆動の一次無負荷電圧が S1/S2 倍となります。ただし受動素子ですからこれでも相反定理に反することはありません。確かめてみましょう。 M = L1 であり、T型等価回路の一次側の腕のインダクタンスのみ零の状態にあります。一次に電流源 I を接続したとき二次開放電圧 jωM I 、二次に電流源 I を接続したとき一次開放電圧 jωM I で等しくなっています。(電圧駆動の他端短絡電流を使用する手法においても同様に I = E/(jω(L2-M)) の一致で相反性を証明できます) なお、ソレノイドのインダクタンス算出式が面積比例であることから、結合係数は、k = M /sqrt( L1 L2 ) = sqrt( S1 / S2 ) となります。 相互インダクタンス M が伝達方向によらず同一である事は回路網論的に受動回路相反性の必然と言えますが、相反性、単一性は、より積極的、電磁気学的に、任意形状において「ノイマンの式」でも証明されます。二つのコイル間において一方のコイルの各部電流線素が他方のコイルの線素位置に作るベクトルポテンシャルを各々2重周回積分で合算する方法です。積分順序の入れ替えを認める事により、M が伝達方向によらず単一である事が示されます。(もしご存じなければ「相互インダクタンス & ノイマン」で検索ください。) さて、k より M が本質的である旨の議論をしましたが、k を M / sqrt(L1 L2) を介すること無く、ノイマンの式風に直接算出する手立てはないのでしょうか。インダクタンスなるものは元来、透磁率[H/m]と形状固有長とでも名づけたくなる寸法[m]次元の積です。ノイマンの式の線積分を角度変数で記述すれば無次元数が取り出せると期待されるかもしれません。実際相似な形状の結合なら k は寸法によりませんから。しかしこの案には、本質的欠陥があります。トランスの外部に磁気シールドされたインダクタを付け加えたとしましょう。自己インダクタンスが変化し k は変化します。にもかかわらずノイマンの式に追加される積分量は零だからです。k は、あくまでも規格化された結合の指標として、二次的に求まる数値であり、幾何学構造と深く結びついているのは M のように思えます。そしてそれらは伝達方向によらぬ単一の値です。 不可解な点があればご指摘ください。誤りがないとも限りません。
お礼
やはり、k1=k2=kのようです。 T形等価回路を1次換算した場合のリークインダクタンスは、 k1ではなく、(1-k)L1 励磁インダクタンスはk*L1です。