持主がかわいそうだから、なんて「やさしい精神」から所有権に時効がないことになっているわけではありません。
それだと、一般の債権だって時効で消滅させたらかわいそうです。
ではなぜ所有権は消滅させないのか。
所有権が時効で、「遡って消滅」してしまっては、政府・国家・自治体が困るからです。政策的な配慮。
警察官にかつて、放置された自転車の件で言われたのですが、「所有者=管理義務者・責任者」なのだそうです。
まず、税金がとれなくなる。遡って消滅するのですから、とった税金は返さなければならないことになります。ま、所有権の消滅時効だけ遡及効を廃止する、という手もありますが、「なぜ所有権だけ」という理論付けが難しいです。
次に、「朽廃家屋や崩落地などが与えた危害の責任をとりたくない」という物件の持主は、放置しておけば、事故がおきても遡って責任を取らないで済むことになるわけです。
被害者の自己責任ということにして国民から猛反発を食らうか、政府・自治体が管理責任を負わなければならないことになります。
昨今の、持主不明の朽廃家屋を、自治体が壊しているのと同じ事が日本中で頻繁におこってしまうのです。
市町村に「この土地をただであげる」と言っても、相続時に国に「あなたが課税の基準にしている価格で物納する」と言っても、自治体も国も難癖をつけて「いらない」といって受け取ってくれません。
時効消滅など認めるはずがないのです。所有者=管理義務・責任者ですから。
お礼
ありがとうございます!! めちゃ専門的な観点から意見をいただいてありがとうございます! なるほどー、シビアですねぇ、、 とってもくわしくかいてくださって 掘り下げてくださって ありがとうございます! 参考書には一言しかかかれていなくって なぜなのか疑問でした。 わかりやすく答えてくださって、 嬉しかったです!!! 夜分にありがとうございました!! また時効の勉強がんばります。 機会がありましたら、またお答えをですいただけたら幸いです♪