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マシニングセンタの主軸トルク/出力の現行機との比較
- マシニングセンタの更新を検討しております。既存の老朽機(40番)マシニングセンターのモーターがAC3.7/5.5Kw 60~6,000rpm 2段 (972rpm切替) 211N・m(連続?)となっており、仕事内容的にはニッケル基合金をフェイスミルでゴリゴリ削るのがメインです。
- ただ更新にあたって他部署の応援(小径で8,000~12,000rpm回転領域を使う必要あり)もこなせるよう、既存機よりも能力が下がらない範囲で回転数の上がる設備を選択したいと思っています。
- そこでお聞きしたいのですが、1. 検索して調べていたら基本は出力よりもトルク値が重要、同じトルクであれば、出力が高くても到達速度が早くなる程度の差しかないとの意見を見かけたのですが、それは正しいのでしょうか?2. トルクが同じであれば、2段と無段の違いはないと考えて良いのでしょうか?それとも何かメリット、デメリットはあるのでしょうか?
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<前書き> 本件、奥深い問題でして、実は工作機械メーカの設計や営業の方も 十分に理解されておらず、キチンと説明するのも難しい話です。 しかし、質問者さんは現在#40主軸機でニッケル基合金をフェイスミル でゴリゴリ削っていらっしゃるとのことなので、感覚的にご理解できる と思います。 <回答本編> ?主軸モータ出力(KW)は仕事量=1分間あたりどの位の切りくずを排出 できるかの能力を示している。 自動車エンジンで例えると高速道路で高速走行できる能力に相当。 当然ながら、出力が大きく、その出力いっぱいまで振動や工具欠損を 起こさずに加工できれば、たくさん仕事が可能である。 また、出力が高いと、指令回転速度に対する起動停止時間を短縮する ことも可能。 ?主軸モータトルク(Nm)は力=負荷の高い加工ができるかの能力、例えば、 太径のエンドミル、サイドカッタ、ドリル、タップなどの加工能力に 関係している。 自動車エンジンで例えると坂道を沢山の荷物を積載して登る能力に相当。 ?ギア等で回転速度を減速すると、その分トルクが大きくなる。従って、 低回転速度域において低い出力でも大きなトルクを得られる。逆に、 減速させずに大きなトルクを得るためには、より高い出力が必要。 ?主軸ベアリング部剛性は、主軸の最高回転速度の高低によって大きく 影響を受ける。一般的に、低回転速度主軸の方が高回転速度主軸よりも、 主軸ベアリング部剛性は高いと考えて差支えない。 ?~?までの特性を理解したうえで、ABCの機械主軸の特性と、各々の 機械が得意とする加工形態、さらには機械の価格を吟味して、質問者さん の会社の実情に合った機種選定を行うことが必要です。 機械Aを基準とすると、 ・Bは減速機構を有しているので低い出力でも同等のトルクを得られる。 また、最高回転速度が低いので主軸部剛性が高く、ニッケル基合金を ゴリゴリ削るのに最も適している。 ・Cは出力、最高回転速度ともに同等。小径工具対応の高速加工に適して いるが、フェースミルや刃先交換式エンドミルでニッケル基合金を ゴリゴリ削るのはAと共に、どちらかと言えば不向きである。 といった、感覚になります。 >基本は出力よりもトルク値が重要 上述の通りケースバイケースです。アルミ合金をバリバリ削りったり、 小径エンドミルで高速加工を行う場合、必ずしもトルクが重要とは言 えない。もちろん、高強度ニッケル基合金をゴリゴリ加工する場合は、 トルクおよび機械主軸ベアリング部剛性が極めて重要。 >同じトルクであれば出力が高くても到達速度が早くなる程度の差しかない ギア等の減速機構の無い主軸であれば、そのような考え方も間違いで は無い。 >トルクが同じであれば、2段と無段の違いはないと考えて良いか 主軸の出力特性だけを見れば違いはないが、一般的に2段ギアタイプ の方が主軸最高回転速度が低い=主軸ベアリング部剛性が高いので、 高トルク領域においてより重切削加工が可能であろうと思われる。 <あとがき> 年末年始に、類似のQAで本サイトにおいて叩き合いの論争がありました。 ご興味があれば、下記URLをご参照ください。 いろいろ暴言も飛び交っておりますが、 岩魚内さん、0歳さん、lumiheartさん、小生 のカキコミは正しい技術内容を記述しております。 大分ご理解が深まったようで何よりです。 出力P(kW),回転速度n(min-1),トルクT(Nm)の関係は P=(0.1047×n×T)/1000 となります。 そして出力線図を見られると分かると思いますが、低回転速度において、 回転速度が上がるにつれて出力も高くなる領域はトルクが一定となり ます。そして、回転速度を上げても出力が一定になる領域では、トルクが 回転速度に反比例します。 ここで回転速度500min-1で比較すると ・既存機 5.5kW,105Nm ・機械A 7.6kW,146Nm ・機械B 5.5kW,105Nm であり、主軸の出力・トルク特性では機械Aが最も優れていることが 示されます。 あとは、主軸ベアリング部の剛性の比較となりますが、これは残念な がらメーカより比較になる数値は入手できません。 もしお会社の近くの工作機械メーカのテクニカルセンターに類似機が あれば、テスト加工かデモ加工を依頼することをお勧めします。 せっかく新しい設備を導入するので、既存機以上の加工能率が得られる ように、より高回転速度/高出力領域で使うことができる切削工具を、 導入されては如何でしょう。 工作機械メーカも相談に乗ってくれると思います。
お礼
早速のご回答有難うございます。 大変参考になります。 リンク先も確認しました。内容が深すぎてまだ全部読めてませんが、少し理解が出来てきたと思います。 トルクは勿論大事だが、いくらトルクがあっても出力の得られない領域では意味が無いという事ですね。 >A:AC26/18.5Kw(10分/連続) 50~15,000rpm 無段 199/146N・m >B:AC7.5/5.5Kw(30分/連続) 25~8,000rpm 2段 192/141N・m >C:AC30/18.5Kw (25%ED/連続) 10?~15,000rpm 無段 207N・m(10%ED) 改めて確認すると A:720rpmで 146N・m 11Kw b: 311rpmで 168N・m 5.5kw ※資料がなく6,000rpm仕様の場合 C: 840rpmで 96N・m 10Kw 良く使用するのが500rpm~800rpm(500以下はほぼ無し)から考えると一見一番トルクがあるように見えるCが一番適さないという事になる訳ですね。 既存機は 249rpm 211N・m 5.5Kw(747rpmで70N・mから考えると500rpmでは≒140N・mでしょうか?) カタログの線図からの読み取り値ですので不正確ですが A:の500rpm付近では 8Kw 146N・m B:の500rpm付近では 5.5Kw 160N・m とみた場合、500rpm領域ではどちらも既存機と大きな差はないという解釈で宜しいのでしょうか? それとも何か勘違いしているのでしょうか? ご指摘を頂けますと助かります。 早速の補足有難うございます。 せっかくのトルクも出力が上がってなければ意味が無いのですね。 また2段と無段とはいえ、5.5Kwと18.5Kwの差から苦手な領域もカバーできる事になる訳ですね。 有難うございます。 ようやく腑に落ちました。 トルク線図を見ながら何か違和感があり、感覚的なところとデータ的なところが全然一致していなかったのですが、お蔭様で見方が判りました。 有難うございました。 マシニング更新にあたって他にも悩んでいる事がありますので、もしご相談にのって頂けるようであれば、また宜しくお願い申し上げます。