- 締切済み
SUS304のひずみの溜まりやすさについて
- SUS304で同じ製造方法で作られたものでも顧客加工(造管、引き抜き)後にひずみが溜まりやすいものと溜まりにくいものがあるとの問い合わせがありました。
- この差は何が原因なのでしょうか?
- また、改善する方法はあるのでしょうか?
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
みんなの回答
準オーステナイト系ステンレス鋼の歪と加工硬化について 1.ことばの意味 ?安定オーステナイトステンレス鋼:SUS316等の加工誘起マルテンサイト変態しないオーステナイト系sus鋼 ?準オーステナイトステンレス鋼:SUS301,302,304等、加工により変態するオーステナイト系SUS鋼 ?加工誘起マルテンサイト変態:オーステナイト組織が冷間加工によりマルテンサイト組織に変態することを言う。オーステナイトステンレス鋼,ハイテンションスチール等で起きる。 2.変態の鋼の変化(オーステナイトSUS鋼に限定すれば) ?磁性が出る=組織がFCC→BCC ?変態により変形量が大きくなる ?歪が発生発生する=? ?残留応力が生ずる 3.合金元素の影響 ?オーステナイト安定度は、Niの量で決まり、11%ぐらいより変態量は大幅に減少し12.5%以上になると変態は抑制される。 4.変態温度 ?オーステナイト系ステンレス鋼は、温度依存性が極めて高い。 ?Md30(℃):0.3の引張真ひずみを与えたときに、組織の50%がマルテンサイトに変態する温度。 Ms点:自然にオーステナイト組織からマルテンサイトに変態を始める温度。(普通鋼もあるので、治具や金型で深冷処理サブゼロ処理を行います) Md点:冷間加工で変態が起きなくなる温度 Mf点:マルテンサイト変態が起きなくなる温度 5.結論 ?残留応力の原因は、素材段階によるものが大きい。特に丸棒や異型材 購入するときに、元の素材からの加工量を一定にすることや焼きなましを 徹底する。 ?合金元素は指定できないが、Niの下限値を指定する。 ?Md点以上で加工すると変態量が激減する。だいたい100℃程度 Md点~Mf点での加工でないと変形が落ちるのと材料の強度が下がるので注意。素材を暖めないで、ダイスを暖めるだけでよい。 参考に過去のログに”温間絞り”等複数回深絞り関係で投稿して詳述してあるのであわせてみてください。
前回答者の言われるように、加工する前に焼鈍をしているかどうかは大きく影響します。SUS304の焼鈍は、固溶化熱処理とも言い、1050~1100℃程度で30分~1時間程度加熱後、水冷します。 この処理が行われていれば、加工後にそれほど大きな違いは出ないと思いますが、更に同等にしようとするなら、加工温度を一定にしてもらったりすると改善される可能性があります。 SUS304は加工に伴い加工誘起マルテンサイトという組織が生じ硬化しますが、その生成量は加工時の温度(低いほど生成量が多い)に影響されます。従って、夏と冬で若干変わってくると思います。 また、含有成分でも若干変わってきますが、このあたりは専用に成分範囲を狭めることができればベストですが、実状は鉄鋼メーカーにそこまでお願いできないので、どうしようもないところだと思います。 ひずみが溜まりやすいというのは、加工により強度上昇が大きいという解釈をさせていただきます。その場合、成分の影響としては、例えば前記の参考URLでP.7上段にMd30という指標が出てきますが、この値が小さいほど加工誘起マルテンサイトが生じにくくなり、結果として強度(引張強さ)が若干下がるようになります。例えば、歪のたまると言われるロットとそうでないロットでMd30の値を計算してみてはどうでしょうか。 ただ、参考URL(P.6下段)にあるように他の要因(加工温度、結晶粒度など)も影響しますので、きれいに傾向が出るのはなかなかないですが。
- 参考URL:
- http://www.corrosion-center.jp/pdf/K004.pdf#search='SUS304+%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E6%B8%A9%E5%BA%A6'
お礼
ありがとうございます。 加工前に焼鈍は行っております。 加工温度を制御する方法などがあるんですね。 勉強になります。 成分はどのようなものが効いてくるのでしょうか。 たとえばCが多いとひずみが溜まりやすい等あるのでしょうか。 素人で申し訳ないですが教えていただければ助かります。
SUS304と言っても質別は多様で、その材料の圧延の程度によっても硬度や、 変形能が異なります。予め焼鈍することをお勧めします。 http://www.tokkin.co.jp/materials/stainless_steel/000099.php
お礼
ありがとうございます。 すごく勉強になります。