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SUS304の加工硬化とは?硬度はどれぐらい?
- SUS304の加工硬化は、加工時に生じるトラブルの1つです。加工硬化による硬度は、どの程度なのか気になるところです。
- S45CやNAK55(調質鋼)も加工硬化が発生するのでしょうか。これらの材料でも加工硬化の問題が起きるのか知りたいです。
- なお、SUS304以外の材料でも加工硬化は起こるのでしょうか。広い範囲での加工硬化の原因や影響についても教えていただけると幸いです。
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SUS304は、オーステナイト系ステンレス鋼で、加工硬化性が強く、またヒプノスさんが回答されている通り、加工誘起マルテンサイトも出てくるため、表面の加工硬化層の硬さが非常に高くなります。 加工硬化層の深さが極めて浅いため、軽荷重でしか硬さを確認することが出来ず、試料調整も考える必要があるので、確認が難しいですが、ミクロ観察すると、結晶粒が引き伸ばされて密なファイバーフローとなり、切削条件によっては、最表面の塑性流動は、いわゆる加工限界を超え、クラックが生じるくらいの状況になる場合があります。 そこまでくると、最表面の加工硬化層の硬さは、ゆうに400HVを超え、500HV近くになっていると考えられます。 NAK55(調質鋼)だと、最初から、加工硬化による限界硬さに近い硬さなので、切削加工による加工硬化層が出来ても、元の硬さとの差が少ないため、加工硬化層があることを認識するのが難しく、あたかもほとんど加工硬化しない様に感じられるでしょう。
SUS304の加工時のトラブルの原因の1つとして加工硬化が、よく聞かれますが 加工硬化による 硬度は、どれぐらいなのか教えてくださいとありますが、一般的には“硬くて粘り強い”から 加工がし難くなります。(因って、その改善に防錆効果は落ちますがSUS303があります) SUS304の加工硬化硬度を確認したければ、SUS304のバネ鋼材を調べると良いでしょう。 (熱処理での硬度アップは防錆効果が落ちるので、加工硬化で硬度/強度アップしている) SUSの一般的なURL資料と、SUSのバネ鋼材資料を添付しているので、確認下さい。 でも、一般的な加工でSUS304バネ鋼材まで、硬度が上がる事は稀ですよ。 S45Cの調質材はS45C丸H、S55Cの調質材はS55C丸H、SCM435の調質材はSCM435丸Hで、 ハイスでも加工が可能で、超鋼なら無論可能です。 粘りはSUS304程は無く、加工は比較的簡単です。 局焼きや高周波焼き入れ等の焼き入れのみでは、S45CがHRC40以上位、S55CやSCM435が HRC50以上位硬度が得られます。 以上のような使用方法が一般的で、加工硬化は発生しますが、さほど問題にはならない と考えます。 S45C等のS**C材の調質材に関する機械的性質URLも記しておきます。
どんな金属も多かれ少なかれ加工硬化はします。 その中でもSUS304が特別問題になるのは加工誘起変態という現象で、 簡単に言うと加工によって焼き入れと同じ変化が起こって極端に硬くなります。 手元に資料がないので詳しい数値は出せませんが、ハイスドリルがまったく 歯が立たないくらい硬くなります。 S45Cなどはこの現象がなく単に加工硬化のみなのでそこまでひどくなりません。
JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯をみると、SUS304-CSPの調質記号Hの場合、 HV370以上と記載されています。 SUS304の場合、冷間圧延加工のみでHV370以上(HRCに換算して37以上)まで 硬度が上がり得ると考えていいと思います。