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なぜ浸炭防止に銅めっきが有効的なのか?
- 浸炭防止のために銅めっきを施す理由としては、銅めっきが鋼材の一部に浸炭を防ぎ、耐食性を向上させる効果があるためです。
- 銅めっきを施した部分には、浸炭の際に鋼材に含まれる炭素が銅層で遮断され、浸炭が進みにくくなるため、浸炭防止効果があります。
- 銅めっきの浸炭防止効果についての詳しい情報や資料は、専門の文献やウェブサイトを参考にすることをおすすめします。
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銅-炭素の状態図を見るのが一番ではないでしょうか。 銅は炭素や窒素と親和力が弱い元素です。 溶解度は殆どありません。 たとえば銅を黒鉛の坩堝で溶解して、 何日も溶融状態で放置しても化合物を作らないために 簡単に銅を取り出すことが出来ます。 溶解した銅中の炭素濃度を分析しても殆ど0%です。 反対に溶解度があったり化合物を作ってしまうような金属、 鉄と炭素のような場合は坩堝と化学反応を起こしてしまいます。 銅中を炭素が拡散して鋼に到達するためには、 銅中に炭素の濃度勾配が生じる必要がありますが、 銅には炭素が殆ど固溶しないので濃度勾配は微々たる物です。 水平な床にこぼした水が流れないと同様に、 炭素濃度勾配を無視できるほど、炭素が溶けることが無い 銅中では炭素の拡散は0と考えてもこの場合は問題ありません。 従って銅を通過して鋼中に炭素が拡散することは無いか、 あっても無視できます。仮に拡散しても、銅/鋼界面の 炭素濃度は焼入れ後も焼入れ前と硬さが変わらない程度にしか 上昇することはありません。 言葉足らずでした。長くなってしまいますが こんどはもっと丁寧に説明してみます。 ご存知のことと重複した場合はご容赦ください。 >なぜ、炭素は銅中に溶け込んだり/拡散したり 出来ないのでしょうか? なぜでしょうか・・・。多分これは法則の部類で、 理由を考えてはいけないことなんだと思います。 銅に限らず金属に炭素、窒素、酸素、水素のような小さい原子が 溶ける時、金属原子と金属原子の隙間に侵入します。 固体に物が溶けるのは不思議な感じがするかもしれませんが、 固溶といい、世の中のすべての金属は大なり小なり固溶した状態、 つまり固溶体です。(不純物が必ず固溶しています) 固溶する場合、たとえば満員電車に乗り込む時に、 満員の度合いが少ない方が楽に乗り込めるのと同じように、 原子の隙間が大きい方が固溶しやすく、 銅も炭素が侵入するのに十分な隙間があるはずなのです。 が、実際には侵入しません。自然の摂理でしょうか? (ご存知の方がおられたら補足を御願いします。) これは銅に限らず、同属元素の金、銀も同じです。 従って、鶴屋南木さんへのレスにある「金でもいいのではないか?」 というのはメッキがはがれない限り問題無いのではないかと考えますが、 価格の問題があります。 銀は融点が962℃ですので、高温浸炭の場合、溶けてしまいます。 亜鉛は420℃が融点です。 亜鉛が浸炭の障壁になるかどうか以前の問題ですね。 >炭素濃度勾配が起こらない理由があるのでしょうか? 実際には勾配があります。でもほぼ0とみなせるのです。 固溶の話を上で書きました。銅は炭素を殆ど固溶しません。 どんなに溶かしても、ほぼ0です。 100m進んだときに1cmだけ上る坂道を考えてみてください。 普通、こんな坂を坂とは言いませんよね。 銅メッキの表面が限界まで炭素を溶かしていても 所詮はほぼ0です。ということは勾配は(ほぼ)ありません。 以下、前回の補足になりますが、銅中で最も炭素濃度が高いのは 浸炭ガスに暴露されているメッキ表面です。 炭素の供給源が浸炭ガスなので当然です。 そしてどれほど長時間かけても鋼/銅界面での炭素濃度が メッキ表面の炭素濃度を超えることはありません。 (水は高いところから低いところへ流れるだけで、 水面の高さが同じになればそれ以上は流れなくなります。 これと同じことです。) ですから、鋼/銅界面の炭素濃度は長時間かけても ほぼ0でしょう。鋼中へは鋼/銅界面から炭素が 供給されるので、ここでの濃度がほぼ0であれば、 それから先、鋼中の炭素濃度は0です。 多分この考え方であっていると思います。 少し付け加えておきます。 拡散の速度を示す尺度に拡散係数というのがあって、 拡散係数が大きければ拡散していくのが早いです。 銅に対する炭素の拡散係数は多分小さいと思います。 手元に資料がないので何ともいえませんが、 見つかればここに載せるようにします。 拡散係数と固溶限が判れば、ある温度である時間 保持したときに炭素が銅中をどれだけ移動し、 表面からある深さでの炭素濃度がどれだけか 容易に計算できるので、ご質問に数字で明確に答えられます。
その他の回答 (1)
浸炭防止には、炭素と接触しなければそれで良いのだと思います。 ですが、そこで銅メッキが多用されるのは、 1)鉄鋼素地に直接メッキ可能 2)密着が良く、ピンホールが少ない 3)素材金属への浸食が少ない 等の特徴からではないかと考えます。 私事ですが、 かつて二輪エンジンの設計をしていましたが、 2サイクルエンジンのコンロッドには、 防炭として、やはり銅メッキを採用していました。 先輩に理由を尋ねると、上記に加えて、 4)ニードルローラーベアリングの転送面として、埋収性に優れるので ベアリングとの相性が良い と、聞いた事があります。 尚、釈迦に説法かも知れませんが、 浸炭については、不二越のサイトを、 銅メッキにつては、例は挙げませんが、数あるサイトを御参照あれ。
お礼
鶴屋南木 さま 早々の回答有難うございます。 1)~3)は確かにそうですね。 ココロの片隅で…銅以外の金属表面処理でも同じように密着があって、ピンホールが無いければ亜鉛・金・銀でもOK??っと思ったりもして、如何して他の金属を差し置いて銅なのか? 不二越のサイト、早速読ませていただきました。 勉強になる資料で、ご紹介有難うございます。また何か分りましたらご教示ください。
お礼
vicks さま ご教示有難うございます。専門用語が沢山出てまいりました(^^;)。しかし分りやすい説明で、素人の私でも理解できそうです。 銅と炭素/窒素は不仲なのですね。何日も一緒に居ても仲良くならないのですね。こういうことを言ってはいけないのかも知れませんが、なぜ、炭素は銅中に溶け込んだり/拡散したり出来ないのでしょうか?そこには、炭素濃度勾配が起こらない理由があるのでしょうか?申しわけありませんがもう少しお付き合いいただけますと助かります。宜しくお願い致します。 vicks さま 大変お礼が遅くなりまして、申しわけございませんでした。 私のあつかましいお願いにお付き合いくださり感謝しております。 また説明も分りやすく、イメージが沸き、理解する事が出来ました。銅に対する炭素の拡散係数ですね。親和力と共に良いヒントを頂きました。私ももっともっと、図書館や熱処理屋さんなどで文献を探してみたいと思います。有難うございました。