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自立支援と偽り監禁施設、NPO貧困ビジネス

 首都圏の郊外に住む20歳代のAさんは、中学生のときに学校へ行かなくなり、引きこもった。学校へ行っても自分だけ友人ができず、コンプレックスに悩んでいたことがきっかけだ。   学校では、仲間外れにされたり、いじめられたりして、いつも孤独だった。家でも、「なんで学校に行かないのか?」と、母親から責められた。  でも、親には本当のことは言えなかった。父親は終始、無関心だった。この世の中で、自分だけが変わってるのだと思っていた。中学には通わなかったものの、高校を受験して入学した。「これで変われるかな」と思った。  しかし、周りは友人ができていくのに、自分だけ取り残されていく。孤立感は深まるばかりで、やがて学校に行かなくなった。  数年後のある日、自分の部屋でテレビを見ていると、母親から「カウンセリングの人が家に来るよ」と聞かされた。 いきなり母親が部屋のドアを開けると、体格のいい怖そうな男性が一緒に立っていた。 「なんで引きこもってるの?」「このままじゃダメだ」「親があなたを捨てたらどうするんだ?」 不安を煽られるようなトークで、一方的に追い詰められた。  カウンセリングだと思って、悩みを打ち明け始めると、「そんなの気のせいだ!」と制止された。そして男性は、「このまま引きこもっていたら危ない。あなたを施設に入れないと」などと話した。 「1泊2日で帰れる」「嫌になったら帰れるから」誘い文句ではそう言っていたものの、すべてウソだった。この日から3年以上にわたり、Aさんは“監禁”状態に置かれることになる。話が急展開過ぎて、考える暇もなかった。 途中で逃げようと思っても、お金を持っていない。そもそも誰に頼っていいのかわからなかった。  施設は古びていて、薄暗い雰囲気。ゴミのようなものが山積みされている。出迎えた寮生の中には、大人し目の引きこもり系の人からヤンキー系の人までいた。 「怖い。いじめられるのではないか……」  そもそも対人恐怖症で引きこもっていたAさんは、そんな不安でいっぱいだった。寮生たちは皆、表情がなく、騙されて連れて来られている感じがした。 「暗くうつむき続けて、『こんなところにいて大丈夫なのかな?』『病院に行ったほうがいいのでは?』と心配になる子もいました」「あなたは親に見捨てられた」 でも施設には、精神科医もカウンセラーもいなかった。日常の「支援メニュー」も、清掃と食事をつくることくらいしかすることがなかった。話を交わすこともほとんどなかった。 「帰りたいです」  勇気を出してスタッフに話したら、「あなたは親に見捨てられた」「ここにいるしかない」と言われ、諦めるしかなかった。逃げようにも、携帯を取り上げられ、どこにいるのかさえわからなかった。  脱走しても、身寄りの場所がないことも多く、施設側は親に通報した上で、友人の自宅も割り出して徹底的に捜索。脱走した罰として、暴行を加えられた。「うまく掃除できないと、痣ができるくらい殴られる。脱走すると、個室に連れ込まれて暴行を受け、血を流したり、骨折したり、画びょうで刺されたりしている人もいました」  警察を頼っても、施設から連絡が来て、身元引き受け人として引き渡される。 引きこもりのくせに何だ」「おまえには何の価値もないんだよ」 そう怒鳴られるたびに傷つき、自信をなくしていった。   Aさんは最近脱走に成功した。弁護士を調べ助けてもらうことができた。親はこの施設に、700万円以上支払ったのではないかと推測する。  以来Aさんは、今も実家で引きこもるような毎日。調子のいい日には外に出ることもできるが、時々恐怖心からフラッシュバックのように、施設での嫌な記憶が蘇ってくる。親と会話することは、もう二度とない。  1980年代に、過酷な訓練で傷害致死罪などに問われた戸塚ヨットスクール事件が社会問題化した。しかし最近、「理不尽な支援」を巡るトラブルは増える傾向にあり、声を出せない事例が数多く潜在化している。  かつては“非行少年”などの“更生”として、厳しいトレーニングを課すのが特徴だったのに、いつの間にか“あなたのためだから”という、本人に問題があるかのような“自立支援”にすり替わってしまった。実際、詐欺のような団体が安易なビジネス目的で参入してきている。 背景には、家族の不安と焦りに付け込む形で、本人の同意がないままに、判断力の弱った家族が高額な利用料を取られる契約が横行している。 行政的な基準も特にないため、実は家族の同意があれば、引きこもり状態であるかどうかにかかわらず、誰でも施設に連れて行かれる可能性がある。これは、決して他人事ではない。 (ジャーナリスト 池上正樹) 尼崎監禁事件などを思い起こさせる内容で、貧困ビジネス系のNPOが行っているもようですが、このようなことが日本各地で少なくない状態で未だに続いているようです。警察や行政機関も何も問題視していないようです。マスコミでこの手の問題が大きく取り上げられる様子もありません。 日本ではなぜこのようなことが公然と行われ続けているのでしょうか?  

みんなの回答

回答No.1

それは政治を見ているだけでも分かるでしょう。 政治家の質=国民の大多数の質 (客観的に見て) 本当の意味でどれほど優れた政治家が日本にいるでしょうか? 選んでいるのは国民です。 マトモな政治家を選ぶ力量のない国民が、そのような細かい時事問題に関心がある訳ないです、殆ど少数の識者だけですね。 現実では世の中において大多数は自分以外には無関心なので、そのような問題は社会では無視されます。 ご家族も問題を真剣に相談する場所が無いために困った末に問題を処理してくれる団体なら何処でも受け入れてしまいます。 自治体の相談窓口もお役所仕事なので、本気で解決する事もないですからね。 唯一の解決策は、親が精神的に大人になり産む前の段階から親の役割を果たせる大人になる事ですね。