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雑所得の確定申告について
- サラリーマンの年収500万円程度で、給与所得以外に投資株の貸株料やクラウドファンディングの分配金の雑所得がある場合、確定申告が必要かどうか気になっています。
- クラウドファンディングの分配金については、源泉徴収されているがCSVには源泉徴収税額が記載されていないため、確定申告時の添付資料として問題ないか知りたいです。
- クラウドファンディングに出資した元本の回収が倒産などでできなくなった場合、損失として収入から減ずることができるのか、教えてください。
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※長文です。 >1.……確定申告時の添付資料として問題ないのでしょうか?…… 「雑所得」の申告に添付資料は【不要】です。 つまり、「納税者の自主申告のみでよい」ということです。 もちろん、税務署(の職員さん)が申告書の内容に疑義を抱けば、申告した本人(ski21504さん)や分配金を支払った者(≒源泉所得税を納税した者)などに確認や調査を行う可能性がありますので、「申告書作成に使った資料」は保存しておくべきです。(ただし、事業所得などと違い保存は義務ではありません。) (参考) 『確定申告期に多いお問合せQ&A……Q23 所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出する際に必要な書類はどのようなものですか。|国税庁』 http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/qa/06.htm#q23 『確定申告後に税務署から来署案内?(2011/01/18)|さいたま市 税理士 小暮巌のブログ』 http://iwayan.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-594e.html *** ○備考1:「雑所得」について 以下の国税庁の解説にある通り、「雑所得」は、【上記1から9までの所得のいずれにも該当しない所得】という位置づけの所得です。 『所得税……所得の区分のあらまし|国税庁』 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1300.htm ですから、「クラウドファンディング」のような既存の税法では規程されていない所得については、「雑所得以外に該当する所得区分がない(だから雑所得扱い)」ということになります。 --- たとえば、「FX取引による所得」が良い例で、法整備が整うまでは、やはり「(総合課税の)雑所得扱い」でした。 その後「取引所取引(によるFXの所得)」のみ「(分離課税の)先物取引に係る雑所得等」に組み入れられ、最終的には「店頭取引(によるFXの所得)」も同様の扱いとなり現在に至ります。(なお、いわゆる「海外FX取引」による所得は現在でも雑所得扱いです。) ※ちなみに、所得が「先物取引に係る雑所得等」に区分されると、総合課税の所得税率には影響せず、同じ「先物取引に係る雑所得等」同士の損益通算も可能になります。 また、「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」の特例も適用されます。 (参考) 『所得税……総合課税制度|国税庁』 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2220.htm 『外国為替証拠金取引(FX)の課税関係|国税庁』 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1521.htm --- ということで、【現時点では】「(総合課税の)雑所得(以外に該当する所得区分がない)」状態ですが、今後どうなるかは(現時点では)分かりません。 特に問題がなければそのまま「雑所得扱い」のままかもしれませんし、FXのように広く一般的な投資手段になれば、何か変わるかもしれません。 *** ○備考2:「雑所得」の申告方法について 前述の通り、「雑所得」は納税者の自己申告のみで申告する所得なので、「国税庁が用意した(クラウドファンディングの分配金用の)申告用紙」なども存在しません。 具体的には、以下の記載例にあるように、その他の雑所得とまとめて記載することになります。 『[PDF]確定申告書の記載例>申告書A(第一表・第二表)|国税庁』 http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kisairei2016/pdf/shinkoku_a.pdf ※「第一表」の「雑」、「第二表」の「所得の内訳」および「雑所得(公的年金等以外)・配当所得・一時所得に関する事項」 ※「申告書A」は、「申告書B」から事業所得などの項目を減らした「簡易版」という位置づけの申告用紙です。ですから、「申告書B」で申告しても特に問題はありません。 >2.クラウドファンディングに出資(融資)した元金の回収が倒産などで、できなくなった場合は損失として収入から減ずることができるのでしょうか? いえ、(事業所得などではありませんので)できません。 なお、「損益通算」については、以下の通り、所得の種類ごとに細かくルールが決められています。 (参考) 『所得税(確定申告書等作成コーナー)……損益通算|国税庁』 http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2011/taxanswer/shotoku/2250.htm >3.今年購入したパソコン(20万弱)やスマホやその通信費を経費として計上して収入を減ずることができるのでしょうか? 【理屈の上では】、税務署(の職員さん)に【分配金を得るために必要な支出】であることを納得させられるのであれば「必要経費」として分配金から差し引くことができます。 しかし、出資したお金を運用するのはski21504さんではありませんので、現実的にはまず無理です。 ・分配金による雑所得=分配金による収入-分配金を得るためにかかった費用 (参考) 『所得税……やさしい必要経費の知識|国税庁』 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2210.htm > 1 必要経費に算入できる金額 >事業所得、不動産所得及び【雑所得】の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。 >(1)……その総収入金額を得るために【直接要した費用】の額 >(2)……【その他業務上の費用】の額 *** 備考:「給与所得」と必要経費について 「給与(による収入)」は、「事業による収入」などと違い、必要経費(を差し引くこと)が認められていません。 ただし、「給与所得控除(きゅうよしょとく・こうじょ)」という税法上の控除が【すべての給与の受給者に】【無条件で】認められています。 なお、「給与所得控除」以外に「給与所得者の特定支出控除」という税法上の控除もありますが、「【職務に必要な】パソコンやスマホの購入費用、およびその通信費」は【対象外】です。(それらの費用は「給与の支払者≒雇用主」が負担すべきものです。) (参考) 『所得税……給与所得|国税庁』 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1400.htm >(2) 給与所得控除 >給与所得は、事業所得などのように【必要経費を差し引くことができない】代わりに所得税法で定めた給与所得控除額を給与等の収入金額から差し引きます。 --- 『所得税……給与所得者の特定支出控除|国税庁』 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1415.htm ***** 補足:「個人住民税の申告(≒市町村への所得申告)」について 「個人住民税」には「所得税」のような特例はありませんので、「すべての所得」の申告が必要です。 なお、ネットの情報などでは個人住民税にまで言及していることが少ないので、【個人的には】「ルールを知らず申告漏れ」になっている人が多いだろうと推察しています。 (参考) 【多摩市の案内】『よくある質問|多摩市』 http://www.city.tama.lg.jp/0000000555.html >(質問)私は会社員ですが、勤め先の給与以外に15万円の収入があります。所得税は申告義務がないと聞いたのですが、住民税はどうすればいいですか。 >(回答)……住民税では、所得の多寡に関わらず申告が必要となります。所得税の確定申告をしない場合は、住民税の申告をお願いします。
お礼
丁寧な説明ありがとうございます。 分からないことが理解できてとてもスッキリしました。