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糖質と脂質
多量に取るとより体に悪いのはどちらですか?
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どんな栄養素でも摂り過ぎは体に悪いです。 これは糖質、脂質に限った話でなく、タンパク質だって摂り過ぎると腎臓に負担をかけるし、微量栄養素であるビタミン、ミネラルだって摂り過ぎれば発がん性が生じたりしますよ。 逆に摂り過ぎなければ、体に悪いという噂だけが先行する食品添加物ですら問題ありません。食品添加物で問題が生じた、などという研究は、通常ではありえない量の食品添加物をマウスに投与するなど、極端な状況で起こったことを報告しているだけです。普通に流通している食品ではしっかりした規制があるので健康被害は起きませんよ。 なので、多量に摂ると体に悪いのは糖質と脂質のどちらか、という質問に対しては、「大量に摂り過ぎるとどちらも(どんなものだって)体によくない」が答えになります。 ただし日常的な生活という観点から見てみると、摂り過ぎる危険があるのは明らかに「糖質」です。というか現実に多くの日本人が糖質をすでに摂り過ぎているといっていいですね。 平均的日本人の食生活はたっぷりのご飯やパン、麺類(糖質)をわずかなおかずと一緒に食べる「高糖質低脂質食」です。日本人は、一日の摂取カロリーの60%も糖質から摂っています。 普段の脳は糖エネルギーしか利用しないので、「食事で糖を摂ることは必要だ」、「糖質制限は危険だ」と主張する人たちがいます。 しかし、食事で糖を摂らなくても人間の身体は脂質やタンパク質から糖エネルギーを合成する能力を持っています(糖新生)、脂質やタンパク質をしっかり食事で摂っておけば糖は摂らなくて何の問題も生じません(筋肉も減りません)。 また仮に糖エネルギーが足りなくても、人間の身体は脂質からケトン体をいう物質を生成することができます。脳はこのケトン体を利用しても活動することができます。穀物を一切摂らない新生児の脳はケトン体で活動していることが知られています。 脳は身体全体のエネルギーの20%しか利用しません。食事で糖を摂取するにしてもカロリーの20%を糖で摂取すれば十分です。60%も糖でカロリーを摂取するのは明らかに多すぎなのです。 体内における余剰糖質は血管や細胞などを構成するタンパク質と結合し糖化を起こします。これは老化の一因となるしガン化の始まりでもあります。だから血糖値の高い状態を防止するために人間の身体では血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されます。 一方の脂質は、たとえ体内で余っていても身体を直接破壊するような性質はありません。内臓脂肪が高い状態が続くと慢性炎症が起こるという話はありますが、内臓脂肪が増えるのは食事中の脂質が多すぎるから、というよりも、食事中の糖質が多すぎて体内で余剰糖質が脂質に替えられて内臓脂肪として蓄積される場合が多いのです。 また食事中の糖質を減らして脂質を今以上摂取しようとすると、脂質は消化吸収に手間がかかるので、すぐに胃の能力が限界に達し、思ったほど食べられません。その結果、却って痩せてしまったりします。だから糖質制限で痩せる人が多いのです。つまり脂質だけなら摂り過ぎを心配する必要はそれほどありません。 脂っこいものを食べると胃がもたれる、というのは、たっぷりの糖質(ご飯など)と脂質を一緒に食べた場合に起きます。糖質は脂質と違って胃腸の処理能力を超えていても大量に食べつづけてしまえるのです。その結果、胃がもたれる。 なので当面、気をつけるべきは「糖質の摂り過ぎ」ですね。脂質はあまり気にしなくてOK。 なお脂質も細かく見ていくとオメガ6脂肪酸の摂り過ぎはよくないため、オメガ3脂肪酸を増やした方がいいといわれていますが、その辺はまた別の機会に譲ります。