全くの嘘ばかりです。
消化器の専門、特に食品免疫に関する専門家として申し上げますが
>肉は体に良くない
添加物は危険
スーパーの総菜は食べるな
特に脂ものは厳禁。
砂糖は毒物。
外食にまともな飯はない。
炭水化物も危険
果物は体を冷やす。
小麦は食べるな<
それぞれを解説します。
・肉は体に良くない
⇒嘘。正しくは【過剰かつ偏った肉食は体を損なう】です。
現在、肉食が脳梗塞などを予防することが知られています[1]。逆に加工肉については脳梗塞のリスクを増加されることも指摘されています[2]。つまり、生鮮肉を自宅で調理し、適切な量を摂取することはむしろ健康に良いことが既に学術的に明らかになっているのです。また、加工肉についても日本人が摂取する量ではリスクが上がりません(1日200g以上を1ヶ月以上摂取することでリスクが微増)
・添加物は危険
⇒嘘です。正しくは【常用量の100倍~1000倍の添加物は危険】です。これは厚生労働省が定める食品添加物の基準から知ることができます[3]。つまり、一般的な食品を食べている分には完全に無毒性量の範囲内であるということです。ただし、複数の加工食品を毎日食べることで蓄積する可能性や、同質のものを数年に渡り摂取することのリスクも指摘されていますので、個人的には食事の中で加工品は1食1品目と定めておくと健康的であると考えます。
・スーパーの総菜は食べるな 特に脂ものは厳禁。
⇒一部事実。現在、食品衛生に関しては各自治体の保健所が管轄していますが、労力の問題ですべての販売店に立ち入り調査ができているわけではありません。従って、食品の加工において偽造などが行われているケースは確かに報告されており(有名なのは西友偽装肉返金事件)個人的にお惣菜を過信することは不適切だと思います。しかし、安心できるスーパーなどで希に食べる程度であればリスクは極めて小さいため(現在健康被害などは殆ど報告されていないため)問題ないと思います
・砂糖は毒物。
⇒嘘。適切なのは【過剰な砂糖は体に害を与える】です。現在、いくつかの論文で”小児については1日の添加糖の摂取量を25g未満にするべきである”という主張があります[4]。これについては私も賛成で、単純な糖質というのは大量摂取すべきではありません。しかし、この文献でも明らかですが摂取しないことも同時にリスクであり、適切な量を補充し尚且つフルーツや穀類・イモ類から糖質を摂取することを勧告しています。加えて、人工甘味料は長期投与の安全性に問題があり、長期の代替には不適切であると述べています
・外食にまともな飯はない
⇒嘘。正しくは【外食には自宅で作るものとは異なり、添加物が使われている】です。従って添加物の危険性はつきまといますし、油などについても長時間加熱し酸化したものが使われているケースもあるため毎日の食事を外食にするのはリスクです。
・炭水化物も危険
⇒嘘。むしろ炭水化物を抜くことは危険です
これは医学の初歩ですが、炭水化物は人間の栄養の約6割を担うものであり、それを摂取しないということは以下の問題を抱えます
1、脳が低栄養状態となり、認知症などのリスクとなる
2、肝臓に負荷がかかり、ケトアシドーシスによる死亡リスクを高める
従って低炭水化物の食事療法は極度の肥満や、透析患者や腎機能低下などやむを得ざる状態でない限り行うべきではないことが指摘されています[5]
・果物は体を冷やす。
⇒一部嘘。生薬学、あるいは中医学や漢方医学的に体を冷やす果物はあります。しかし、すべてがそうであるわけではありませんし、体を冷やすことを目的とした治療も大量に存在します。事実、体を冷やすとされる生薬は黄連、大黄、石膏、芒硝など多岐にわたりますが黄連はアレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の治療に頻用される黄連解毒湯に、大黄は便秘の患者に用いる大黄甘草湯に、石膏は風邪などで使う麻黄湯加桔梗石膏、芒硝は肥満で用いる防風通聖散に配合されています。以上のように体を冷やすことは間違いではありませんし、体が欲するときは食べることが正しいのです
・小麦は食べるな
⇒一部嘘。小麦が遺伝子的に改変されているため危険であるという趣旨の主張を一部の研究者がしていることは事実です。しかし、いずれも論文化されておらず結局は妄言の域を超えていません。そもそも彼らが主張する
『米国では遺伝子改変された小麦を2億人が摂取し、1億人が何らかの病気になっている』
というのは、統計学的に全くイミのない主張です。であれば、危険なのは消毒された水でしょう。米国のすべての国民が消毒された水を飲み、全ての国民は何らかの病気になっているのですから。つまり、このように関連のないことを関連しているように見せかける詭弁を彼らは使いセンセーショナルな本を売ることで儲けているのです。
はっきり申し上げますが、貴方は無知です。
本を読んだごときで知識を得たつもりになっていませんか?それを本当の意味で理解するには栄養学の基礎や生物学、生理学、生化学などの学術的な知識を知らなければならないにも関わらず、表面的な本だけを読んで知ったつもりになっているに過ぎません。
我々専門家ですら、全てを網羅することはできませんが、書店に売られている本の大半が嘘だということは知っています。薬が危険だという本や、ガンは治療すべきでないという本など色々な本がありますが、大半が10年以内に消えます。要はうそだから消えるのです
私が現場に出た頃は『食べてはいけない』などという本が持て囃されていましたが、専門家に徹底的に論破され著者らは間違いを認めず、表舞台から姿を消しました。その代表的な記述は
『発色剤で使われる亜硝酸ナトリウムは、劇物である硝酸と水酸化ナトリウムを用いて作り出すものである。従って、この2つの毒性を持ち合わせた極めて危険なものだ』
という荒唐無稽な記述です。これが荒唐無稽な理由は
⇒食品添加物として使われている塩化ナトリウムは、劇物である塩酸と水酸化ナトリウムを用いて作り出すものである。従って、この2つの毒性を持ち合わせた危険なものだ
などといったらわかり易いでしょう。塩化ナトリウムとは【食塩】です。強酸と強塩基が反応すると中和され、元の性質などを残さないことは中学生でもわかります。つまり、これらの著者らは中学生レベルの知識もなく、それらしい言葉を並べて消費者を騙したのです。
あなたがやっていることは【無知の知】に反した自分への傲慢さからくるものです。
読んだものを理解したと勘違いするのは傲慢です。基礎知識を学び、自分でその理論を構築できるようになって初めて【知った】と言って良いのです。
我々医療従事者に上記のような異常なことを言う人間の割合が少ない理由が、専門的な教育を受けたことによる【知識】と【理論】を兼ね備えた対応をできるという点です。実際、荒唐無稽な主張をする医療従事者の大半が専門的な反論に対して馬脚を現すという醜悪な現実がそれを裏付けます。
きちんと学ばれることを強く勧め、本を鵜呑みにせず、適切な学びを確保されることを願います。
[1]Sauvaget C, Nagano J, Hayashi M, Yamada M.Animal protein, animal fat, and cholesterol intakes and risk of cerebral infarction mortality in the adult health study.Stroke. 2004 Jul;35(7):1531-7.
[2]Larsson SC, Virtamo J, Wolk A.Red meat consumption and risk of stroke in Swedish men.Am J Clin Nutr. 2011 Aug;94(2):417-21
[3]厚生労働省 食品添加物 よくある質問(消費者向け)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/qa_shohisya.html
[4]Vos MB et al.,Added Sugars and Cardiovascular Disease Risk in Children: A Scientific Statement From the American Heart Association.Circulation. 2016 Aug 22
[5]Thompson ME, Noel MB.Issues in Nutrition: Carbohydrates.FP Essent. 2017 Jan;452:26-30.
お礼
このような詳しい説明を自分のためにして下りとてもありがたいです。 私は自分で何もかもわかった気がしてました。 この世の中毒しかないのだと。 今まで自分は毒をたべてきたのだと自己嫌悪しながら. でも表面的な事しかわかってなかったようです。実に恥かしい。 本当にありがとうございます。