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仮定法-Subjunctive mode-は、なんで Subjunctive ?(語源)
仮定法をSubjunctive modeと言いますが、Subjunctive という語の語源等を教えてください。 手持ちの辞書には、〔「接続」が原義〕と乗っていました(ジーニアス英和)が、だからなんなのさ、という感じです。 皆さんの、薀蓄とか、推理とか、を(できれば出典情報つきで)お願いします。なるほどぉ、という説をお願いいたします。
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とりあえず手許の本から,接続法に関わる記述をまとめてみました。 『はじめてのラテン語』大西英文(講談社現代新書) [108ページ] (ラテン語の)法には直説法と接続法,それに命令法,不定法があります。接続法は,ある事柄や事実を,話してあるいは書き手の心のフィルターを通して,たとえば願望や意志,可能性や不確実性などのニュアンスを込めて表現する法を言います。事実を客観的に述べる直説法の「する」に対して,「すべし」とか「してほしい」とか「するかもしれない」などといったニュアンスを表現するのが接続法です。 [238ページ] ラテン語では,こうした接続詞によって導かれる節(従属節)にはよく接続法というものが使われます。接続法という名称もそこから来ています。 『言語学小辞典』(同学社) [70ページ] ドイツ語には直説法,命令法,接続法がある。直説法がある陳述内容を事実として表現するのに対し,接続法は陳述内容が単に考えられただけのもの,非現実的なもの,他者の発言であって話者自身はその陳述内容に責任をもたないことを表明する心的態度の表現形式。ドイツ語動詞の接続法はI式とII式の形態がある。I式は引用文として,要求,とりきめ,などの表現に用いられ,II式は非現実の表現,実現の可能性のない仮定など,あるいは外交的・ていねいな表現(敬語的表現)に用いられる。 『印欧語比較文法』高津春繁(岩波全書) [263ページ](原文は旧漢字) (印欧)共通基語の法(modus)には直説法(indicativus),接続法(subjunctivus又はconjunctivus),希求法(optativus)及び命令法(imperativus)があった。modusはその名の如くに話者の気持を表わすものであって,接続法の表わす感じは未来のそれに近く,明らかに心の中に描かれた,希求法はそれよりも漠然たる,未来を表わし,この二つの差を有しつつ両者共に願望と仮定を表わす。 そういえば,「叙想法」という用語もsubjunctiveの(「仮定法」より古い)訳語ではありませんでしたか? 「接続法」が文中での機能に着目した名称だとすれば,「叙想法」は表す意味に即した名付けだといえそうですが,このあたりは全く記憶モードです。 上に挙げたうち『はじめてのラテン語』は現代新書ですから,本屋で立ち読みでもしてご覧になってはいかがでしょうか。ラテン語の接続法の用法が詳しく解説されていますので,「subjunctiveの本質」を知る一助になると思います。
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- Alias
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英語の仮定法に当たるものを,ドイツ語・フランス語・スペイン語など多くの言語の文法では「接続法」と呼んでいます(ドイツ語ではKonjunktivのほうがふつう)。英語の仮定法の使い方とはそれぞれ違ってはいるはずですが,いずれも,「話者の頭の中にある主観的な内容」を表す従属節で使われる点で共通しています。「接続」された文(=従属節)の中で使われる形,というのが元々の意味なのでしょう。Konjunktivならまさにconjunctionと同じ言葉です。 となると,英語ではなぜsubjunctiveが「仮定法」と訳されたのか,そっちのほうが気になってしまいますね。
お礼
回答をありがとうございます。実を言うと、質問の背景には次のことがありました。「Subjunctive mood」の例文には、「仮定」法という名称から連想で説明しきれないような感じを覚えたのです(例: God save the King/Queen. 例: It is essential that every child have the same educational opportunities. 等(出典:Swan PEU))。そこで「仮定」という日本語からではなくて、「Subjunctive」という語自体から、「Subjunctive mood」の本質を、追跡できないだろうか、思ったことがきっかけでした。このような質問背景でしたので、欧州での複数言語で、この用法が「接続法」と呼ばれているとのこと、大変ありがたい情報でした。 いろいろ教えていただいた今、疑問は細分化され、て次のように感じています。 (1)挙げていただいた各国言語とも、仮定法の本質を得た範疇名を作り出せず、構造上の特徴を捉えて、ただsubjunctiveという名称にせざるを得なかった、と見るのが普通だと思うが、その普通の見方でよいのだろうか? (2)そうではなくて、subjunctiveという名称は、構造上の特徴(従位接続)を単に表現しているという事実を越えて、なにか仮定法の本質を、捕らえ表現している可能性はないだろうか? (3)なぜsubjunctiveを日本では、仮定と訳されたのか。深い思慮があってのことか、それとも、単に仮定しているから、という単純な理由と見るべきだろうか? などと考えています。良い情報をありがとうございました。
補足
おもしろいページを見つけました。題して "God save the subjunctive!" 。題名で笑えました。中はまだ読んでませんけど。ご参考まで。 http://www.ceafinney.com/subjunctive/index.html
他の出典と言うことで、 Etymology: Late Latin subjunctivus, from Latin subjunctus, past participle of subjungere to join beneath, subordinate Date: 1530 by Merriam-Webster
お礼
回答ありがとうございます。また出典情報もありがとうございます。Merriam-Websterって、赤い色で真中が黄色い丸みたいな模様があるやつですか?例えば、Subjunctive という語を引くと、上記のように、Etymology:… という項目も載っているのでしょうか?だとすると便利かなーと思ったもので。
- sesame
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sub(~の下に)+junctive(←joinに性質を表す語尾'-ive'がついて形容詞化) で、「従属的な」「従属語」の意味です、元々は。 ラテン語の subjunctivus が起源で、当時の文法では「仮定法は従属節に属するものと考えられていたから」だそうです。 出典:研究社新英和大辞典 5版(1980)
お礼
おお、素早い。回答ありがとうございます。「ラテン語の…が起源で、…当時…従属節に属する…と考えられていたから」。納得できますねー。従位接続詞 - Subordinate Conjunction- と綴りの構成要素が似ているのが、やっかいだな、と思ったら、時代を遡ってこんな繋がりが合ったのですね。おもしろい説を有難うございました。出典情報も大変助かります。 このトピックはしばらくあけて置かせてください。ほかの説の情報がありましたらお願いいたします。
補足
自分の質問文に綴り間違えを見つけました。Subjunctive mood (modeでなく)でした。失礼しました。お恥ずかしいです。質問には影響ないです。
お礼
ある狭い道に拘って辿っていったら意外なところで開けてある場所にぱっと出た、そこは印欧語の世界だった…という感じで驚きました。最初の質問からは(私は)予想し得なかったタイプの情報です。m(__)m。世の中にはいろんな分野があるんですねー。情報源つきの回答をありがとうございます。