私はコンサルタントの一人なんで何かいわざるを得ないでしょうね。
日本の経営文化というかビジネス土壌は、ちょっとした傾向があると思います。
世界中の文化を知っているわけではありませんが、たとえばアメリカなら、とか香港なら(英国なら)、とか中国なら、はわからないではありません。
あらゆる国を知っているわけでないことをお断りしたうえで言いますが、日本以外の国はコンサルタントに「意見」を求めます。
所詮意見ですから、言った通りにしたがうと言うわけではありません。
というか、全くそのまま実行する会社はひとつもありません。
経営者には経営者の考え方、思想が存在しますので、反論もありうるし無視もありえます。
意見を出してくれたことにたいしお金を払うのです。より多くの意見を聞いたうえ、経営者が自分の判断責任で対応を決定するのです。
日本はそうではなく、コンサルタントに「正解」を求める傾向が強い。
この人がこういったからその通りにやった。うまくいかないのはコンサルのせいだ、という短絡になりがちなんです。
私自身があちこちでよく聞いたことがある言い方は「それで間違いなく儲かるか」とか「成功間違いなしですね」とかです。
異口同音にそういう理屈を言うクライアントが多い。
つまり自分の思想とか思考は棚にあげて、全責任をこちらに預ける意識です。
うまくいったら自分の手柄だけど、いかなかったらコンサルタントのせいだ、と言う逃げを作るのです。
いうまでもなく、「正解」なんてどこにもありません。
やりかた次第で正しい方法でも失敗することもあり、危ないやりかたでいい結果が出ることもあるのです。
特に、どういう神経、方向性でその結果を出したかがよく理解されていないと、船の方向自体がドリフトし始めます。
これはコンサルが信じるに足りないことをしているわけではなく、「正解」を教えているわけでないからです。
意見を言っているだけです。提案をしているだけなんです。
いろいろな情報を集め分析してやっていることではありますが、たったひとつの答えを出すための分析なんてありません。
分析自体が理論的な手法を使ったり、帰納的な結論にあてはめて仮説を出したりするのですが、絶対にこれだという結論なんか出ません。
商売なんですから風向き次第で何が起きるかわかりません。嵐も津波も来るかもしれない。
先生がこういうからこれ以外のことはない、という無思考で経営をなさるなら、明日どうなるかしれません。
それを、コミュニケーションの悪いコンサルがいる、とか、状況分析が足りないコンサルだ、とかひとのせいにしてしまったら、船は沈みます。
コンサルは勝手な意見をいうバカ者だ、その意見を聞いて、自分はもっと柔軟にやっていこう、と思うなら、絶対に成功する方向に船が進むはずです。
いいですか。コンサルがバカ者だと私は言っているのではありません。
コンサルのいうことは単なる意見にすぎない、と思ったところから、自分の商売への責任感が熟成し、制御がうまくいくのではないかと言いたいのです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 それは東洋と西洋の文化の違いだというのですね。私もそんなに詳しいというわけではありません。ただ、依頼してきた企業の作業実態や経営状態に対してただ提言をするだけでかなり高額なお金(いくらだか想像もつきませんが)を依頼者から支払っていただくというのはやはり私から見ると少々やりすぎのような気がします。自分たちで解決できるなら、とっくの昔に自分たちで改善していますよ。かなり難航すると思うから、専門のコンサルタントに来てもらうんだと経営陣は考えていますとしたら、それは話のすり替えだと思います。