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納豆のネバネバが存在出来る理由
納豆がネバネバしている理由はムチンやポリグルタミンが含まれているからだと言われています。 ムチンは糖タンパクの一種ですし、ポリグルタミンは蛋白質の一種であるため、どちらも蛋白質分解酵素によって分解する事が出来ます。 ところで納豆にはナットウキナーゼという非常に強力な蛋白質分解酵素も含まれています。 ナットウキナーゼは常温でも十分強い活性がありますし、活性があるpHの範囲も5.5~10と比較的広いものです。 それでは何故、納豆のネバネバはナットウキナーゼによって分解されてしまわないのでしょうか?
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酵素には、基質特異性があります。そうでないなら、酵素自身も自分の細胞も 蛋白質なので分解酵素が働くはずです。例えば、動物の胃の消化酵素のペプシン は、「酸性アミノ酸残基-芳香族アミノ酸残基と続く配列のC末端側を切断する」 という選択的な機能です。 ナットウキナーゼの基質特異性は、↓で実験されてます。 http://www.jafra.gr.jp/natto2.html 納豆にあるのは、ポリグルタミンではなくポリグルタミン酸です。 グルタミン酸は、カルボキシル基が2つあり、ペプチド結合に使われるのは ポリグルタミン酸では、DNAからの蛋白合成で使われるアルファ位ではなく ガンマ位のカルボキシル基で、結合してます。この特殊な結合のため、 分解できるのは、対応した基質特異性が必要であり、ナットウキナーゼは 違います。 麹菌には、126の蛋白質分解酵素の遺伝子があるそうです。納豆菌も同程度 でしょう。ポリグルタミン酸の合成酵素や分解酵素も持っているはずです。 もちろん、必要に応じて制御するしくみもあるはずです。保湿性のほか、 栄養素として他の菌に横取りされにくい形で保存し、必要に応じて分解し 利用する役割でしょう。
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- kasudako
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どなたからも回答が無いようなので回答します。 但し、私の専門は分析化学(以前酵素を使った新規分析法を開発したことがあります)で、酵素は専門としていません。 結論的にいえば、納豆は各種成分が平衡状態なった状態だからです。 この説明でお分かりでしょうか? もし、ナットウキナーゼが全てのタンパク質をアミノ酸まで分解するとしたら、納豆にはたんぱく質は存在せず、グルタミン酸などのアミノ酸の混合物になることになります。 蛇足ですが、納豆には、タンパク質以外の物も含まれているので、ナットウキナーゼでたんぱく質が100%アミノ酸に分解されたとしても、納豆はアミノ酸100%にはなりませんが…。
お礼
御回答頂き有難う御座います。 平衡状態にあるという事は、ムチンやポリグルタミンがナットウキナーゼによって分解される際に生成するアミノ酸や糖が、再度結合してムチンやポリグルタミンが生じる反応が起きていて、ムチンやポリグルタミンを分解する反応と再結合させる反応を合わせた場合、エネルギー収支が0になっている、即ち、エネルギー源が無くともムチンやポリグルタミンが一定の割合で存在し続けるという事を意味しますが、アミノ酸や糖からムチンやポリグルタミンを合成する反応は納豆菌の細胞内で起きている蛋白質の合成反応であり、その反応を維持し続けるためには納豆菌の代謝を維持するエネルギー源が必要となり、そのエネルギー源としてアミノ酸や糖の一部が不可逆的に消費されますから、 >平衡状態なった状態 という表現では語弊がある様に思います。 もしかしますと回答者様が仰りたい事は、ムチンやポリグルタミンの分解生成物に加えて、大豆に含まれている成分の分解生成物が納豆菌に吸収されて、細胞内でムチンやポリグルタミンが合成され続けているため、平衡状態ではないものの、納豆菌の代謝を維持するのに必要となる栄養が無くならない限りは、ムチンやポリグルタミンの濃度が0になる事は無いという事でしょうか? それならば確かにムチンやポリグルタミンが無くならなくとも不思議はないと思います。 只、この御回答で判る事は、それはその様な可能性も考えられるという所までで、ネバネバが存在する事が出来ている理由が、本当にその理由によるものなのかどうかは解りませんでした。 もしもナットウキナーゼによる分解速度の方が納豆菌による合成速度よりもずっと速かった場合にはムチンやポリグルタミンの濃度は低くなってしまいますから、回答者様の仰る理由でネバネバが維持されているとするためには、納豆菌による合成速度がナットウキナーゼによる分解速度と比べて非常に遅い訳ではないという事を明らかにする必要がありますが、その点を明らかとする様な何かの情報源を御教え頂く訳には参りませんでしょうか? 後、可能性だけの事であれば、遺伝子組み換えの分野などに使用されている制限酵素がDNAの中の特定の塩基配列となっている部位しか切断出来ないのと同様に、ペプチド鎖の中でナットウキナーゼが切断する事が出来るのは何らかの条件を満たしている部位に限られているために、ナットウキナーゼによるポリグルタミンやムチンの分解反応は途中で停止してしまい、全てを分解する事が出来ない、といった様な類の他の可能性は考えられないのでしょうか?
お礼
御回答頂き有難う御座います。 >ナットウキナーゼの基質特異性は、↓で実験されてます。 御教え頂いたURLのページの内容は大変興味深く拝見させて頂きました。 ナットウキナーゼの場合、 -His-Asp-Val-Leu-Lys-の部位に対する分解活性が68.5nmo/min/mlで最も切断しやすく、 他にも-His-Asp-Phe-Pip-Arg-の14.0nmo/min/mlや -His-Asp-Pro-Phe-Arg-の11.5nmo/min/ml等、別の配列の中にも切断可能なものが無い訳ではないものの、 -Glu-Glu-にはデータが無いという事は、グルタミン酸のみのペプチド鎖に対しては特筆する様な分解活性が無いという事なのでしょうね。 >ポリグルタミン酸では、DNAからの蛋白合成で使われるアルファ位ではなく ガンマ位のカルボキシル基で、結合してます。 成程、それでは通常の意味での蛋白質ではありませんから、普通の蛋白質分解酵素の一種であるナットウキナーゼでは分解出来ないという訳ですね。 御教え頂き感謝致します。