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塩化カリウムについて
- 塩化ナトリウムの電気分解によって生産される水酸化ナトリウムが、装置をそのまま使って水酸化カリウムになることがある
- 水酸化カリウムに含まれるナトリウム濃度はppbレベルである
- 塩化カリウムを掘り出して日本に輸出する際、固結防止剤を加えただけのものがそのまま輸出されている
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海底の隆起で海水が陸地の中に閉じ込められたり、土壌に含まれている僅かな塩分が河川の流れによって低地に集められたりする事によって塩水の湖である塩湖が生じる事があります。 この塩湖の水が蒸発によって失われて行きますと、水中に含まれている塩分が濃縮されて行き、水に溶け切れない程の濃度にまで達すると溶け切れなくなった分は塩の結晶として湖底に沈殿する様になります。 この様にして出来た塩類の塊の事を岩塩と言います。 塩湖の塩水中には塩化物イオンとナトリウムイオンだけではなく、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、等々、様々なイオンが溶け込んでいて、それら陰陽のイオンの組み合わせによって生じる様々な種類の塩類は、水に対する溶解度や、塩分全体の中で占めている割合がそれぞれ異なっていますから、それらの塩類の中でも濃度が高い物や水に溶け難いものほど沈殿しやすくなります。 そのため、塩類が沈殿して行く際には沈殿しやすいものが先に沈殿して湖底に溜まり、沈殿し難いものはそれよりも後になってから沈殿し始める様になりますので、湖底に形成される岩塩層は層の上下で成分比が異なって来ます。 水に対する溶解度を比べた場合、塩化カリウムは塩化ナトリウムよりも若干水に溶けやすくはあるものの、その差は大きなものではありません。 しかし、海水などに含まれている割合は塩化ナトリウムの方が圧倒的に高濃度であり、塩化カリウムは僅かしか含まれておりません。 このため、塩湖の中に水が残っている間は塩化カリウムが沈殿する事は殆ど無く、特に乾燥している地域にあって、流れ出す河川も無い塩湖が完全に乾き切って水が無くなった所に残された岩塩の表層の辺りでもなければ塩化カリウムの層は生じません。 その様にして生じた塩化カリウムを多く含む岩塩の事をカリ岩塩と言います。 但し、カリ岩塩の元となった塩湖が乾き切る間際の塩水の中には、塩化カリウムだけではなく、沈殿せずに残っている塩化ナトリウムや、塩化マグネシウム等の他の塩類も溶け込んでいました。 そのため、完全に干上がった塩湖に残された岩塩層のその表層部分に生じた塩には、塩化カリウム以外の塩類も含まれています。 その内の1つである塩化マグネシウムは水分を特に吸収しやすく、まわりに液体の水が存在していなくても、潮解と言って空気中に含まれている水蒸気を吸収して水溶液となってしまう性質があり、溶けてカリ岩塩の中から流れ出て行ってしまうため、カリ岩塩に含まれている塩化マグネシウムの割合は低くなります。 一方、塩化ナトリウムはその様な事にはなりませんし、元々水に対する溶解度も塩化カリウムと大差がないため、塩化カリウムと同じくらいの割合が残っている事になります。 つまり、 >カナダから地中から堀り出され輸入されたもの は、海水から作られる塩と比べれば格段に高濃度の塩化カリウムが含まれているというだけであって、 >ナトリウムを含まない純度の高い塩化カリウム などではありません。 【参考URL】 岩塩 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E5%A1%A9 カリ岩塩 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E5%B2%A9%E5%A1%A9 iStone 鉱物と隕石と地球深部の石の博物館 > おもしろい石 > シルビン http://www.istone.org/sylvine.html >水酸化ナトリウムを電気分解する装置 には、イオン交換膜が使われています。 イオン交換膜には陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の2種類があり、陽イオン交換膜は水などに溶けているイオンの中で陽イオンだけを透過させ、陰イオンは通さない性質があります。 陰イオン交換膜はその逆で、陰イオンだけを透過させ、陽イオンは通さない性質があります。 陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を1枚ずつ使って、1つの容器の中を3つに区切り、その真ん中には塩水を、両端には真水を入れてから、真水が入っている所に電極を入れ、陽イオン交換膜のある側にはマイナス、陰イオン交換膜のある側にはプラスの電圧を加えますと、電場に引かれてマイナス電極側には水素やナトリウムやカリウム等の陽イオンが集まり、プラス電極側には塩化物イオンを始めとする陰イオンが集まる事になり、容器の両端にはイオンのバランスが偏った水溶液が生じる事になりますが、イオン交換膜があるため反対の符号のイオンが混じる事はありません。 これで陽イオンと陰イオンは分離する事が出来ます。 では、同じ陽イオンであるナトリウムイオンとカリウムイオンはどの様にして分離するのかと言いますと、同じ陽イオンであってもナトリウムイオンとカリウムイオンでは、同じ電位差に引っ張られた時の移動速度に違いがあり、イオン交換膜を通過する際の「通り抜けやすさ」が異なります。 このため、何枚もの陽イオン交換膜を透過させた場合、ナトリウムイオンとカリウムイオンの割合が、原料である塩水に元々溶け込んでいた割合とは異なって来ます。 実は私も詳しい事は知らないのですが、この事を利用すればナトリウム塩とカリウム塩が混在している塩水から、水酸化ナトリウムを多く含む水溶液を得る事が出来ますので、同じ操作を何回も繰り返せば、元の塩水の中に含まれているナトリウムイオンの割合を減らし、元の塩水の中に含まれているカリウムイオンの割合を高める事ができる筈ですので、最終的には高純度の水酸化カリウムを得る事が出来ると思います。 【参考URL】 イオン交換膜におけるイオンの選択透過性 http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/31799/1/sk013011002.pdf#search='%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E8%86%9C+%E5%8E%9F%E7%90%86' イオン交換膜におけるイオンの選択透過性 https://www.agc.com/rd/library/2014/64-05.pdf#search='%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E8%86%9C+%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0+%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0+%E5%88%86%E9%9B%A2'
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- phosphole
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書き忘れたので最後にもう一点だけコメントしておきますが、最初の質問で「掘り出した塩化カリウムに~」と書かれています。 つうじょう、掘り出された状態のpotashは画像のような着色した石です。 重金属などのコンタミによって着色していると思われます。KCl純品なら色はありません。 https://www.google.co.jp/search?q=potash+ore&safe=off&hl=ja&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0CAgQ_AUoAmoVChMI5ZDFj9K3xwIVA5qUCh0WOQ8Q&biw=1290&bih=635 いっぽう、前の回答にも書きましたが、KClの一般的な精製法として、溶解させてからNaClを分離し、最後にKCl単結晶を析出させることが行われます。ご覧になったビデオというのは、この段階のことではないか?と感じています。 最初は、KCl単結晶が大量に出土して工業的に利用されているところがあるのだなぁ、と関心を持っていたのですが、質問者さんの補足を確認したところ、そうではないように思っています。また、これまで私は化学の常識にもとづいて回答してきたつもりですが、どうも質問者さんには意図が伝わっていないようです。前の回答でコメントしましたが、質問者さんが大勢の情報を無視して、非常に特殊な(しかも誤っている可能性が高いと思われる)ケースに固執されているように感じています。このような姿勢は、学問をやっている人間としては少々不愉快に感じるものです。
お礼
荒れてきたようですので締め切らせていただきます。
- phosphole
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補足ありがとうございます。 >採掘された塩化カリウムは固結防止剤を添加するだけで他の処理は全く行われていません。 ここが気になっています。私は以前の補足で、工業用途に大量に生産・輸出されるKClではなくて、たまたま単結晶として純品が掘り出されたKClが、美術目的やサンプルとして、言い方は悪いですが好事家用に少量輸出されることを想定していました。 質問者さんはこういう分野にお詳しい方と見受けますので、私の勝手な意見ですが、化学工業用途の薬品(ここではKCl)が、crudeの状態のまま輸送されるということが理解しかねています。 実際に、ロシアやカナダのKClメーカー(というのか?)のOHPをチェックしてみても、NaClを主とした不純物と共に掘り出れたカリ鉱石を精製して製品とする工程が記載されています。まず、純品のKCl単結晶として掘り出されることは想定されていません。私の化学者としての感覚からも、そのようなレアなソースに立脚して工業を組み立てるのはリスクが高すぎると感じます。当たり前の化学的現象として、KClはNaClと親和性が高いのでNaClはほぼ100%混じってくるはずです。 http://www.kali.by/en/production/technology/enrichment_technology/ https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=11&cad=rja&uact=8&ved=0CF4QFjAKahUKEwjm2PmHzrfHAhWmGaYKHbiJB24&url=http%3A%2F%2Ftechnology.infomine.com%2Fhydrometmine%2Fpapers%2FPotash%2520Processing%2520in%2520SK%2520-%2520A%2520Review%2520of%2520Process%2520Technologies.pdf&ei=DcHVVaaeF6azmAW4k57wBg&usg=AFQjCNGdsFmzz08L24khwDKpv7WMb5ZTIw&sig2=ZisOf2KTK_8XcUEvHQK3GQ&bvm=bv.99804247,d.dGY (potash (カリ鉱石のこと)を中心に、+ mine, + oreといった検索をしてみてください) 質問者さんの情報ソースはどのようになっているのか気になっています。 繰り返しますが、KCl純品が掘り出される可能性を否定するつもりはありません。私が言いたいのは、「一般にはNaClなどとの混ざりモノとして得られるので、それからKClを分離して製品としている」という化学的観点からは当たり前の方法が実際に行われているのに、それを無視した議論が展開しているように思われるが、根拠は何なのか?ということです。 塩化カリウムはカナダから大型輸送船で運ばれてきます。海水との接触を避けるため、厳重に密閉して完全な隔離状態ぶりです。 ここのコメントは何がおっしゃりたいのか分かりかねています。 海水との接触を避けるため、とありますが、そんなことはKClにかぎらず、化学物質(および他の工業原料)なら当たり前のことです。開放状態で支障が無い物質を除き、密閉するのは普通のことです。NaClのコンタミ云々の前に、そもそも溶けるでしょう?何が言いたいんですか?
お礼
荒れてきたようですので締め切らせていただきます。
- phosphole
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追記ですが、本当に掘り出したカリ鉱石(+添加剤)をそのまま輸出しているのでしょうか?気になって調べたのですが、やはり通常はNaClと混ざっていて、化学処理によってNaClとKClを分けているようですが。 先の回答に書いたとおり、地質学的な時間をかけた分別再結晶によって、Na塩とK塩が十分に分離されることはあって良いと思います。 私自身、興味が出てきましたので、質問者さんがお使いのKClサンプルがどのような処理をされたものなのか(あるいは処理されていないのか)、いっかい確認されることをおすすめします。
お礼
荒れてきたようですので締め切らせていただきます。
補足
何度もありがとうございます。採掘された塩化カリウムは固結防止剤を添加するだけで他の処理は全く行われていません。塩化カリウムはカナダから大型輸送船で運ばれてきます。海水との接触を避けるため、厳重に密閉して完全な隔離状態ぶりです。
- phosphole
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>純度が高いというのはICPを使ってナトリウム量を測定したところ数ppbしか検出しなかったことと、 地質学的な時間をかけて、溶解・再結晶を繰り返せば、そのような高純度の結晶が得られることは不可能ではないと思います。カリウムはもともと存在比がそこまで低い元素ではありませんし。実際にこういうことがあるので、人為は自然に勝てないのか、、、と痛感します。人間側の言い訳としては、同程度のpurificationを人間は1年以内に可能ということくらいでしょうか。 いずれにせよ、ICPでぎりぎり検出できるレベルということで、実質的には100%KClとみなせるということですね。うーん、自然はすごい! 無責任な回答ですいませんが、数千~数万年単位の時間で分別再結晶を繰り返した結果と考えていただければ。 >固結防止剤が含有されてるとはいえ、見た目が完全に真っ白な小麦粉状態だからです。 ただ、見た目は信頼しないでください。 たいがいの塩は、砕いて粉末にすればきれいな粉に見えます。 特に、微粉末にすると乱反射によって多少の着色(=重金属や有機物による汚染)はわかりにくくなります。 ひどく色が付いた不純物が混じっていれば話は別ですが、KClとNaClはどっちも無色ですし、常温・常圧では固体です。無色粉末だからといって、それが何?ということです。融点を測って一定でしたか?元素分析は?そういう情報がなければ無意味です。 質問者さんの補足コメントは、前半(ICPのこと)は文句のつけようが無いもので私の浅薄な回答を謝罪するしかありませんでしたが、後半の見た目云々のところは科学的には意味が無い余計なものと思います。
お礼
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- phosphole
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>ナトリウムを含まない純度の高い塩化カリウムだけが地下に大量に埋まっているのでしょか? これはありえないでしょう。質問者さんの書かれている、”純度の高い”というのがどの程度のpurityを指しているのかによりますが。。。完全に100%pureということですか? たいがいの場合、性質が似た元素はまじります。周期表で同じ族の元素の場合、マイナーな方の元素が、メジャーな方の元素の化合物に不純物として入ってきたりします。 たとえば、NaCl99.99%でKClが0.01%の混合物から純粋なKClを取り出すのは難しいです。KClが圧倒的に析出しやすいとか、、(ありえないことだけど)KClのみが蒸発するとか、そういった条件があれば別ですが。 いっぽう、KClがメジャーで、NaCl(および他の不純物)がちょびっと混じっているという場合なら、KClの純度を”ほぼ”100%とするのは、原理的には可能です。溶解度の差を利用して再結晶を繰り返すとか、電気分解に対する反応性の差を使うとか(i.e., K+とNa+の還元されやすさを使う)、まぁいろいろ考えられます。
お礼
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補足
ありがとうございます。純度が高いというのはICPを使ってナトリウム量を測定したところ数ppbしか検出しなかったことと、固結防止剤が含有されてるとはいえ、見た目が完全に真っ白な小麦粉状態だからです。
お礼
荒れてきたようですので締め切らせていただきます。