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炭素の混成軌道についての質問です。

「2s電子を2pの空き軌道に昇位させて,2s軌道と2つの2p軌道でsp2混成軌道をつくる」などと解説されていて,2sのβスピンをもつ電子のスピンを反転させて2pzに昇位させる図が書かれていることが多いようです。これは禁制遷移ですが,こういう説明で正しいのでしょうか。お教え頂けると有り難く存じます。

みんなの回答

  • phosphole
  • ベストアンサー率55% (467/834)
回答No.2

補足です。 混成軌道で4つの結合を炭素原子まわりに作ることを考える場合、別にスピンが反転した図(トータルではI = 2)であろうが、そのままのスピンの向きの図(トータルではI = 1)であろうが、どちらでも説明はできます。別に結合を作る相手方(たとえば、メタンの水素原子)のスピン状態を指定する意味はありませんので、どっちで書いたところで意味はありません。 生じた4つの共有結合に入っている電子対を見てみると、別に炭素がハイスピンだろうがロースピンだろうが、同じ絵になっているはずです。 ではなんでわざわざ反転させて高スピンにしているのか?ということですが、前の回答で書いたとおり、フント則の教えるとおり高スピン状態の方が安定だからです。 4つのsp3軌道が等価である以上、スピンはすべて並行な状態が安定です。 前の回答でも書きましたが、出発点となっている孤立した炭素原子というのがそもそも仮想的なものです。これのスピン状態をいちいち気にする必要はありません。

Rosenzeit
質問者

お礼

お教え下さいまして有り難うございました。炭素原子の混成軌道を考えるときに,2sから2pへ昇位させた電子のスピンを反転させて書いてあるのは,フントに規則に従ったのであるということで了解致しました。御礼申し上げるのが遅くなってしまい,失礼を致しました。お許し下さいませ。

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  • phosphole
  • ベストアンサー率55% (467/834)
回答No.1

混成軌道の考え方(もっというと、分子をフラグメントに分割して結合を考えるやり方)は、実在の分子を仮想的なラジカルに分割して、結合のでき方を説明するものです。 今の場合だったら、たとえばメタンCH4をCH3とHにわけて、CH3とHの間の単結合にCH3のsp3混成軌道が関与している、とするものです。 注意点すべきことは、上述したとおりこの分割はあくまで仮想的なものです。 質問者さんの疑問はもっともなもので、実際にはおかしいのですが、結合のでき方を理解するためにはこのように電子を分配すればよかろう、という程度の意味しかない、と考えておいた方が良いです。 実際の分子(たとえばメタン)が、メチルラジカルと水素原子に分割できて、それらの混成軌道の相互作用によってメタンが形成されている、ということではありません。 混成軌道の考え方や、もっと広くいえば結合一本のでき方を考えるのは今でも重要な問題ですが、それらの理論的な解釈と、実在の分子をごっちゃにして考えるのは大変危険です。 本当は、個々の結合を区別せず、分子軌道として考えるべきです。其の場合、今回のようなおかしな疑問は出てきません。 なお、厳密に言いますと、炭素(および他の低周期元素)ではsとpの軌道エネルギー・空間分布は十分近いため、安定状態は必ずしも低スピン状態ではありません。もともとフント則にのっとった高スピン状態をとっているケースが多いです。カルベンという化学種を調べてみてください。

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