描きたい絵の雰囲気と合っているか分かりませんが、ゴッホは、油絵の油絵らしい描き方(下地の色と上からのせる色を変えて重層的に描いていく、など)がよく学べると思います。
写真や画集などを見て、「どのように絵の具が重ねられているのか」を想像しながら描くのも面白いですし、テクニックの勉強には十分になると思います。
特にゴッホの場合は、絵の具の重層性や盛り上がり、筆のタッチなどがわかりやすいように写真に撮られている画集が多いです。しかも、ゴッホなら全国どこでも、たいていの図書館には大きめの写真が載った画集が置いてあると思います。
もっとも、現物を見るのが一番、との意見が多いことは承知の上ですが、個人的な経験上、仮に現物を見ながら描くことができた場合でも、必ずしも上達するとは限りません。
特に初心者の場合、現物ではあまりにも情報量が多い(たとえば絵の具の色、質感、絵の具の盛り上げ方、など)ため、「よく見ている」つもりでも、主観的な見方になってしまい、正確に情報量を読み取れないことがあります。
たとえば、ゴッホのヒマワリの現物を見て描いても、「黄色」と思った部分には黄色にしか見えず、他の色がどのように混ざっているか、冷静に観察できなかったりします。それが写真などを見て描く場合は、一度「写真」という均質な状態に落とされているので、色の変化などが見やすくなっていたりします。
ただし、その分、やはり絵の具が盛り上がっている立体感やタッチなどはわかりづらいので、現物を見て描くことと写真を見て描くことは、どちらも良いことと悪いことがある、という感じです。
ゴッホをお勧めする理由は、先にも書きましたが、写真になっても絵の具の立体感や重なり具合、タッチなどがわりと分かりやすい、ということです。
余談ですが、写真でしか見たことがなく、また話には「美しい」と聞いていたシャガールの絵を、現物を見たら何だか幻滅したことがあります。写真で見る限り、あの青はもっと深くてツヤを帯びて透明感があるんだろう…などと思っていたところ、現物は何だかカサカサで、色も「青」ってわかりやすい感じで残念な印象を受けました。
このように、現物がすべて(その人の好みとして)「素晴らしい」などと思えるわけでもないですから、写真を見て模写をしてみた後に、機会があれば現物を実際に見て、その差を実感してみるのが一番良い経験になるのではないか、と思います。
お礼
なるほど、写真を模写することにはそういう面もあるんですね 確かに情報量が多すぎるとそこから上手くくみとる自信はありません 写真からでも色々と知ったつもりになって、実物を見てよりその作品から、写真などで知っていたこととの違いや新たな発見でより深く作品を学ぶという過程も良いですね やはり実物をみるという経験は大事なんですね ご丁寧な説明とご回答ありがとうございました