寄生虫も人体内の異物ですから免疫の攻撃対象なのですけれども、寄生虫が抗原として人体に感知される前に表面どんどん変化させてしまったり、寄生した人の血液や組織を取り込んだり、さらには自らを細胞変化させて抗原として免疫に認識されなくして、免疫システムからの攻撃を免れているのです。つまり、寄生した人の体や、共棲する微生物などに偽装するわけです。
しかし、寄生虫感染によってアレルギー反応が起こることもあり、寄生虫の体や分泌物がアレルゲンとなるからなのですが、そのことからは寄生虫に対する免疫システムがあり、余程に巧妙に人体に侵入する少数の寄生虫以外は、免疫が寄生虫感染を撃退しているのは確かなようです。
治療法として確立していませんし、法的にも認められていませんが、花粉症などのアレルギーの一部は、寄生虫のための免疫システムが誤動作していると考える人もいて、不確実ではあるのですが、ある種の寄生虫が寄生することによって、アレルギーが軽減することがあるという報告もあります。
しかし、寄生虫の害は発生してしまい、効果がないことも少なくなく、仮に効果が出ても長続きしないことも多いようです。そのことも、寄生虫での治療が認められない要因になっています。もちろんですが、人に感染させる目的で寄生虫の卵等を売買することは、日本を含む多くの国で禁止されています。
お礼
寄生虫って凄い能力を持っているんですね。 どの命も環境に淘汰と適応を繰り返して今があるけれど。 免疫とアレルギーと寄生虫の研究がもっと進めば 増加中のアレルギー問題の解決の糸口が見つかるのでしょうか。 とても詳しいご回答ありがとうございました。