会社の設立と言っても、手続きがいくつもあります。
株式会社で言えば、
(1)定款の作成と認証手続き
(2)法務局への登記申請
(3)税務署等の関係税務当局への手続き
(4)事業に必要な許認可手続き
(5)社会保険・労働保険(労災&雇用保険)
などが必要となります。
質問や他の回答にある行政書士という専門家ですが、あまりお勧めいたしません。
これは、許認可の必要な事業を行う上で、許認可も併せて依頼するというのであれば、行政書士が良いでしょう。しかし、すべての事業で許認可が必要なわけではなく、必要ない事業の方が多いため、その場合には、司法書士が良いと思います。
司法書士であれば、行政書士が扱う定款作成や認証手続きを含め、登記申請なども行うことができます。行政書士が登記関係を行うことは法律で認められておりません。
行政書士の中には、書類作成だけを行い、登記申請を本人または使者(代理ではない)として扱うような形でごまかしている場合がありますが、本来は司法書士の業務であり、司法書士法違反の可能性が高いことになります。
法務局の手続きについては、法人としての存在を手続きする大事なものであり、行政書士のミスによるものがあったとしても、賠償が受けにくくなることでしょう。
弁護士というのは、法律上、依頼を受けた法務のほとんどを行うことが認められていますので、定款も登記も行ってくれるかもしれません。しかし、何でもできる専門家というのはまずいませんので、多くの弁護士は司法書士などへ外注することとなり、高額になりやすいことでしょう。また、何でもできる資格者ほど、単価も高いものです。
上記にあげた税務部分も弁護士であれば扱うことは可能かもしれませんが、原則税理士の業務です。設立直後の手続きであっても、税理士以外原則扱えません。
上記にあげた社会保険や労働保険部分についても同様で、社会保険労務士でなければ扱うことはできません。
行政書士経由よりも、司法書士経由の方が話が早く、費用も仲介が少ない分安いことになります。また、行政書士で代理行為できない部分については、依頼者自らが必要な行動を求められることにもなります。
法人の税務は難しいものです。税理士へ依頼することを想定しているのであれば、税理士経由で司法書士などを利用する方が良い場合があります。
これは、株主の構成・役員の構成・資本金額などによって、将来の税務手続きや適用される計算方法が変わってくるためです。
税理士であれば、司法書士・行政書士などとの提携をもっているのが通常です。
税理士に起業時の税務を中心にアドバイスを受けての法人設立を頼むと一番良いと思います。
私自身、税理士事務所勤務経験があり、当時顧客へのアドバイスや相談を受ける立場でいました。
行政書士経由で設立した顧客の中には、許認可部分はきっちりしていても、素人考えでの株主や役員構成のままでの設立をされてしまっているところがあり、将来、登記変更が必要となってしまったことでの必要以上の費用負担が強いられたことがありました。司法書士経由で設立した顧客であっても、許認可が必要になった時のことを考えていなかったり、税務のことを又く考えずに設立したような顧客もいました。
私は最近士業事務所へ非常勤で在籍することとなりましたが、そこの事務所は、行政書士・司法書士・税理士のいる事務所となっており、一回の相談などで方針や計画がはっきりと定まることでしょう。
資本金は、法令での規制がなくなったため、事実上1円から設立出来ます。
有限会社は無くなりましたが、株式会社以外に合名会社・合同会社・合資会社という法人も設立出来ます。株式会社以外の法人の方が安価に設立できるというメリットもあります。
ただ、どの法人であっても、少なすぎる資本金はお勧めしません。資本金として入ってきたお金が法人の当座の運転資金です。1円などの極端な資本金の場合には、すぐに債務超過状態となります。
債務超過の会社ですと、金融機関・許認可・大手取引先の与信審査などで当然に低い評価となります。
私が最近起業する友人に伝える際には、旧有限会社の規定である300万円ぐらいを資本金にすべきだと言います。それぐらいの資金調達をできなければ、経営者として不適格の可能性があるとも伝えますね。
仕入れなどが不要であれば、もっと少ない金額で起業できるかもしれませんが、儲けが出るまでの役員報酬をもらう必要があるはずです。もらわないという選択肢もあるかもしれませんが、利益が出たときにその分という考えが基本できないのが役員報酬のため、起業当初から役員報酬を得る前提で考えます。そうすると300万円なんてあっという間になくなりますからね。
あとは、あなたの事業計画で必要な資金から資本金を考えるべきでしょう。
ちなみに、地域の団体である商工会・商工会議所・法人会などでは、会費を資本金の額で定めるということにもなるため、無意味な高額な資本金ですと、無駄なお金の支出がされることとなります。
また、資本金が1000万円以上となると、最初の事業年度から消費税の課税事業者となり、税務負担と納税負担を受けることにもなります。
いろいろなことを注意しながらの設立ですので、依頼しやすい、相談しやすい専門家を利用されることをお勧めします。