いつごろになるか、と聞かれると私ごときでは答えようもないのですが、若返り、不老長命は可能になる、と断言しておきます。不死はちょっと分かりません。なお、注射も含めて、薬という形になるかどうかも分かりません。
若返りと不老長命は不老長命が先と思われます。そういう哺乳類がいるのです。ハダカデバネズミといいます。成体まで成長すると一切の加齢・老化現象がなく、人類最強の発ガン物質を用いても細胞一つたりともガン化せず、他のネズミの12倍の寿命(約30年)があります。
人間が長寿な場合は、半数がガンを発症します。死因としても上位にあります。それを考慮すると、ハダカデバネズミの不老長命の仕組みを解明して、そのまま人間に応用できたとすると、20歳代前半の姿で千年以上の寿命を保てることになります。
なお、不老だけを追い求めるのは危険で、現状分かりつつあるのは、人間は老化を遅めて寿命を短くするか、早くに老けて長命を保つか、今の技術では人工的にはどちらかしかできなさそうだということです。
若返りのほうは、ES細胞からiPS細胞に至る流れでの発見です。特にiPS細胞は通常の細胞を初期の未分化の幹細胞に戻す技術です。その過程を調べていて、どうやら細胞の一生の変化を逆転することは不可能ではなさそう、むしろできるからこそiPS細胞が作れるのではないかという見方が出てきています。
これは細胞レベルでの時間逆転、つまり若返りの可能性を示唆します。楽観的な研究者になると、多細胞生物を受精卵まで戻し、さらに卵子と精子に分離できるはずだ、とまで言ったりしています。
ハダカデバネズミの不老長命は、まだまだ細胞、さらにはDNAレベルを調べ始めたばかりといっていい段階でしかありません。細胞の若返りも、その仕組みの詳細も不明、多細胞生物への応用の見通しもありません。
しかし現実にあったり、起こせたりするなら、必ず使いたいように使えるようにしてきたのが人類、特に科学技術の歴史です。若返り、不老長命も同じと思うのが妥当ではないかと思います。