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オペラント条件付けですか、それとも古典的ですか
これはオペラント条件付けでしょうか、それとも古典的条件付けになるのでしょうか。私の叔母が以前飛行機内で心臓の具合が悪くなり緊急へ運ばれたことがあります。それ以来、飛行機の事を考えただけで、気分が悪くなったり、緊張状態になるのです。それ以来20年以上も経ちますが、いまだに飛行機に乗ることができません。 この場合はどちらになるのですか?海外で心理学を取っているものです。学期末のレポートに付け加えたいのですが、自分自身この二つの区別がつけられずかなり苦労しています。 例えば、たまねぎを切ったときに涙が出るというのは古典的条件付けであっていますか?この場合、涙は条件反応でいいのでしょうか? すみません、質問ばかりで。解るかたよろしくお願いします。
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- vzb04330
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心理士です。 以前、別の類似の質問にも回答していますので、そちらもご参照ください。 心理学用語の条件づけは、「条件付け」ではなく、「条件づけ」と書くことが一般的です。 古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ、パヴロフ型条件づけともいわれます)は、正確に書けば、「特定のレスポンデント行動を誘発する無条件刺激と、本来その行動出現に関して中性的な条件刺激を,随伴的に呈示すること(レスポンデント強化)によって、条件刺激単独で当該レスポンデント行動を誘発することが可能となる条件づけの操作,およびその過程。ベルの音と口腔中の餌を繰り返し対呈示すると、ベルの音だけで唾液分泌がなされるのはその例」となります(有斐閣心理学事典)。 「ベルの音と口腔中の餌」の例で、補足します。 たとえば、犬の口に餌を入れると、唾液が分泌されますが、これは上記の説明では、特定のレスポンデント行動(唾液の分泌)を誘発する無条件刺激(餌を口に入れる=餌の提示)となります。 ここで、「無条件刺激」と書かれているのは、条件づけが行われていない(もしくは、その必要がない、関連がない)からです。 「本来その行動出現に関して中性的な条件刺激」の部分について、「条件刺激」は、これから条件づけを成立させようとして使う「ベルの音」を意味しますし、「本来その行動(=唾液分泌)出現に関して中性的」というところの「中性的」は、条件づけを行う以前の段階では、関連性がないということを示しています。 そして、古典的条件づけでは、もともと関連性がなかった刺激と、反応を対提示する(同時に提示する)ことによって、その間に連合(結びつき)を生じさせ、新しい刺激-反応関係を成立させるものです(実験をする場合を考えれば、この表現になりますし、日常生活で、たまたま起こるような古典的条件づけでは、新しい刺激-反応関係が成立する(成立してしまう)もの、ということになります)。 「レスポンデント行動」は、日本語で言えば、誘発行動(誘発された行動)を意味しています。 例えば、梅干しを見ただけで、唾液が分泌されるような行動をいいます。 一方、オペラント条件づけは、「有機体の自発したオペラント行動に強化刺激を随伴させ、その反応頻度や反応トポグラフィを変容させる条件づけの操作、およびその過程。餌で強化することにより、ラットのレバー押し行動を増加させるのはその例」ということです(有斐閣心理学事典)。 オペラント行動とは、ラットがバーを押す行動のように、「自発的な行動」をさしています。 オペラント条件づけでは、この自発的行動が起こる頻度を変えようとすることが目的となり、さまざまな条件(つまり、強化の方法、強化の与え方が分析されています。 古典的条件づけと、オペラント条件づけを区別する上では、次の点をしっかり区別してください: *古典的条件づけでは、もともと関連がなかった刺激と、何かに誘発される行動とを対提示することによって、両者の間に新しい連合(結びつき)を作り、そこに学習が成立する *オペラント条件づけは、自発的な行動に対して、強化(報酬)を与えることによって、その自発的な行動がさらに頻回に起こるようにすることで、学習を成立させる ご質問の、おばさまの飛行機の例は、心臓の具合が悪くなったのは、レスポンデント行動であり、オペラント行動とは考えられません。 心臓の不具合という反応が、たまたま飛行機に乗っていたときに誘発されたため、その両者が結びついてしまったと考えられますので、古典的条件づけが成立したとみることが妥当でしょう。 類似の例を挙げれば、梅干しを見ただけ、あるいは、梅干しを想像しただけで、梅干しという言葉を聞いただけで、唾が出てくるというものや、子どもが、病院に行くのを嫌がって泣き叫ぶとか、医師や看護師の白衣を見ただけで、泣く(以前にたとえば、注射など痛いことをされた経験があるなど)ということがあります。 古典的条件づけの中には、何回も刺激-反応を対提示しなくとも、一回だけの対提示で学習が成立してしまうものがあります。 最後に上げていらっしゃる「タマネギを切ったときに涙が出る」は、生理的な物質レベルの反応ですから、条件づけのような学習は生じていないでしょう。 以上、ご参考までに。
お礼
ご丁寧な説明に例まで挙げていただきありがとうございました。日本語でしっかり理解しておけば後は現地の言語に訳すればいいのみで、効率も上がるかなと思い質問させていただきました。本当にありがとうございます。心理士さんですか、素敵ですね。