この問題は簡単ではありません。
かつて,給料が現金で支払われていた時代には,給料は,就業場所で支払われるのが原則でした。すなわち,従業員は,就業場所まで出向かなければ,給料を受け取ることはできなかったのです。
他の回答では,持参債務の原則といっていますが,給料の場合は,その例外で,原則取立債務(債務者=給料の支払者のところで支払う債務)と考えられていたと思われます。
しかし,最近は,給料は,原則銀行振込払いになっています。銀行振込の場合に,振込手数料が差し引かれていれば,それは取立債務のままであると考えられます。ただ,そんなことは通常あり得ないですね。振込手数料は,給料の支払者が負担しています。これで,法律論としては分からなくなりました。
振込手数料の負担はサービスで,昔からの取立債務の例外的原則は変わっていないのか,それとも,振込手数料を負担するということは給料を現金で持参する代わりのもので,給料の支払は,もう一度大原則に戻って持参債務になったのか,これは簡単には判断できないことです。
そこで,雇用契約書や,就業規則などの文書に,何と書いてあるかを確かめる必要があります。給料は就業場所で支払う,と書いてあれば,取立債務である可能性が高くなります。給料は銀行振込で支払うと書いてあれば,微妙です。
そんなわけで,あくまで送金せよ,とか,持って来いと要求することは,法律論として貫徹することは難しいと考えられます。
さらに,次に現実問題として考えたときに,仮に持参債務が法律論として正しいとしても,持参なり送金を強制する方法が問題です。1番の回答にあるように,じゃあどうするとといわれると,困ってしまいます。
せいぜいが,強制執行をして,支払が遅れている分の遅延損害金(判決の主文には,○○円とこれに対する何日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え,という文章が入っていますよね。)を全部取るという位がマックスになります。しかし,これを実行すると,今度は,取立債務を主張する側からは,いついつには,お金を用意して,取りに来れば支払うと通知した(質問文にあるとおりですね)から,それ以降の遅延損害金は支払わないとして,逆に訴訟を起こされる(請求意義訴訟といいます。)恐れもあります。
そうすると,結局現実的な対応としては,言われるとおり取りに行くか,振込手数料を差し引いて送金してくれるよう頼む,のどちらかということになりそうです。
お礼
ご回答ありがとうございました
補足
ご回答ありがとうございます。 取りに行くしかないということですね。 >身内の男性に委任状を交付して 給料受け取りに委任した者が取りに行っても有効なのでしょうか? 裁判の判決が出ていたら、身内や弁護士や第3者が受け取っても大丈夫でしょうか?