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説話の特徴や性格についての考察
- 大学の国文学科で論述の課題が出ました。課題は「説話・説話集の特徴や性格について論述せよ」というもので、必ず一つ以上の説話を取り上げる必要があります。
- 私は「十訓抄」と「宇治拾遺物語」の比較について考えています。これらは同じ場面を取り扱っていますが、内容には違いがあります。私はその違いについて考察する予定です。
- 自分の考えに自信が持てず不安ですが、早く回答をいただければと思います。
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こんばんは、かつて大学院(日本史学)で『日本霊異記』の講読を選択していた者です。その時の僅かな経験をお話ししますが、お求めの回答になっていますやら。 日本の説話文学の流れを概観しますと、最も古いものが『日本霊異記』そして『三宝絵詞』『今昔物語集』『宇治拾遺物語』『十訓抄』となります。 なぜ奈良末期から鎌倉初頭にかけてこれほどの仏教説話集が編纂されたかなどの問題に関してはすでに先行する研究の蓄積かありますので国文学資料館のデータベースでお調べになれば研究動向を掌握することもできます。 そして「何をテーマにするか」との問題ですが、『十訓抄』と『宇治拾遺物語』の双方に掲載されている藤原実資の物語、それも彼の「死」に関して、だけでは少し物足りない気がします。意地悪な質問ですが二種類のテクストを比較して何があるのでしょうか。そしてこの二種類のテクスト以外に同じ作品は取材されていないのでしょうかとなってしまいます。物語が収められたには何らかの意図と理由があるはずです。逆に掲載されていないならばそこにも何らかの理由があることになりませんか?。 そしてもし他の説話集にも収められていたならば、そちらではこの藤原実資の物語を「どの様な切り口で評価しているか」が問題となります。『日本霊異記』に収められている説話は「それ、是を云ふ欺」の文言で締めくくられています。これは作品集ではあるものの、それを使って薬師寺の景戒という僧侶が仏の功徳やそれに違う者の罪業を「奈良時代の庶民に解りやすく伝えるためのツール」として布教活動に利用していたとの背景が作用しています。 恐らくは『今昔』にも同例は収められていると推測されますので、そちらも読み合わせてみてください。物語をただストーリーとして紹介しているものもあれば、何らかの意図でその物語を紹介するにいたったものもあるはずです。その違いかなぜ生じているのかは作品集の性質にもよります。 恐らくは前期のスケジュールも終わっている頃でしょう。となれば夏休み期間を利用しての前期試験に変わるレポートとも考えられますので、先ずは材料を集めることから始めましょう。 (1)文献のありかを調べる…『国書総目録』『國史大辞典』『国文学資料館のデータベース』 (2)研究論文の追跡…テクストが岩波の古典体系ならば解題や補注に研究論文が紹介されています。 (3)問題点の整理I…同一説話が他の作品にもあるか、あるとすればテクストを一字一句比較する。 (4)問題点の整理II…同一説話があった場合、プロットは共通であっても「物語に対する筆者の目線は同じか」。 ざっと今思いついたままに書いてみました。 また藤原実資の遺した日記が『小右記』ですので、こちらを『十訓抄』および『宇治拾遺物語』との対比史料として二次史料的に利用することも必要でしょう。
お礼
ありがとうございます! なるほど、確かに物語の作者の目線についても調べる価値がありそうです。 ただ夏休み前までの課題なので、少し急ぎ目でやろうと思います・・・ とても良い参考になりました!