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サリンジャーのグラース・サーガ
サリンジャーのグラース・サーガを読んでいこうと思うのですが、どういう順番で読んでいけばよいでしょうか? 順番とお勧めの翻訳を教えてください。
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質問者が選んだベストアンサー
あらかじめおことわりしておきます。 サリンジャー、正直、あまりピンとくる作家ではないのです。 私自身に仏教の知識が皆無である上に、サリンジャーの仏教観もかなり特殊なもののような気がするんです。 とくに一連のグラース家の物語は、やはり長兄シーモアの仏教観が全体の鍵になっていて、これをすんなり受け入れられるか入れられないかでおもしろく思えるかどうかもちがってくると思う。 私は受け入れられなかった派なんですね。 ですから、あまり良い読者ではないことをお含みの上、お読み下さい。 こうしたご質問をされたということは、質問者さんはある程度、グラース家の人々が出てくる一連の作品についての知識をお持ちなのだと思います。 作品の執筆年代順に並べると、 『ナイン・ストーリーズ』(1953)、 『フラニーとゾーイー』(1961)、 『大工よ、屋根の梁を高く掲げよ』(1963)、 『シーモア ―序章―』(1963)、 『ハプワース16 1924』(1965)ということになります。 最初の『ナイン…』の中の短編『バナナフィッシュにうってつけの日』で、長兄シーモアが自殺するところから、このサーガの幕は開く。 一方、作品の設定時期はこのような順番になっています。 『ハプワース…』(1924年にシーモアが家族に送った手紙を1965年にバディがタイプし直したという設定) 『大工…』(1942) 『バナナフィッシュ…』(1948) 『フラニー』(1955) 『ゾーイー』(1955・フラニーが倒れた三日後) 『序章』(1959バディがシーモアのことを思い出しながら書いたという設定)。 私はごく普通に執筆順に読んで、『ナイン…』はところどころで再読しています。 別にどのように読まれても良いかと思うのですが、『序章』で一家の歴史が紹介されたり、『ゾーイー』の冒頭で、一家の全貌があきらかにされたりしてはいるけれど、とにかく『ナイン…』を最初に読まれることをおすすめしたいと思います。 というのも、グラース家の物語はやはりシーモアの物語であり、シーモアの自殺は全編を貫く大きなテーマであるからなんですね。 また、『ナイン…』には、いろんな登場人物の原型が出てきます。 ブー・ブーのように登場人物の一人として現れてくるものもあれば、バディやシーモアの原型を思わせる主人公が登場する作品もあります。 こうした意味で、やはり『ナイン…』は、全体を理解する鍵になる作品だと思います。 翻訳は、やはり野崎孝の訳が評価が高いようです。 http://www.sophistic.org/indexj.html このサイトはサリンジャーの全作品を網羅した、細かな情報満載のサイトです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 大変勉強になりました。 執筆順に読んでみる事にします。