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反リフレ派の理由
私は個人的にマクロ経済を勉強していましたが、立場としてはリフレ派とよばれる部類に属するようです。 そこで、リフレに反対する人々もいるわけですが、そういう人はどういう理由でリフレに反対なのでしょうか。 岩田規久男氏や高橋洋一氏などに一通り反論しつくされていると思うのですが、それでもリフレに反対する理由があれば教えてください。
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> 「予想インフレ率にはたらきかける」という点についてはどうお考えでしょうか。 まず、本当に上がるのか? という問題があります。 当然の話ですが、多くの人(一般人ではなく、企業の経理部などそれなりのプロ)が「結局、銀行の資産が国債になっているか日銀当座預金になっているかの違いだけでしょ?」と考えれば、全くインフレになるとは予想しないため、予想インフレ率が上がりません。 したがって、金融緩和(例えばマネタリーベースの増加)は、予想インフレ率に何の影響ももたらさないかもしれません。 また「予想インフレ率」なるものは、実際には消費者性向のように直接測定することができないものです。 合理的期待仮説によれば「予測が実現する」とみなすこともできますが、実際の世界を見れば、予測が常にあたり続ける等ということはほとんどあり得ないことが分かるはずです。 更に、どの程度の金融緩和でどの程度の予想インフレ率となるのかも分かりません。ゼロかも知れないし、100万%かもしれない。 その上、予想インフレ率が実現するのがいつかも分かりません。明日かもしれないし、10年後かもしれない。 つまり、現実の政策目標に織り込むためには、かなり無理があります。 仮に、予想インフレ率が実際に上がったとしましょう。上がりすぎたかどうかを知ることは、直接測定できない以上、不可能です。また、「予想」なので、実際とは、半年なり一年なりの時間的なずれがあるはずです。すると、上がり過ぎているかもしれないし、まだまだ全然足りないのかもしれない訳ですから「管理してある程度インフレ率をコントロール」することは理論的に出来ません。 つまり、予想インフレ率を操作することによって管理されたインフレを行う、というのは、論理的に破綻しています。 因みに、突如としてハイパーインフレになるかもしれないし、デフレのままかもしれない。こういう不安定な状況が経済にとって最もマイナスで大きな負担となります。 > >このような、金融政策以外の効果を全く無視するのは、一体何故なんでしょうか。 > 前にも言いましたが、無視してないですよー。財政出動に関しても言及しました。 では、なぜ金融緩和だけが効果があったかのような言い方をするのでしょうか? 例えばリーマンショック後のアメリカにおいて、市中に出回っているお金(マネーサプライ)が変わっていないにもかかわらず、金融緩和でマネーストックの変化量だけを取り出して、その効果によりインフレに振れた、という旨の発言をしていますね? === アメリカの場合も、2008年には0.7、2009年には1.92ですので、 インフレ率が上昇したという点では、量的緩和の効果は日本においてもアメリカにおいても1年程度で効果が見え始めていると言えます。 === > >市中銀行から国債を買い入れる場合には、BIS規制の問題で貸し出しが細ったり銀行の収支に大打撃を与える可能性があります > 薄学で申し訳ないのですが、この部分をもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。 BIS規制とは、総資産に占める自己資本の比率が一定でなければ銀行業を行えないといする国際的な枠組みです。国際業務で8%、国内業務で4%が必要とされます。ここでいう自己資本は資本金ではなく、簡単に言えば貸し倒れなどがあってもなくならない資産(安全資産)を指していると思って下さい。ここで、この安全資産には、現金、国債などは100%算入できますが、企業向けの貸付金は貸し倒れるため0%算入、つまり算入できません。 現在日本の銀行は、私の知る限り一つの例外もなく、この自己資本比率の大部分を国債によって運用しています。従って、国債を日本銀行が買い入れたところでBIS規制により他に貸し出すことは難しく、国債の利子分を銀行が受け取れなければその分の収支を悪化させることになります。 > マネーサプライについてはそんな単純な話をしているわけではないということは岩田氏の著書に書かれており、岩田氏が反論しているので、私がここで知りたい“岩田氏らが反論してもなお”反リフレである理由というわけではありませんのでその点については、スルーしますね。 このような態度は、covanonki氏に苦言を呈されていたと思いますがね。 この発言が何について言っているのか分かりませんが、では岩田氏がどのような反論をしている、などという野暮なことは聞きません。ただ、結局は質問者氏が自分の理解に基づいてリフレ派を名乗っているわけではない、ということは分かりました。 リフレ派・反リフレ派のいずれでも質問者氏の意見なので良いですが、少なくとも事実を捻じ曲げたり、意図的に自分の意見に合わないものを無視したり、誰かの意見を鵜呑みにしたりしないで、少しは自分の頭で考えて意見を決めたらよいと思います。
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- at9_am
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> >一番問題なのは、そんなものを起こすことができるのか? という点です。 > できますよね。諸外国ではきちんと管理してある程度インフレ率をコントロールしてますし。 > >インフレターゲット論 > 目標に設定したインフレ率を例えば2%にしたとして、ある時のインフレ率が0%やマイナスになっていれば金融緩和に、5%や6%といった高いインフレ率になっていれば金融引き締めをするということを市場と中央銀行の間で認識を共有させるためのもの デフレを克服した例はありませんね。 諸外国で管理しているのは「高インフレ→低インフレ」であって、「デフレ→低インフレ」は、戦後には一つも例がありません。したがって、金融緩和でデフレが解消するというのは、理論的には正しいのですが、実際にどの程度の金融緩和が必要なのかも分かりません。 また、アメリカ・ヨーロッパは現在かなり金融緩和をしていますが、インフレ率はほとんど反応していません。例えばアメリカのマネタリーベース(質問者氏がこちらを上げていますのでこちらで議論します)は08年末に拡大しましたが、インフレ率は、2008年を除き(0.7%)、それ以前は3~4%程度、以後は1~2%程度と低い水準にとどまっています。 つまり、金融緩和=インフレ、というのは、勿論物価の決定要因の一つとして通貨量が一つの役割を果たすことは間違いないにしろ、かなり無理がある論のように思います。 > >実際問題として、日本銀行が発行している通貨量はバブル期の対GDP比 > 続きがないので良く分かりませんが、マネタリーベースの変化でみれば、少なくともアメリカやECBに比べたら金融緩和はごくわずかであると言えます。 なぜか切れていますね。すみません。 バブル期、日本の通貨量の対GDP(名目)比は、現在よりも小さいです。 通貨発行量が多すぎたためにインフレになった、というのが、80年代後半の資産価格高騰の一つの説明だったはずです。現在はそれよりも通貨発行量がGDPに対して大きいにもかかわらず全くインフレになっていません。したがって、通貨以外の要因を考える必要があるはずです。 また、金融緩和をしても、お金が市中に出回らない、という事情もあります。この辺りが金融政策があまり効かない原因でもありますが、なぜ出回らないのかという理由として、イギリス病云々が挙げられます。その他にも、流動性のわななども指摘されています。 因みに、無理やり出回らせようとする方法の一つがBIです。 > とりあえず、今の状況を見れば、インフレ率が最低3%に達するぐらいまでは金融緩和しても良いと思うのですがどうでしょうか? どうやって? という点が問題です。 例えば、「日本のGDPを今の2倍にするまで財政政策をしても良いと思います」というのと同じく(この場合の問題は財源)、実行可能性が問題なのです。
お礼
>デフレを克服した例はありませんね。 例がないからできないというわけではないです。 >したがって、金融緩和でデフレが解消するというのは、理論的には正しいのですが、実際にどの程度の金融緩和が必要なのかも分かりません。 その通りだと思います。したがって、物価上昇率を見ながら金融緩和をしていけばいいと思います。 私も、いきなり1000兆円規模の金融緩和をした方が良いなんて思っていません。 また、インフレ目標を設定するだけでは無意味です。 目標を設定し、中央銀行がそれを達成するためにありとあらゆる手段を講じる。 例えば、今ですと、政策金利も預金準備率も0%近傍で下げる余地が少ないですから、市場から国債を購入する。とくに、すぐに償還されるような短期国債や残存期間が短い長期国債ではなく、残存期間が長い長期国債を買う。 今はデフレギャップが20兆円ぐらいありますので、少なくとも間違いなく20兆円ぐらいは大丈夫でしょう。 実際には100兆円ぐらいは問題ないでしょう。 >また、アメリカ・ヨーロッパは現在かなり金融緩和をしていますが、インフレ率はほとんど反応していません。 「現在」がどの範囲を指しているか分かりませんが、1~2%程度のインフレ率となっているならば、 むしろ、ECBもFRBもインフレ率を見ながら調節しており、金融政策によりインフレ率の調整ができているという証でしょう。 インフレ率が反応しなかった理由としても、リーマンショック後はデフレ圧力が高まっていた時期であり、マネタリーベースを拡大したことでインフレ率がマイナスに陥らずに済んだと言えるのではないでしょうか。 逆に日本は欧米に比べ金融緩和をしなかったのでインフレ率がマイナスになった。そう捉えるのが自然だと思います。 >バブル期、日本の通貨量の対GDP(名目)比は、現在よりも小さいです。 問題は、その時の経済状況に合わせた通貨供給量にするということです。 バブル期ではその程度の通貨量でもインフレであったけれども、現在はその程度の通貨量では足りない。 バブル崩壊後も、実質GDPは増えているるのですからね。 しかも、金融引き締め的な政策により名目GDPは横ばい。 その時どきの経済に見合った通貨量を供給し、デフレにならないようにするのが中央銀行の役割です。 >また、金融緩和をしても、お金が市中に出回らない、という事情もあります。 すぐには出回りません。例えば、昭和恐慌を脱出するために、高橋是清が大規模なマネタリーベース拡大策を行いましたが、銀行の貸し出しが増え始めたのはそれから4年後ぐらいです。(安達誠司「円高の正体」p195) >どうやって? という点が問題です。 前の方でat9_amさんもおっしゃったように、金融緩和をすればい良いと思います。 その方法はアメリカや日銀がやったような量的緩和で良いのではないでしょうか。
- at9_am
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まず、リフレ=管理されたマイルドなインフレ、ということと理解しています。 一番問題なのは、そんなものを起こすことができるのか? という点です。 日頃散々日本銀行が無能だと言っている人が、同じ口で日本銀行なら管理されたインフレなどという不可思議なことが可能だと主張するのは、実に奇妙なことです。実際問題として、日本銀行が発行している通貨量はバブル期の対GDP比 インフレターゲット論もありますが、これは高インフレを是正するための政策なので、デフレ対策として正しいかどうかは不明です。個人的には疑問符をつけています。 また、結局のところ現在のデフレは、国内での高コスト構造・産業の流出・海外からの安い商品の流入が主要因の一つであり、国が国民に所得を補償するようなBI政策は構造改革への障害にしかならないでしょう。 例えばイギリス病などが典型例です。
お礼
回答有難うございます。 >一番問題なのは、そんなものを起こすことができるのか? という点です。 できますよね。諸外国ではきちんと管理してある程度インフレ率をコントロールしてますし。 これが日本の中央銀行だけができないわけがない。 もちろん、リーマンショックなどがあれば、一時的には無理かもしれませんが、中長期的には可能でしょう。 それは、外国を見れば明らかだと思います。 >日頃散々日本銀行が無能だと言っている人が、同じ口で日本銀行なら管理されたインフレなどという不可思議なことが可能だと主張するのは、実に奇妙なことです。 日銀が無能なのではなく、日銀総裁ほか審議委員など金融政策を決定する人が無能だということでしょう。 例えば、バーナンキにやせたら可能でしょうし、前述した岩田規久男氏でも可能でしょう。 リフレ派はさっさと白川氏を変えよという主張をする人もいます。 >実際問題として、日本銀行が発行している通貨量はバブル期の対GDP比 続きがないので良く分かりませんが、マネタリーベースの変化でみれば、少なくともアメリカやECBに比べたら金融緩和はごくわずかであると言えます。 >インフレターゲット論 インタゲも誤解がある人がいるのですが、目標に設定したインフレ率を例えば2%にしたとして、ある時のインフレ率が0%やマイナスになっていれば金融緩和に、5%や6%といった高いインフレ率になっていれば金融引き締めをするということを市場と中央銀行の間で認識を共有させるためのものであり、高インフレを抑制するためだけのものではありません。 インフレ率を安定させることで市場は安心して経済活動をすることができます。 >国内での高コスト構造 例えば人件費であれば、外国がインフレ、日本がデフレであれば相対的に日本人の人件費が高くなるのは当たり前のことです。そのためにも諸外国並みのインフレにする必要があると思います。そのためには金融緩和しかないでしょう。 >産業の流出・海外からの安い商品の流入 これも円高の影響が大きいと思います。円高を是正するためにも金融緩和しかないです。 BIについては私は勉強不足なのですが、とりあえず、今の状況を見れば、インフレ率が最低3%に達するぐらいまでは金融緩和しても良いと思うのですがどうでしょうか?
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お礼
お礼が遅くなり申し訳ありません。 少し前に戻りまして、、 >技術革新で物の値段が下がることは、現在液晶テレビなどで見られるように、珍しくも何ともありません。それすら貨幣量のせいにするのは、かなり我田引水です。 つまり、一つの分野だけが技術革新が起きるのならば、その分野のモノの値段が下落するだけで、それにより、一般物価が上がるか下がるかはわからないけれども、様々な分野で技術革新が起これば一般物価も下がる。このようなデフレは許容されるべきだということでしょうか? 諸外国と比較しても、日本だけデフレなのは、ほかの国に比べ、日本が様々な分野で技術革新が進んでいるためだということでしょうか? 私の立場では、そのような場合のデフレでも、デフレになれば害が大きいので、貨幣量を増やしてデフレにならないようにするべきだと思っているのですが、at9_amさんは、そのような場合のデフレは放置してもかまわないということでしょうか? 確認させてください。 >BIS規制について その点について、at9_amさんが主張されていることは理解できました。 岩田氏らの反リフレ論に対する反論でも、その点については指摘されてなかったので(私が知る限り)、そういう視点があるのだなと勉強になりました。ありがとうございます。 >このような態度は、covanonki氏に苦言を呈されていたと思いますがね。 誤解しないでくださいね。私の質問は、「岩田規久男氏や高橋洋一氏などに一通り反論しつくされていると思うけれども、それでもリフレに反対する理由を知りたい」ということです。したがって、すでに岩田氏らによって反論されている反リフレの理由については、質問していないのです。つまり、回答としてピントがずれている回答だと思ったので、スルーさせていただいたという意味です。ここでリフレ、反リフレの論争をやろうと思って質問しているわけではないので。 これまで、「お礼」の部分で私が、反論になってしまうような形で、指摘させていただいたのは、at9_amさんの回答では、すでに岩田氏らによって反論されている内容かどうかが分からなかったので、それを明確にするためにわからない部分は指摘させていただきました。 質問の趣旨が分かりにくくて申し訳ありません。 >誰かの意見を鵜呑みにしたりしないで、少しは自分の頭で考えて意見を決めたらよいと思います。 私はみなさんみたいに頭がよくないので。。もちろん、岩田氏や高橋氏以外の、反リフレの立場で書かれている本もいくつか読み、最終的な立場は自分で決めております。そういう部分では自分の頭で考えているとは思いますが、先人の肩に乗って物事を考えている部分はあると思います。 ですので、 >ただ、結局は質問者氏が自分の理解に基づいてリフレ派を名乗っているわけではない、 というわけではないということは主張しておきます。まぁ私も「リフレ派」という言葉は好きじゃないんですけどね。欧米や韓国をみれば、2%程度のマイルドなインフレで金融政策をしようってのは常識ですから、「派」とかおかしいですからね。 最後に、「予想インフレ率にはたらきかける」という部分についても、あまり深くはご存じないのかなと言う印象を受けました。(すなわち、No.11でat9_amさんが書かれている予想インフレ率に関する懐疑的な部分は岩田氏の著書に載っています。 また、少しではありますが、 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31911?page=2 にも、言及している部分があり、私は参考になりました。) この私の、質問に答えているからには、岩田氏や高橋氏の著書は読まれていると思います(少なくとも、岩田氏らの反リフレに対する反論はご存じだと思います。そうでないと、私の質問には回答できないと思いますし、回答しても、ピントのずれた回答となってしまう)ので、もしかしたら、岩田氏の主張の解釈が私とat9_amさんでは違うのかなと思いました。 もしまだお読みでないようでしたら、岩田規久男「デフレと超円高」と安達誠司「円高の正体」をお渡しできますので、言ってくださいね。 いろいろと詳しくありがとうございました。