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固体電解質によるガスセンサについて
標記のガスセンサで測定される電圧について, お教えください. 一例として, YSZの酸素センサについて. 電極での電気化学ポテンシャルひいては酸素分圧を用いてNernst式からemfを算出できる, ということは本などから解ったのですが, 酸素イオンの伝導についてはどうなっているのでしょうか. 電極濃淡電池のように, 高い分圧から低い方へとイオン伝導が生じての正味の仕事を反映していると考えることはできるのでしょうか. 固体電解質自身の電気的抵抗などによってemfは影響されないのでしょうか. 以上, 宜しくお願いします.
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ご質問のYSZ酸素センサは両極での酸素圧力の違いによる起電力を用いており、電極濃淡電池の一種と言えます。 電流を取り出さない状態で起電力を測定するので、イオンの移動は無く、電気抵抗(イオン移動度)の大小は影響しません。(ただし電解質内の電子伝導は無視できるとする。) 濃淡電池の起電力は、水溶液系と固体電解質系では少し考え方が異なります。水溶液系では、電解液内部には電場(電位勾配)は存在せず、電位差は両極の界面にそれぞれ存在します。固体電解質の場合は、電極界面部に電位差が無いかわりに電解質内に電場が存在します。例えば酸素センサのYSZ内部を考えると、「酸素イオンが静止している」→「いたるところ電気化学ポテンシャル一定(化学ポテンシャルの勾配と電位勾配が打ち消しあっている)」→「化学ポテンシャル差が決まれば電位差も決まる」。 >電極濃淡電池のように, 高い分圧から低い方へとイオン伝導が生じての正味の仕事を反映していると考えることはできるのでしょうか. ご質問の意図が、発電に伴う物質エネルギー変化と起電力の関係式 E=-ΔG/nF を念頭において、「電気抵抗によるロスをΔGから引かなくてもよいのか」ということを心配しておられるなら、その必要はありません。電気抵抗によるロスは、電流に比例して変化するものだからです。もし1molの反応を起こしたい(1Fの電気を流したい)のであれば、長い時間をかけて限りなく小さな電流で行えば、電気抵抗によるロスは限りなく小さくなります。
補足
詳しいご回答大変感謝いたしております 「...電気化学ポテンシャル一定(化学ポテンシャルの勾配と電位勾配が打ち消しあっている)...」 からようやく解ったような気がします つまりこの場合、ギブズの自由エネルギーの減少による仕事を電気的仕事として取り出しているということとは異なるとの理解でよいのですね。