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イラストの法的、道義的責任

学校の教員をしています。 昨年著書を出版したのですが、そこには知り合いが描いた漫画が掲載されています。その漫画が生徒に似ているとのことで、クレームをつけられています。私が描いたのではないと言っても、わざと描かせた、似ていると知っててわざと載せたと言われます。苗字が一致しているというのが本人の主張です。 この場合、著者の私に法的および道義的責任は生じるのでしょうか。 どなたかご教示ください。

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  • 17891917
  • ベストアンサー率75% (490/652)
回答No.3

こんにちは。 1 法的責任について  質問文だけからは,生徒側がどういう利益を侵害されたと訴えているのかがよくわかりませんが,漫画を通じてプライバシーや名誉権を毀損されたということでしょうか。  法的責任とは,通常,不法行為(民法709条・710条)に基づく損害賠償責任でしょう。不法行為となるには,加害者の故意又は過失により他人の権利・利益を侵害したと認められることが必要です。  まず,もともとその生徒をモデルにしていないのならば,その生徒のプライバシーや名誉権を侵害する余地はほとんどありません。たまたま「似ている」だけでは生徒の何の権利・利益も侵害していません。また,たまたま第三者がその生徒のプライバシーを思い浮かべる内容であったとしても,プライバシー等侵害の故意がありません。結果的にたまたまそういう内容になってしまったということも理屈上はありえますが,そのような「過失による結果的プライバシー侵害」について損害賠償請求が認められた事例は皆無だと思います。  次にその生徒をモデルにしている場合,描かれている内容次第ではプライバシーや名誉感情の侵害が認定されることがあります。  プライバシー侵害について,東京地裁昭和39年9月28日判決(『宴のあと』事件)では,「公開された内容が,私生活上の事実又は事実らしく受け取られるおそれがあり,一般人の感受性を基本にして当該個人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められ,一般の人々にいまだ知られていない事柄」であればプライバシー侵害となりうるとしました。また,最高裁平成14年9月24日判決(『石に泳ぐ魚』事件)では,「甲をモデルとし,経歴,身体的特徴,家族関係等によって甲と同定可能な乙が全編にわたって登場する小説において,乙が顔面にしゅようを有すること,これについて通常人が嫌う生物や原形を残さない水死体の顔などに例えて表現されていること,乙の父親が逮捕された経歴を有していることなどの記述がされていることなど判示の事実関係の下では,公共の利益にかかわらない甲のプライバシーにわたる事項を表現内容に含む同小説の出版により公的立場にない甲の名誉,プライバシー及び名誉感情が侵害され,甲に重大で回復困難な損害を被らせるおそれがあるとして,同小説の出版の差止めを認めた原審の判断には,違法がない。」としました。http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=76093&hanreiKbn=02  仮に特定の生徒をモデルにしていても,「一般人の感受性を基本にして当該個人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められ,一般の人々にいまだ知られていない事柄」でない限り,プライバシー侵害は認められないのです。  また社会的評価である名誉権についても,名誉を毀損する(社会的評価を貶める)内容でなければ不法行為になりません。  さらに,損害賠償請求するには,請求する側が,損害の発生・加害者の故意又は過失等を立証しなければなりません。「私が描いたのではないと言っても、わざと描かせた、似ていると知っててわざと載せたと言われます」とのことですが,生徒側がプライバシー侵害等の発生や先生の故意等を証明しなければならないので,実際には不法行為責任を追及することはできないでしょう。 2 道義的責任  質問文だけからはその有無についてはよくわかりません。また,これについては,ご自分で判断なさることではないでしょうか?  

noname#147786
質問者

お礼

詳しいご回答ありがとうございました。大変勉強になりました。 心よりお礼申し上げます。

その他の回答 (3)

  • pnd3png3
  • ベストアンサー率65% (34/52)
回答No.4

私の知り合いに、何人か教員がいます。 変な親が増えて大変ですよね。 詳しい状況が分かりませんが、 法的責任は、常識的な内容の漫画ならまず無いでしょう。 絵はどの程度似ているのですか? 内容は似ている人間の秘密の暴露や侮辱をするものですか? そちらの方が重要だったりします。 裁判をするには、似た絵を「わざと」か「うっかり」載せた事を相手が証明する事になります。 今回の事例では相手にそんな事できそうですか? 相当暇な弁護士でないと、こんな馬鹿な事例に付き合いませんよ。 道義的責任については、質問者さん自身が、あるか無いかの判断をする事です。 やましい事が無いならば、いっさい謝る必要も無いと思いますが。

noname#147786
質問者

お礼

ありがとうございます。参考になりました。

  • urax2
  • ベストアンサー率22% (69/301)
回答No.2

編集上のミスとしか言いようがありません。 担当の編集者はそのイラストについて内容の事前確認をしなかったのでしょうか? イラストを描いた人がなぜその名前を使い、だれをモデルにしたかも気になりますね。 ただ、もう出版されてしまったモノをどうこう言っても意味はありませんから、ここは出版社とあなたとイラストレーター、それに先方を交えて話し合いの機会を設けてみては? まさか出版差し止めまでは求めてこないでしょうから、出版までの経緯を説明して必要であれば謝罪をするとか。いずれにしても、感情的になっている相手にはあくまで誠実な対応が必要です。

noname#147786
質問者

お礼

ありがとうございます。

  • k-josui
  • ベストアンサー率24% (3220/13026)
回答No.1

法的な事は判りません。 しかしあなたの著書という事ならば、掲載するについて当然あなたがそのイラストを選択したのではないですか? また作成時点では当然あなたが確認しているはずです。 それを「私が描いた物ではない」はないでしょう。     あなたが描かなくても採用したのはあなたのはずです、 少なくとも教師ですよね、苗字まで一致している時点で、当然「これはまずい」と判断して然るべきではないでしょうか?      教師であれば、その生き様までも生徒の模範となってほしいものです。 採用しておきながら「描いたのは私ではない」などと、苦しい言い訳をするような生き様を生徒に見せてほしくないと願うのは、私だけでしょうか?

noname#147786
質問者

お礼

ありがとうございます。 その生徒を知ったのは出版後で、出版時は知りませんでした。すみません。質問が言葉足らずでしたね。 ですから、出版時に「まずい」と思うのは無理でした。

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