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窃盗の犯人から更に窃盗した第三者について
所有者AからBが財布を奪ったあとに、第三者CがBから当該財布を奪ったとき、 刑法上Cはどのような犯罪を構成するか、という問題について。 窃盗罪の保護法益に対する考え方として、 「事実としての所持」と考える所持説(判例)と、 「所有権その他本権」と考える本権説があります。 私のテキストには、上記ケースにおいて、 所持説の場合に、CはBの所持を侵害しているわけだから、 窃盗罪が成立すると書かれております。 しかし、本権説で考えた場合が書かれておりません。 本権説で考えた場合に… Bは窃盗犯であり財布に対する所有権その他本権が存在しないのだから、 Bに対する窃盗にはあたらないため無罪となるのか。 Bとの関係で無罪だが、Cの行為はBの行為と同様に、 Aの所有権を侵害していると考えて、やはりBには窃盗罪が成立するのか。 それとも、Bに盗まれた財布を、所有権者Aの占有を離れたものと考えて、 Cには占有離脱物横領罪が成立するのか。 いろいろと考えられるのですが、 学説等ではどのように考えるのか、 御存知の方がいらっしゃれば教えてほしいです。
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財産犯の保護法益は財産ではあるが、その範囲について本権説と所持説の激しい対立があります。そして本権説に対する批判として一番大きいものがこの問題です。 伊藤真のシケタイ(中立の立場?)によれば、第三者による盗品奪取は本権説でも窃盗罪は成立するが、説明は困難である。とだけあっさりと書かれています。 前田の刑法各論(所持説の立場)によれば、(ただし実際はかなりの紙幅を割いて説明しているものを、大分省略しているために、私の主観が大いに入っている可能性あり)純粋な本権説では窃盗罪は成立しないが、これでは合理的だとされる結論ではないために、本権説をとる学者はこの問題について修正を加えている。しかしこの修正は実質的な事情を含めてしかも財産侵害と侵害する行為の担う価値を衡量しているものであり、これは構成要件解釈の枠を超え、実質的違法性阻却判断となっているものである。 本権説の立場をとる学者の参考文献は手元になし。
- buttonhole
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本権説では、242条の占有は、「権原に基づく占有」と解釈しています。窃盗犯人は、権原に基づかない占有をしているわけですから、窃盗罪が成立しなと解するのが自然です。 しかし、窃盗犯人から窃盗した者が処罰されないというのは、やはり不合理ですから、本権説の立場でも、例えば、Aの所有権を間接的に侵害していることを理由に窃盗罪の成立を認めています。しかしながら、一度侵害された所有権を再度、侵害することを理由とするのであれば、盗品関与罪の領域の問題になるのではないかという疑問が生じ、理論としては苦しいと思います。ご質問のケースで窃盗罪の成立を肯定しようとすると、本権説の弱点が現れることになります。
- nekonynan
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刑法 (他人の占有等に係る自己の財物) 第二百四十二条 自己の財物であっても、他人が占有し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章の罪については、他人の財物とみなす。 となるので (窃盗) 第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 が有効になります。 窃盗罪の保護法益に財物に対する占有が含まれることにほぼ争いはない。一方、本権(所有権などの占有権原)が保護法益かどうかについては肯定する学説(本権説)もあるが、否定する学説(占有説)が多数説であり、判例も占有説とされる。