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誘電正接と比誘電率の測定をしたのですが・・・
誘電体についての実験を行ったのですが、 そこで、質問なんですが、 コンデンサ(今回はセラミックと酸化チタンを用いました)で、電力損失(誘電損失)に基づく発熱を減少させるための条件とはなんですか?? それから、誘電体の電気伝導と金属の電気伝導との相違する点を教えて下さい!! 少しだけでも全然構いませんのでぜひ回答をおねがいしますm(_ _)m
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>電力損失(誘電損失)に基づく発熱を減少させるための条件とはなんですか?? 誘電損失による消費電力をWとすると印加した交流電圧V、角周波数をωとすると W∝ωV^2 (1) の関係があります。従って発熱を抑えるにはω→小、V→小とすればいいわけですね。尚、誘電損失はコンデンサの例えば不純物等による導電性を抑えれば少なくなりますから、材料的にはコンデンサの材料純度を上げることも発熱を抑えるのに有効ですね。 >誘電体の電気伝導と金属の電気伝導との相違する点を教えて下さい!! 誘電体の場合、電束密度をD、誘電率をε、印加する電場Eとした場合 D=εE (2) という関係にあります。ここで角周波数ωの交流電場 E=E0exp(jωt)を印加した場合、電束密度は D=D0exp(jωt-jφ)で表せるとします。すると誘電率は(2)より ε=D/E=(D0/E0)exp(-jφ) (3) となりますね。ここでD0/E0=ε1とおいて(3)の指数関数部を三角関数で展開すると ε=ε1cosφ-jε1sinφ (4) となります。εの実数部をε’(=ε1cosφ)、虚数部をε”(=ε1sinφ)と書くと(4)は ε=ε’-jε” (5) と表せます。これを複素誘電率と呼んでいます。電束密度が時間変化するといわゆる変位電流が流れます。これをJpと書くと Jp=dD/dt (6) (6)に(2)(5)を代入して、微分を実行すると Jp=jω(ε’-jε”)E=ωε”E+jω’E (7) となりますね。これをJp=σEと書くと σ’=ωε”,σ”=ωσ’ (8) と表せます。この解釈は後で考察しましょう。 -------------------------------------------------- 次に金属の電気伝導を調べます。伝導率をσ、伝導電流をJとすると J=σE (9) と書かれます。上の議論と同様に交流電場を印加した場合、J=J0exp(jωt-jφ)として σ=(J/E)=(J0/E0)exp(-jφ)=σ0exp(-jφ) (10) と書けます。ここで複素導電率というものを導入すると、上の議論と同様にして σ=σ’-jσ” (11) つまり σ’=σ0cosφ,σ”=σ0sinφ (12) となりますね。複素伝導率の実数部は電場と同位相で流れる電流の流れやすさを、虚数部は電場に対し90°位相がずれている電流の流れやすさを表しています。 -------------------------------------------------- さて、誘電体のσの考察ですが、σとεの実数部、虚数部がひっくり返っている点に注目してください。誘電率の虚数部は伝導率の実数部と同じ働きをするということ、つまりエネルギーの消費を伴うということですね。このことから誘電率の虚数部を誘電損失と呼んでいます。ちなみにいわゆるタンデル(tanδ=ε”/ε’)は誘電体の良さを測る尺度として使われますね。この値が小さいほどよい誘電体ということになります。 (P.S) (1)の導出は適当なテキストを参照されて導出してみてください。その際下記URLが参考になると思います。
お礼
丁寧な回答ありがとうございましたm(_ _)m 大変参考になりました。URLもみさせていただきます。