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海洋温度差発電のシステムについて
いま、海洋温度差発電について調べています。アンモニアと水の混合物を海の水で暖めて蒸発させタービンを回すというのはわかるのですが、 1、カリーナサイクル(アンモニアと水の混合物)がランキンサイクル(アンモニア純物質)にとって代わった理由 2、なぜ水との混合物だと効率が良いのか? が、わかりません。どなたか教えてください!
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こんにちは。 >1、カリーナサイクル(アンモニアと水の混合物)がランキンサイクル(アンモニア純物質)にとって代わった理由 カリーナサイクルが「海洋温度差発電」や「熱回収発電」の主流になっているのは、ランキンサイクルに比べて、システムとしての「発電効率」が高いからです。 >2、なぜ水との混合物だと効率が良いのか? 「混合流体」は「水単体(ただの水)」よりも効率が良いということです。水とアンモニアを混ぜた「アンモニア混合流体」が、純粋な「アンモニア単一流体」よりも効率が良いということはありません。 アンモニアを使うのは、沸点が低く「熱交換流体」に適しているからですね。水にアンモニアを混ぜれば沸点が下がりますので、熱源である海水との温度差を大きくすることが出来ます。ですから、「蒸発器」「凝縮器」に於ける「熱交換効率」そのものは、当然アンモニアの濃度が高いほど良くなります。純粋なアンモニアを使うのが最も高率的ですね。 ですが、カリーナサイクルは、沸点の違うふたつの混合溶液の「蒸発・凝縮特性」を応用してシステム全体の「発電効率」を改良したサイクルです。ですから、カリーナサイクルの流体はどうしても「アンモニア混合流体」でなければなりません。 ランキンサイクルは蒸発器で気化されたガスがタービンを回し、排気ガスを凝縮器で液化して戻すという単純な「直列回路」ですが、カリーナサイクルでは、蒸発器の後に「気液分離器」を設け、そこからふたつに分岐した「並列の回路」が作られていますよね。 流体は気液分離器で「高濃度アンモニア蒸気」と、蒸発器内で蒸発し切れなかった「低濃度アンモニア水」に分離されます。高い圧力を持った蒸気の方がそのまま発電タービンに送り込まれるのはランキンサイクルと同じです。一方、液の方は別系統に分かれ、「再生器」でもう一度熱交換されてから更に減圧弁を通ります。 このふたつの回路は「吸収器」で合流します。吸収器では、タービンから出て来た高濃度アンモニアガスが、冷却、減圧されて入って来た低濃度アンモニア液に一気に凝縮吸収されます。これによって、タービン側の排気の圧力を下げてやることが出来ます。つまり、「吸収」によって、タービンから出て来る排気ガスを強制的に引っ張ってやるわけですから、その分だけタービンを勢い良く回すことが出来るというわけです。 このように、カリーナサイクルは「熱交換効率」自体は多少犠牲にしているのですが、システム全体の「発電効率」はより大きく改善されています。このようなサイクルは、沸点が同じで濃度差の出ない「単一流体」では作ることはできません。 とはいえ、流体の熱交換効率が悪いというのはやはり欠点です。それを補うために、カリーナサイクルでは熱交換器に大量の海水を流し込む必要がありました。海水をたくさん汲み上げるのでは、その分だけポンプの電気代がロスになりますよね。 「ウエハラサイクル」では、発電タービンを2基にするなど更に改良が加えられ、熱交換器の付加をかなり軽減してあるそうです。加熱器やアフターコンデンサーなども加わり、大分複雑な回路になっています(URL参照)。 尚、「ウエハラサイクル」という社名の自転車屋さんがあるらしいので、Webで検索するときには気を付けて下さい。
お礼
大変詳しく回答してくださりありがとうございました。またわからないことがありましたらよろしくお願いします。