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原発事故の予想被害についての試算
原発事故時の被害についての質問です。 あるサイトに次のようなものがありました。 「東海村のJCOの臨界事故は、わずか1000分の1グラム以下 のウランが核分裂を起こしただけであれほどの事故を引き起こしました。だから原発事故の被害ははかりしれません」 これだけ読むと原発事故は大被害をもたらすように思えます。しかし、「1000分の1グラム以下のウランの核分裂」と原発事故の被害の関係がわかりません。 一般に原発の炉心が破壊されて、それらが外部に放出された場合、どのくらいの放射能が出ますか? またどれくらいの範囲が汚染されますか? JOC事故の被害との比較で説明できますか? よろしくおねがいします。
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>この比較は妥当なのでしょうか? 原子爆弾の連鎖反応は一瞬しか起こらないので、放射性物質の量はそれほど多くはありません。(だからごく短い寿命の核分裂生成物が時間とともに消滅してしまえば、広島にも長崎にも人が住めるわけです) こういう比較をすれば「原爆何発分」といえるので、危険性の表現として言いやすいのでしょうが、あまり適切とは思いません。 >ガラス固化体は原爆より危険ということでしょうか? 「爆弾と毒薬はどっちが危険ですか」というような質問に聞こえますね。(^^; どっちも危険です。 ガラス固化体は爆弾ではありませんが猛毒なので、その中身を撒き散らすような事態は何としても避けねばなりません。 >ガラス固化体が破損などして、内部のものが放出したら、原爆以上の放射能が出るということでしょうか? その通りです。量的には原爆の比ではありません。 あとは、その「万一」の際に、人間の住む環境中へどのような手段で放射性物質が運ばれるか次第です。 およそ最悪なのは、都市上空で盗み出した高レベル廃棄物を積んだヘリごと自爆するテロですかね。 >シーベルトで表すことが可能ですか? シーベルトはある個人について被曝の影響を評価する吸収線量当量の単位なので、その個人がどのような放射線源にどのような距離で体のどの部位が近づくのか等、とても複雑な計算が必要です。事故の全体像を表現する指標ではありません。 >JCOでどれくらいのセシウムが放出されたかはわかりませんでした。 Cs137の核分裂収率は6%くらいです。ウランが100個核分裂したらCs137は6個できるということですね。 Csは建屋の外へはほとんど出ないでしょう。出るとすればKr,Xeなど希ガスかと・・・。いずれにしても健康影響の測定できるレベルではないでしょうが。
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原発に限らず、一般論ですが工学的には危険とリスクと事故と災害を同じ土俵で議論しません。 危険とはハザードともいい、危険性を有しているものや現象を言います。核燃料、放射性物質、核分裂反応、原子力発電(軽水炉)などです。 リスクとはそれが具体的に被害を及ぼす状態になることを言います。核燃料のジルコニウムの被覆管が割れるとか、原子炉が暴走するとか、放射線が出るとかなどです。またその危険性には大小があります。原子炉自体が爆発炎上するようなチェルノブイリのような現象とJCOのような設備損壊が無かった現象とは程度が異なります。 事故とは実際にその危険な状態が発生することです。事故がおきるには起こりやすさ(確率)が関係します。作業手順や防護装置、工学的な安全設計があれば確率は低減できます。 事故の大きさはリスクの大きさに依存します。 災害はこれによって設備や人間、環境や動植物などに被害が生ずることを言います。事故がおきてもそこに人間がいなければ最終的な被害は少なくてすみます。 チェルノブイリの爆発では日本に影響がほとんど無かったように大事故があっても一般的には距離が離れていれば安全といえます。 こういった考え方を元にFMEA(故障モード見積り解析)やFTA(故障モード解析)などの手法で災害の確率を分析し、対策を打っています。 たとえば自動車が爆発して人間が焼死する場合のFTAでは、ガソリンの危険性、タンクの破損の確率、人間が検知できず逃げ遅れる確率などが合わさって災害の大きさが見積もられます。普通自動車であれば多分定員5名以上の焼死者が出ることはないでしょうが、バスの場合は定員50名が逃げ遅れることも考えれば後部に非常口をつけたり防火材料を使用したりといった対策になるでしょう。 東電の原発が問題化したのは、工学的な安全対策の一部である格納容器のひびについてデータを捏造したり、報告したりしたことでリスクが増えたとみなされるからです。 JCOの場合は工学的な防護措置を無視できるような設計であった(簡単に言えば立ち入り禁止の柵があるのに乗り越えて転落した)ことにあり、設計時のリスク見積りに抜けや誤りがあったためです。 日本の原子炉1基に装入されている核燃料は瀬戸物のような形状で、事故がおきれば大気中にガスや粉塵として拡散しますが通常の火災で発生した煙と同程度の範囲に拡散し(大部分は数10キロメートルの範囲)、地表に降下したり一部は大気中を循環しながら希釈されていくと思われます。地表に落下したものの一部は海に流れ込むでしょう。 地表に降下した放射性レベルが高い発電所から数十キロの区域は人間が住むのに適さない場所になると想像されます(チェルノブイリ周辺は今でもそうです) チェルノブイリのような大事故の場合でも爆発自体での即死者よりも主に消火や放射能拡散防止の作業に従事した人、遠方に避難しなかった人に放射線障害が発生しているものが大多数のようです。 ただし上記のように、そうなる確率はどうかということです。 北海道の石油タンクの火災でも、大火災になるか、小火で済んだかは設備的な要因が大きいと考えます。 たとえば最新の放水銃を採用していれば防げた http://bubble.paj.gr.jp/page020.html とか、もっと早く地震対策をしてれば防げたとか (2020年というような猶予ではなく) http://ntt.asahi.com/national/update/1002/011.html 「工学的には事故は絶対おきない」「専門家の設計だから絶対安全」「人の仕事に口を挟むな」「行政としては既に決着した問題」といった態度や姿勢ではなく、常にリスクの発見と対策を継続的に行うようにすれば安全が保たれると考えています。たとえば全くの素人を参画させる、他の分野の専門家の目でチェックしてもらう、利害関係のない第3者に管理システムを認証させるなどの手法が求められます。 石油コンビナートについては業界団体から規制緩和の要求も出ています。(タンクは法定検査でなく自主検査にし、検査周期も延期し、技術的な規制を緩和して欲しいという内容) http://www.soumu.go.jp/news/syobo.html#a4 http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/990422cb.htm こういったことは科学的に合理性があれば問題ないと思います。 リスク管理の考え方はURLをご覧下さい。
- 参考URL:
- http://www.sjrm.co.jp/
お礼
ご親切な説明ありがとうございます。 参考URL訪問してみました。 「リスクの発見と対策を継続的に行う」ことが大切だとわかりました。 原発の関係者はこのことがわかっているのでしょうけれど、安全性より経済性を優先してしまうと恐ろしいことになりますね。
毎度どうも。(^^; >「1000分の1グラム以下のウランの核分裂」と原発事故の被害の関係がわかりません。 おっしゃる通りです。意味不明ですね。(^^; 一時的な核分裂連鎖反応による放射線の影響と、原子炉内で蓄積した放射性物質の影響を比べるのは無理です。 したがってJCO事故と原子力発電所で想定する事故を比較する意味は、ほとんどありません。まだしもJCO事故と広島原爆となら比較することもできるでしょうが・・・。 >一般に原発の炉心が破壊されて、それらが外部に放出された場合、どのくらいの放射能が出ますか? 燃料の交換から何年運転した原子炉がどのように破壊されたのか、でまるで話が変わりますし、何を計算しても「想定」の範疇を超えませんが・・・。 放射性物質の量については、種類が非常に多岐にわたりそのすべてを定量するのも不可能なので、たいていの場合割合が多くて測定しやすいセシウム137の量で比較するようですね。 いろいろな想定例があると思いますので、検索してみてください。(^^; なんにせよJCO事故との比較は不可能です。
補足
ありがとうございます。 セシウムで検索してみました。 するとこんなものが。 「ガラス固化体1本には、広島の原爆で放出されたセシウムやストロンチウムの575倍もの量を含んだ高レベル廃棄物が詰まっています」 この比較は妥当なのでしょうか? ガラス固化体は原爆より危険ということでしょうか? ガラス固化体が破損などして、内部のものが放出したら、原爆以上の放射能が出るということでしょうか? 放射線の単位にシーベルトがありますが、シーベルトで表すことが可能ですか? JOCでどれくらいのセシウムが放出されたかはわかりませんでした。
お礼
ありがとうございます。 非常にわかりやすい解答で助かります。 リスクと被害は、事象によって比較するのが難しいですね。 >「爆弾と毒薬はどっちが危険ですか」というような質問に聞こえますね。 無知なゆえに、変な質問になっていたわけですね。 申しわけないです。 しかし高レベル廃棄物とは、非常に危険なものなのですね。 場合によっては原子炉が破壊されたくらいの放射能汚染をもたらすもののように思えてきました。